EMC Healthcare株式会社

医療現場を支えるウェアラブルデバイス
近年、医療分野におけるテクノロジーの進化が、ウェアラブルデバイス市場の急速な拡大を後押ししている。医療用ウェアラブルデバイス市場は、今後数年間で成長が見込まれており、個人の健康管理、慢性疾患のモニタリング、予防医療といった幅広い分野での活用が進むと期待されている。これらのデバイスは、日常生活に取り入れやすい技術として、医療の新たな可能性を広げている。
2023年の世界のウェアラブルテクノロジー市場規模は、1201億5000万米ドルと評価され、2032年までに1兆6954億6000 万米ドルに成長すると予測されている。※
AIや高性能センサー技術を活用した医療用ウェアラブルデバイスの開発は、慢性疾患の管理やリモートモニタリングといった医療サービスを補完する手段として注目されており、患者のQOL(生活の質)の向上にもつながる可能性がある。また、医療従事者の負担軽減や医療リソースの効率的な活用も期待されている。
本記事では、医療用ウェアラブルデバイスを開発するスタートアップ企業に焦点を当て、その技術や取り組みを紹介する。

DFree株式会社
企業HP:https://dfree.biz
尿がぼうこうにたまるとトイレに行くように通知するウェアラブル端末「DFree」を開発。 超音波技術を活用して尿のたまり具合をモニタリングし、一定レベルに達するとスマートフォンに通知して利用者に通知する。これにより、介護者は適切なタイミングでトイレへの誘導が可能となり、利用者の大人用おむつへの依存を減らすことが期待される。
2025年1月には、ユカリアが既存株主から株式を取得し、DFreeとの連携をさらに強化した。
株式会社ココロミル
ウェアラブルデバイスを活用した医療データ解析を行うサービスを提供している。同社が提供する「ホーム心臓ドック」は、心電図測定が可能なウェアラブル心電計「eclat」を用いて、不整脈、ストレス、睡眠の質、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などのデータを取得。これらのデータを循環器専門医師や臨床検査技師が解析し、健康状態に関するレポートを提供することで、医療機関や個人の健康管理を支援している。
2024年9月には、eclatが医療機器認証を取得し、同年11月より保険適用が開始された。2024年12月には、横浜国立大学・津市消防本部と共同で消防隊員の潜水時の心電図測定を実施した。
ジーニアルライト株式会社
企業HP:https://www.geniallight.co.jp/
医療機器・ヘルスケア分野の研究開発型ベンチャー企業。小型・高感度・低ノイズの光センサーの研究開発・製造技術を持ち、医療機関向け臨床現場即時検査(POCT)機器とモバイルヘルスケアデバイスを展開する。血尿センサーやヘマトクリットセンサーなど、医療現場での迅速かつ正確な検査を可能にする製品を提供。近赤外分光生体モジュールや抗原検査読取装置など、革新的な技術を応用した多様なデバイスを開発。光学技術を通じて医療とヘルスケア分野の課題解決に取り組んでいる。
2024年5月には、医療機器の設計から製造、販売後の一連の活動に関する品質マネジメントシステムの国際規格「ISO13485:2016(登録証番号:JQA-MD0215)」の認証を受けた。
EMC Healthcare株式会社
ウェアラブルデバイス「CALM.」の開発・提供のほか、病院経営支援や地域医療連携支援を行う。CALM.は、心電位・活動量の測定を行うことができ、専用アプリケーションから睡眠や心拍などの身体の状態を知ることができる。Bluetoothで通信を行うため、無線での利用が可能。他にも、見守りセンサーとナースコールが統合した介護DX「Owl Care」や、保育現場での午睡の見守り「ベビモニ」も提供する。
2024年5月には、肥後銀行とビジネスマッチング契約を締結した。熊本県全域をカバーする広大なネットワークを活かし、地域で働くエッセンシャルワーカーを支援する。
株式会社リモハブ
心疾患患者向けの遠隔医療サービスを提供する。オンライン心臓リハビリシステムを通じて、医療機関と患者の自宅をクラウドで接続し、リハビリの継続を支援する。患者と家族が自宅で効果的なリハビリを行える環境を整備し、負担を削減する。
2024年10月には、大阪大学大学院医学系研究科の坂田泰史教授(循環器内科学)らの研究グループが2020年から開始した、オンラインでのモニタリングを行うリハビリテーションシステムRH-01の治験を完了した。同治験をもとに、リモハブが薬事承認申請を行っている。

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※FORTUNE BUSINESS INSIGHT 「ウェアラブルテクノロジーの市場規模」