はじめに
IoB(Internet of Behavior)とは、インターネットを通じて身体情報や人の行動をデジタル化し、そのデータを活用して生活を快適にする技術だ。
スマートウォッチをはじめとしたウェアラブルデバイスを身に着けることで、心拍数や歩数などの身体の状態や活動をリアルタイムで計測し、デジタルデータとして収集することができる。これらのデータは、個人の健康や生活習慣をモニタリングし、パーソナライズされた健康管理やライフスタイルの改善をサポートする。
スマートウォッチやウェアラブルデバイスなどのセンサー技術はますます進化し、個人の生活と健康の改善だけでなく、ビジネスや社会のさまざまな分野においても重要な役割を果たすことが期待される。
スタートアップ4選
株式会社enstem
生体データを活用してドライバーの事故率削減を目指す「Nobi for Driver」を提供している。Nobi for Driverは、運送業界のドライバーの健康状態を管理し、健康に起因した事故を削減するサービスだ。心拍数や血圧などの生体データを、ドライバーが装着する専用のスマートウォッチで取得し、危険な兆候がないか常にモニタリングする。体調不良や眠気、熱中症などのリスクを検知した際には、ドライバーが装着するデバイスが震えるほか、ドライバーの管理者にもリアルタイムでアラート通知を行うことができる。
そのほか、個人向けの生体データによる健康管理の「Nobi」や、組織パフォーマンスの向上に貢献する「Nobi for Team」も提供している。2023年7月には、第三者割当増資による1.3億円の資金調達を実施した。
株式会社グレースイメージング
汗中乳酸濃度を測定、可視化できるウェアラブルデバイス「汗乳酸センサ」を開発している。 独自開発のウェアラブルデバイスにより、運動をしている最中に、筋肉への負荷量を示す「乳酸」の濃度を表示することで、その場で連続的に疲労の可視化ができる。疲れの目安を知ることで、過労による事故やスポーツ選手に課される高負荷なトレーニングを防ぐ。
2019年に、インキュベーション・プログラム「IBM BlueHub」にて第5期最優秀賞を受賞したほか、慶應義塾大学医学部主催の「第4回健康医療ベンチャー大賞」で優勝している。2023年7月には、第三者割当増資による5.1億円の資金調達を実施した。
株式会社MamaWell
妊娠・育児中の女性向けに、パーソナル助産師がオンラインサポートを行うサービス「MamaWell」を開発・運営する千葉大学発のベンチャー企業。MamaWellは、妊娠中の女性に、活動量を測定するためのウェアラブルデバイスを送付し、そのデータに基づいて、個々の生活スタイルや体調に合わせて、最適な活動量を維持できるようにパーソナル助産師がサポートを行う。利用者一人ひとりの状況に応じた適切な情報を提供しながら、身体づくりを中心に継続サポートをオンラインで行っている。
企業HP:https://mamawell.jp/
ViXion株式会社
中心視野がある夜盲症の人向けの電子眼鏡「HOYA MW10 HiKARI」を開発・販売する。HOYA MW10 HiKARIは、低照度高感度カメラで捉えた像を、明るい映像として目の前のディスプレイに投射する眼鏡タイプのウェアラブルデバイス。暗所や夜間の環境下では、より明るい視界を、視野狭窄の方には、より広い視野を提供する。
見ているものをセンサーで測定し、距離に応じてレンズの形状を瞬時に変化させ、 眼のピント調節をサポートするアイウェア「ViXion01」も開発している。レンズの凹凸を見る距離に応じて変化させることで、近くも遠くも自在にピントを合わせられるオートフォーカスを実現。同社は、メガネやコンタクトレンズなどを展開するHOYA株式会社の関連会社として設立された。
2022年8月には、シリーズAラウンドにて、千寿製薬、エクセディを引受先とした第三者割当増資による、約10億円の資金調達を実施した。2024年1月には、ViXion01を「Omdia Innovation Awards2024」と「Phandroid – Best of CES 2024」に出展し、受賞している。
企業HP:https://vixion.jp/