契約プロセスを一元化、専門知識を結集して作り上げる法務システム

契約プロセスを一元化、専門知識を結集して作り上げる法務システム

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KEPPLE編集部

目次

  1. 企業の契約基盤「MNTSQ CLM」
  2. テクノロジーの活用で合意をフェアに
  3. 法務ノウハウを結集する異例のコラボレーション
  4. 世界で利用されるリーガルテックサービスに

法務支援システムを開発するMNTSQ株式会社が総額10億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、かんぽ NEXT パートナーズ、三菱 UFJ イノベーション・パートナーズ、JGC MIRAI Innovation Fund 。社債発行と融資による調達も含む。

企業の契約基盤「MNTSQ CLM」

MNTSQが開発する「MNTSQ CLM」は、法務に関する社内ナレッジを一元管理し、契約の各プロセスを効率化する法務支援システムだ。契約締結前の案件管理から締結後の更新・管理まで、法務業務全般をカバーする。

システムには、四大法律事務所の一つである長島・大野・常松法律事務所の知見やノウハウを反映した。専門家のナレッジと独自の機械学習技術を強みに、同サービスは売上高1兆円以上の国内企業の約5社に1社が導入しているという。

2024年4月には、新機能として「MNTSQ AI契約レビュー」を提供開始した。サービスに蓄積した過去の情報をもとに、各契約案件のレビューに必要な情報を自動で提案する。この6月には、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下:西村あさひ)との戦略的協業を発表。西村あさひからの出資も受けた。法務領域の知見をプロダクトにより濃く落とし込んでいく狙いだ。

今回の資金調達に際して、代表取締役の板谷 隆平氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

テクノロジーの活用で合意をフェアに

―― 創業のきっかけを教えてください。

板谷氏:弁護士として長島・大野・常松法律事務所に勤めていたころの経験がきっかけで起業を決意しました。

契約は人や企業同士の約束事を形にするものです。弁護士の仕事で重視されるのは契約を成立させることですが、双方が同じ目標に向かって合意することは容易ではありません。契約書の多くは一方に有利な内容で作成されるのが現実で、アンフェアなんです。

私自身、あまりにも自分のクライアントにとって有利な契約を作成してしまい、強く後悔した経験があります。双方が納得する契約をまとめるには、長期間の交渉が必要です。専門的な知見を求めて弁護士を雇う必要がありますし、書類作成にも時間がかかります。テクノロジーを活用することでこうした状況を解決し、誰もがフェアに契約を結べる社会にしたいと思いました。

―― MNTSQ CLMについて教えてください。

最終的に目指しているのは、「法務に関するすべての業務が完結する」プラットフォームです。例えば契約締結などの一部のみを代替するのではなく、契約プロセスが一つのプラットフォーム上で完結するイメージです。

実際に契約プロセスの中でよくあるのが、契約の審査や締結、更新・廃棄など、一つの契約について各プロセスで利用されるシステムがバラバラであることです。そうなると、ただでさえ複雑な契約プロセスにかかる時間が長くなってしまいますし、契約に関する情報の把握も難しくなります。

とはいえ、法務部が自社の契約状況を完全に把握するのは難しいかもしれません。それでも、会計や営業、人事などの領域ではそれぞれ統合的なシステムが存在します。法務の領域はまだそうなっていない。自社がどのような権利や義務、リスクを負っているのかという情報をMNTSQ CLMで可視化し、法務業務全般の在り方を変えていきたいと考えています。

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法務ノウハウを結集する異例のコラボレーション

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

現在我々が開発を進めているのは法務業務のプラットフォームです。このプラットフォーム上にユーザーが求める機能を次々追加し、事業を拡大させていくことが主な目的になります。

例えば、ユーザーニーズが高い機能の一つが、4月に提供開始したAI契約レビューです。MNTSQ上に蓄積されたデータとAIによるレビューを組み合わせれば、その会社独自のルールやノウハウを活かしたオーダーメイドの契約レビューが実現できるはずです。こうした機能開発を進めるために、人員体制も含めた強化を実施します。

MNTSQ AI契約レビュ機能ーの画像
ユーザー企業内のデータに基づき自動で提案を行う(画像:MNTSQプレスリリースより)

―― 西村あさひとの戦略的協業も発表しました。

我々は、海外のリーガルテックに勝てるサービスを育て上げたいと考えています。それが日本の法務の国際競争力を高めることにつながるのです。

そのためには、最高のテクノロジーとアルゴリズムが必要です。日本最高の知見やノウハウを結集して作り上げなければいけません。これまで当社は、長島・大野・常松法律事務所との提携を通じて機能強化を進めてきましたが、西村あさひとの戦略的協業でその動きをさらに加速します。

大手の法律事務所同士が、同じ土台で手を取り合うことは決して当たり前のことではありません。そうした背景もあり、今回の西村あさひとの協業は非常に大きな意味があると考えています。

世界で利用されるリーガルテックサービスに

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

現在は各業界トップの大企業を中心に提供していますが、今後はエンタープライズ企業が幅広く利用できるプラットフォームに進化させていきます。マーケットスタンダードになるような機能開発を進め、「強い法務といえばMNTSQ」という状態が目標です。

日本の成長には、大企業の変革が不可欠です。今のMNTSQには、大企業を中心とした顧客基盤や組織体制ができている。日本のエンタープライズのITシーンを本格的に変革するのに、これ以上ないポジションに位置していると思います。契約に留まらず、隣接領域まで幅広く問題解決できるプロダクト企業になっていかなければいけないという意気込みで、今後も取り組んでいきたいと思います。

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