神戸大学発イムノロック、5010万円調達──ビフィズス菌活用し経口がんワクチンの開発を加速

神戸大学発イムノロック、5010万円調達──ビフィズス菌活用し経口がんワクチンの開発を加速

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ビフィズス菌の特性を応用した新規経口ワクチンプラットフォーム技術を開発する株式会社イムノロックは、神戸天然物化学、神戸信用金庫を引受先とする第三者割当増資により、シードラウンドB(追加分)で5010万円の資金調達を実施した。

イムノロックは、腸内細菌であるビフィズス菌を開発した経口ワクチンプラットフォーム技術の研究開発を主軸とする、2021年設立の神戸大学発スタートアップである。

従来の経口ワクチンは、抗原タンパクを腸管免疫系(腸に集中的に存在する免疫システム)に確実に届けることが課題だった。同社は、ビフィズス菌の表面に標的抗原を発現させる独自技術によってこの課題にアプローチし、がんや感染症など幅広い疾患への応用を狙う。主なパイプラインは経口がん治療ワクチン「B440」と、新型コロナウイルス感染症の経口ワクチン「BCOV332」。

B440は経口投与されると、腸管上皮のM細胞を介してパイエル板※1の樹状細胞に取り込まれ、抗原(WT1)が提示されることで、がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)※2を誘導する設計だ。非臨床試験ではCTLの強力な誘導が確認され、実験動物の複数のがん種モデルで抗腫瘍効果が示されている。臨床では、2023年1月から転移性尿路上皮がんを対象とした医師主導治験(第Ⅰ相)を神戸大学・広島大学・浜松医科大学の3施設で実施し、2025年5月に治験終了届が受理されたという。

代表取締役CEOは白川利朗氏。神戸大学卒業後、1990年代後半に米バージニア大学へ留学し、アデノウイルスベクターによるがん遺伝子治療薬の前臨床開発に従事した。帰国後は神戸大学医学部附属病院で前立腺がん患者を対象に遺伝子治療の臨床研究を実施し、腫瘍免疫を強力に誘導する治療法の必要性を確信。神戸大学教授としてビフィズス菌を用いた経口がんワクチンの臨床開発を進め、早期実用化に向け神戸大学発創薬スタートアップを創業した。

調達資金は、経口がん治療ワクチン「B440」の臨床開発に充当し、B440の早期実用化に向けた研究開発を進める計画だ。

※1 パイエル版:小腸(特に回腸終末部)の粘膜に存在するリンパ節の集合体で、腸管免疫を担う主要な免疫器官
※2 細胞傷害性T細胞:リンパ球T細胞の一種で、宿主にとって異物となる細胞(移植細胞、ウイルス感染細胞、がん細胞など)を認識して破壊する。かつては「キラーT細胞」とも呼ばれたが、近年はCTL(細胞傷害性T細胞)と呼ばれることが多い。

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