生体データ活用でドライバーの事故を防止、運送業界の新たな支えに

生体データ活用でドライバーの事故を防止、運送業界の新たな支えに

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KEPPLE編集部


生体データを活用してドライバーの事故率削減を目指す「Nobi for Driver」を提供する株式会社enstemがシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による1.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドの引受先は、インクルージョン・ジャパン。

今回の資金調達により、CSを中心とした人材の強化に加え、1年後には累計300社への導入を目指す。

健康起因の事故を減らすドライバー向けサービス

Nobi for Driverは、運送業界のドライバーの健康状態を管理し、健康に起因した事故を削減するサービスだ。心拍数や血圧などの生体データを、ドライバーが装着する専用のスマートウォッチで取得し、危険な兆候がないか常にモニタリングする。

体調不良や眠気、熱中症などのリスクを検知した際には、ドライバーが装着するデバイスが震えるほか、ドライバーの管理者にもリアルタイムでアラート通知を行う。リアルタイムアラートに加え、データ蓄積による安全面や健康面の評価、アラートの傾向を可視化することが可能だ。

サービスイメージ
運送業に限らず、バスやタクシー、産廃業者など、さまざまな業界のドライバーに利用されている。初期費用に加え、一人あたりの月額利用料は1000円と低価格で導入できる点が特徴だ。

Nobi for Driverは2022年6月にリリースし、2023年7月時点で導入社数は約120社、利用者数1500名を超える。

同社はそのほか、個人向けの生体データによる健康管理の「Nobi」や、組織パフォーマンスの向上に貢献する「Nobi for Team」を提供している。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 山本 寛大氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

リスク検知でドライバーの健康を守る

―― これまで、運送業界のドライバーに関してはどのような課題がありましたか?

山本氏:業界全体として、勤務時間や残業の規制により、人手不足は大きな課題となっています。高齢化でドライバーの数も減少していることに加え、ドライバーという職業の人気も低下しています。

さらに、運転免許取得に時間を要するため、外国人労働者の雇用が難しい点も課題です。人手不足の中、新規のドライバーも増えにくいため、すでに働いているドライバーが長く勤務できるよう、運転寿命を伸ばす取り組みが重要視されています。

ドライバーは、長時間の勤務で残業時間も長くなりがちです。長時間座り続けて運転をするため、不規則な生活や運動不足になり、心臓病や糖尿病など、病気のリスクを抱えるドライバーは少なくありません。

サービス紹介
乗車前のドライバーの体調を把握する、管理者とよばれる役割も存在します。ドライバーへの配車や日報の管理など、多岐にわたる業務が存在し、多くがまだアナログな管理になっています。負担が多いために管理者自体の離職も多く、こうした業務の効率化が求められています。

―― Nobi for Driverの特徴を教えてください。

必要な操作の少なさや、導入時の費用が低価格である点は大きな特徴です。ドライバーはスマートウォッチを装着して、勤務開始のボタンを押すだけで生体データの測定が開始できる点にご好評いただいています。

当社以外にも、生体データを活用して健康起因事故を減らすソリューションは存在しますが、費用が高額であったり、頻繁なボタン操作が必要で利用が浸透しないケースもあります。

加えて当社は、低価格でありながら必要なデータが取得できるデバイスを測定に利用しています。さまざまな測定データのレポーティングもほとんど自動化しているため、無駄を減らすことで低価格にご利用いただけるよう常に取り組んでいます。

運送業界からの要望で開発を決意

―― 創業のきっかけを教えてください。

元々会社経営に興味があり、新しいことに取り組んでいる会社で経験を積むため、新卒でGoogleに入社しました。その後はAIソリューションを提供するCogent Labsに入社し、データ活用に関する多くの知見を得ました。

大学生まで真剣に野球に取り組んでいたことや、Cogent Labsでの経験から、生体データを活用してスポーツに応用できないか考えました。2018年頃にはまだこうした取り組みはなく、IoTデバイスの小型化や低価格化も後押しし、生体データを使ったツールを広げたいと考えたことが創業のきっかけです。

―― Nobi for Driverはどのようなきっかけから開発を開始されたのでしょうか?

当初はベトナムのサッカーチームで実験を始めながら、体を使う観点から、ブルーカラーの人々にも展開できる可能性を感じました。それからコロナ禍も影響して日本でのビジネス展開を考えるようになり、現場負担の大きな介護士を主なターゲットに、Nobi for Teamを開発しました。

介護施設や建設業界などでの導入を進める中で、運送業界やバス業界などからも相談を受けることは多かったです。これまで、運送業では車両を管理するサービスが非常に多かった一方で、ドライバーのためのサービスはほとんどありませんでした。勤務時間を規制する2024年問題が浸透し始めてから、毎日のように相談をいただくようになり、Nobi for Driverの開発に至りました。
サービス紹介

すべての人が充実した人生を送れる世界へ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

勤務時間や走行距離などの労務データに限らず、排気量などの概算も可能であることから、ESGの観点でもご評価をいただき、これまで順調に導入も進んできました。調達資金でさらなるプロダクト開発やマーケティングを強化し、1年後には20名規模の組織にまで拡大していく予定です。

また最近では、運送事業者が持つ倉庫で当社ソリューションを使えないかという相談を多くいただきます。倉庫の作業員は肉体労働も多く、特に夏の作業環境では多くの人が体調不良に陥ってしまうことがあります。こうした人を守るニーズに応えるため、倉庫向けプロダクトの開発やマーケットへの進出も資金調達の目的になります。


―― 今後の長期的な展望を教えてください。

ドライバーの健康状態を把握できるようになり、業務改善に貢献しているとのお声をいただきます。今後も開発を強化することで、2024年の6月頃には300社以上の導入を目指しています。並行して、倉庫向けのプロダクト開発も進めていきます。

また、運送業界での導入を増やしながら、保険会社や地方銀行と連携したソリューション開発も検討しています。Nobi for Driverの導入により事故数の減少につながるため、保険会社のビジネスとの相性は良いと考えています。

加えて今後は、運送業界内で事業承継やM&Aが増えていくことが予想されています。円滑な取引のためには、しっかりと労務管理がなされていることも重要です。こうした点も当社サービスで担保できるため、これから2027年ごろには、こうした事業者との連携を加速していきながら、Nobi for Driverの導入社数は5000社を目指します。

現在は日本国内を中心にサービス提供を進めていますが、東南アジアの企業からも関心をいただいています。東南アジアでは不正を働くドライバーも存在するため、ドライバーを監視する用途での関心です。こうした取り組みについても、ニーズを確認しながら広げて行きたいと思います。

人々が当たり前に生きている中、生体データを有効活用できていないことは、大きな機会損失だと考えています。まずはニーズの強かった運送業から注力していますが、オフィスワーカー向けのサービス展開も視野に入れ、人々が健康で充実した人生を送れるよう取り組んでいきます。


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