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高齢化社会における予防医療の進化
予防医療の重要性がこれまで以上に注目されている。高齢化や生活習慣病の増加といった社会的背景を受け、病気の治療だけでなく、その発症を防ぐ取り組みが求められている。市場規模は年々拡大を続け、技術の進化とともに予防医療は新たな局面を迎えている。
予防医療技術とサービスの世界市場規模は、2024年に約3257億4000万米ドルと推定され、2029年には約5907億6000万米ドルに達すると予測されている。※
ウェアラブルデバイスや健康アプリの普及、データ解析を活用した健康管理の個別化など、予防医療を支える技術は多岐にわたる。それらの開発において、スタートアップ企業が果たす役割は大きい。従来の医療モデルにとらわれない柔軟な発想で、新しい選択肢を提示しつつある。
本記事では、予防医療に取り組むスタートアップ企業を紹介する。

スタートアップ5選
メディフォン株式会社
医療分野の多言語化とデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。主なサービスとして、外国人患者受入れ支援サービス「mediPhone(メディフォン)」と、クラウド健康管理システム「mediment(メディメント)」を提供している。mediPhoneは、電話やビデオを通じた遠隔医療通訳サービスで、医療機関や自治体など約8万の施設で導入されている。medimentは、社員の健康診断やストレスチェックに関連する業務を効率化するサービスで、効率的な健康管理により従業員のパフォーマンス向上を図るとともに、予防医療データを治療現場に提供する。
2025年1月には、クラウド健康管理システムmedimentに、独自設計されたヘルスパルスサーベイ機能を備え、提供を開始した。
株式会社M-aid
企業HP:https://m-aid.jp/
医療とモビリティを融合させ、医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するサービスを提供している。特に予防医療の分野で、個々人の医療データやライフログ、勤怠データなどを一元管理するシステム「オンラインカルテ」を開発し、企業や健康保険組合、健診施設などへ展開している。これにより、生活習慣病の予防や健康管理を支援し、企業の「健康経営」に貢献する。また、AIを活用したオンライン保健指導や、医療MaaS車両「MedaaS」の開発なども行う。
2024年5月には、新たな医療インフラへの商品サービス提供するため、バローホールディングスと資本業務提携契約を締結すると発表した。
株式会社プリメディカ
企業HP:https://www.premedica.co.jp/
予防医療と最先端医療技術の提供を通じて、健康寿命の延伸と医療課題の解決を目指す企業である。主なサービスとして、腸内フローラ検査「Flora Scan®」や、脳梗塞・心筋梗塞のリスクを評価する「LOX-index®」など、多様な検査サービスを展開している。また、健診機関向けのコンサルティングサービスも提供し、予防医療の普及と質の向上に貢献している。
2024年12月には、健診機関向けに企業ブランディング、人事戦略コンサルティングサービスを開始した。
プリベントサイエンス株式会社
新型コロナウイルスのPCR検査受託や、生活習慣病やがんの予防医療に関する検査の企画・研究・開発受託、健康食品やヘルスケア関連商品の開発支援などを行っている。また、慶應義塾大学環境情報学部との共同研究を通じて、内在物質である5-アミノレブリン酸(5-ALA)とミトコンドリアの関係や、5-ALAの予防医療について、研究と技術開発を進めている。
ジェネシスヘルスケア株式会社
企業HP:https://genesis-healthcare.jp/
ゲノムサイエンス(遺伝学)を活用し、個人や研究者、企業に対して、個別化された健康予防や医学研究の支援を行っている。主に、一般消費者向けの遺伝子検査「GeneLife」を提供し、健康リスクの予防、祖先のルーツ、性格特性など、多岐にわたる項目を解析している。また、研究者向けには、ゲノムデータプラットフォーム「GenesisGaia」を提供し、ライフサイエンスや製薬、美容・健康、食品における製品開発・研究を支援する。
2024年12月には、同社と日本を代表する消費者向け遺伝子検査ブランドであるGeneLifeが、GeneLife CONNECTサブスクリプションサービスの新機能を発表した。遺伝的洞察と環境要因を統合することで、参加者の年齢やライフスタイルの変化に応じて病気のリスクを特定する動的なアプローチを提供する。

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※Mordor Intelligenc 「予防医療技術とサービス市場規模・シェア分析-成長動向と予測(2024年〜2029年)」