電子契約から始める不動産DX、住み替えを増やし業界に活気をもたらす

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KEPPLE編集部

不動産業界は変わりゆく都市の風景とともに、そのビジネスモデルや取り組みを進化させてきた。日本では不動産価格の上昇から、中古住宅の流通や需要が増える一方、購入時の煩雑な取引体験が購入者の大きな障壁になっている。

こうした課題解決に取り組んでいるのがGOGEN株式会社だ。同社は、不動産売買における電子契約や本人確認など、手続きのデジタル化を推進する取引基盤「Release(レリーズ)」を運営する。

レリーズは、2022年5月の宅建業法改正をきっかけとして、同年8月に電子契約サービスをローンチし、デベロッパー、ハウスメーカー、仲介会社など、不動産売買に関わる事業者が利用する。

サービスイメージ
23年5月にはマイナンバーカードにも対応した、デジタル本人確認サービスの提供を開始。これを皮切りに、不動産事業者と消費者によりよい取引体験を提供するため、複雑な不動産の業務プロセスを支えるプラットフォーム基盤を整備し、アプリケーションやAPI提供を通じて不動産取引のデジタル化を支援する。

同社がタグラインに掲げる「DXX」は、Digital Experience Transformation の略で、単なるDXに留まらず「Experience(=体験)」を通じて不動産業界を革新させていくという想いを込めたものだ。

ブランドイメージ

レリーズを通じた不動産売買流通総額(GMV)は5000億円に上る。

同社は他にも、手付金が不要となる住宅購入支援サービス「ゼロテ」による金融関連サービスや、ChatGPTを活用したマンション管理向けのチャットサービス「Chat管理人」、BPRを始めとしたコンサルティング・共同研究サービスの提供に加え、2023年7月には湾岸エリアのタワーマンションに特化した住み替え支援サービス「すみかえもん」をリリース。

「あたらしいやり方で、人々によりよい不動産を」という企業ミッションを掲げ、不動産事業者向け、消費者向け問わず幅広いサービス提供を行う。

今後の展望などについて、代表取締役CEO 和田 浩明氏に詳しく話を伺った。

住み替え促進の取り組みが不動産業界の急務

―― これまで、不動産業界にはどのような課題がありましたか?

和田氏:物件数・顧客数が減り、不動産会社の販売経費は上昇しています。中古物件の流通はまだ伸びていますが、新築の物件数減少に伴って必然的に減るはずです。人口も減っているため、住み替えを増やさなければ不動産のマーケットは広がらないと言われています。

ちなみにアメリカと比較すると、日本の生涯住宅購入回数は約1回ですが、アメリカは4〜5回。日本の生涯引っ越し回数は平均4〜5回に対して、アメリカは11回ほどもあります。こういったことから、流通も含めたLTVを作ること、そこへのアプローチを考えなければならないのが業界の課題です。

大手の事業者は売買プロセス自体のデジタル化と、その先を見据えることに大きな意義を感じているものの、解決の糸口を見出せず悩んでいます。一部の大手企業は自社でDXに取り組んでいますが、あまり上手くいっていません。不動産の売買手続きにはローンを始めとした社外のさまざまなサービスが紐づいているからです。

ITの知見、サービス作りのノウハウは不動産会社にないことも多く、外部のパートナーと一緒に取り組まなければ乗り越えられません。ただ、不動産会社が経営課題やDX、企業の変革に向き合おうとしても、パートナーがなかなか見つからない状況に置かれています。

―― 住宅購入時のユーザー体験については、どのような問題点が存在していますか?

2017年の調査では、住宅購入にまつわる手続きについて、9割の人が「大変だった」と回答しています。申込から、契約手続きや住宅ローン申請、火災保険など複数の書類記入やスケジュール調整、連絡の行き違いなどによるものです。

家を買ってよかったと言う人は多くても、購入体験がよかったと思う人は少ない。ここを変えなければ、住み替えに対するハードルの高さは変わりません。

不動産購入の課題
不動産業界はデジタル化の流れに追いついていないため、お客様の期待値とのギャップが起きています。コロナ禍をきっかけに、行政手続きも含めてオンラインで完結するものが増えました。お客様が当然のことと考えている体験を、不動産はまだ当たり前の状態にできていません。

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不動産購入の感動をもっと広げたい

―― GOGENを創業したきっかけを教えてください。

新卒で日鉄興和不動産に入社し、約8年勤めました。最初は物件の企画・販売・土地の取得などに携わり、コロナ禍のタイミングで経営企画に移って、スタートアップへの投資や全社的なDX推進を担当。その後、独立しました。

2021年の夏頃、不動産を通じた繋がりで出会った共同創業者の佐々木から「何か事業をしないか」という話がありました。会社員としてさまざまな経験を積んだ中で、応援してくださる方に応えるためにチャレンジしたい、という気持ちが大きくなりました。私は独立するなら不動産で、住宅、売買の領域まで絞って自分のレバレッジを生かしたいと考えていたので、この起業は自然なことだったと思っています。

会社員時代、商品の開発にあたって試行錯誤しつつも、自分自身の視点や感覚から、他業界で当たり前にできていることが不動産業界でも可能にならなければ、会社として成長しないと考えていました。起業してからもこの価値観は変わっていません。会社員として取り組む予定だったことを、独立してやっているに過ぎない、とも言えます。

不動産業界で生きてきた中で、正しいと思うことに取り組みたいです。社会にインパクトを残したいというよりも、当たり前の社会にしたい気持ちの方が強い。不動産だけ追いついていない部分を変え、家を買う体験に伴う感動や、満足感をみんなに感じて欲しいです。ただ、そのハードルは高く、私と同年代の人の多くは購入検討すらせず、なんとなく遠ざけています。それを、レリーズやゼロテで変えていきたい。そういう意味では、社会を変えたいと個人的には考えています。

電子契約を起点に不動産業界を盛り上げる

―― 今後の展望を教えてください。

まず短期的には、レリーズの基盤を繋げ、本人確認から契約、ローン手続きまで、ワンストップで提供します。エンドユーザーであるお客様との接点となり、複数の業務ドメインで使えるよう開発を進め、不動産事業者へ浸透させるには、この1〜2年が大きな勝負になると考えています。これを足がかりとして、その先は外部とのアライアンス、金融機関などとのサービス連携まで視野に入れています。

中長期的には、不動産取引の維持・向上が当社のミッションです。そのためには、BtoBtoCだけでなく、BtoCのモデルにもトライする必要があります。若年層も含めた一般のお客様が持つ、不動産購入に対する抵抗感をなくし、住むイメージが持てるようにデジタルを組み合わせます。機動性、資本力、戦力を身につけて、自社で切り込んでいきたいと思っています。

GOGEN株式会社

GOGEN株式会社は、不動産DXXプラットフォーム『Release(レリーズ)』や、住宅購入支援サービス『ゼロテ』を提供する企業。 DXXは、Digital Experience Transformationとして同社が掲げる造語。『Release』は、不動産売買における一連の取引フローで発生する契約手続きを実施できる電子契約・契約書管理サービス。『ゼロテ』は、住宅売買において買主と売主の間で同社が手付金の保証会社のような役割を担うサービス。買主は、同社と保証契約を締結するほか解約希望時に手付金相当の解約金を支払う特約を含む売買契約を締結。

代表者名和田浩明, 佐々木勇人
設立日2021年11月4日
住所東京都港区北青山2丁目14番4号
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