DriveXが約5000万円を調達──企業のAIトランスフォーメーションを加速

DriveXが約5000万円を調達──企業のAIトランスフォーメーションを加速

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スタートアップの株式会社DriveXが、加賀電子およびエンジェル投資家を引受先として約5000万円の資金調達を実施した。調達資金は、企業向けAIナレッジ基盤「IntegratorX」の開発強化およびAI分野の専門人材の採用に充てられる予定だ。

DriveXは2022年に設立され、企業のAIトランスフォーメーション支援や新規事業創出コンサルティングを提供してきた。これまでに製造、流通、ヘルスケア、不動産分野などで、AIを活用した業務改善や事業立ち上げの実績を有している。現在は、独自のAIプラットフォーム「IntegratorX」の商用展開に注力している。

今回の資金調達の主な用途は、「IntegratorX」の機能拡充とAI領域の人材強化である。「IntegratorX」は、企業内の部門ごとに分散している情報資産を一元化し、AIを活用したデータ利活用や業務効率化を推進する基盤システムだ。ERPやSaaS、オンプレミス環境など、さまざまな社内外システムとの連携が可能である点が特徴となっている。加えて、自然言語による問い合わせやタスク実行が可能なAIエージェントの設計・運用基盤も備えている。

代表取締役の永田篤広氏は、野村総合研究所でのエンジニア経験や複数回の起業経験、ヘルスケアベンチャーでの事業開発実績がある。2022年2月に、既存のコンサルティング会社の枠組みに課題を感じ、実務経験に強みを持つ事業家やAIエンジニアを中心にDriveXを創業した。

企業のデータ活用を取り巻く環境では、生成AIや業務特化型AIエージェントを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が進行する一方で、社内外に分散した業務データのAI利活用には依然多くの障壁が存在する。例えば、Microsoft 365やGoogle Workspace以外のクローズドシステムからのデータ抽出や分析、データ閲覧権限の厳格な管理、非構造・非定型データのAI活用の難しさ、プロトタイピングから本格導入に移行する際のコスト負担などが挙げられる。日本企業の約4割が生成AIのプロトタイプ検証(PoC)を開始しているが、全社導入や業務横断的な活用に至った事例は少ない。

こうした課題を背景に、DriveXの「IntegratorX」は、社内データのセキュアな一元管理と現場主導のAI活用を両立させる基盤構築を目指している。具体的には、全社システムを横断したAI検索機能や、業務ごとに特化した“マイアプリ”の作成による定型業務の効率化、会議や商談の音声データを自動で議事録化し即時共有する機能、ノーコードでAIエージェントを生成・配布できるエージェントビルダー機能などを備えている。これらにより、営業・製造・バックオフィスをまたぐデータ連携や業務の属人化解消、現場へのAI活用ノウハウの定着を支援する。

コスト面では、従来は外部委託による開発が中心だったAIエージェントの導入や改修を、企業内で段階的に進めやすくする特徴がある。小規模なPoCから適用範囲を拡大できるモデルで、全社的なDX投資のリスク分散にもつながるとされる。

競合領域には、海外のAI基盤プラットフォームベンダーやデータ連携SaaS、GPT連携型業務支援ツールなどが存在する。国内ではNTTデータや野村総合研究所、日本ユニシスといったシステムインテグレーターが関連サービスを展開している。こうした中で、セキュリティ管理やカスタマイズ性、現場業務に合わせた体制構築支援を包括的に提供するスタートアップ発のサービスは限定的である。

DriveXは、積み上げてきた実績と信頼を糧に、今回の資金調達を通じて「AI×事業創造力であらゆる事業をドライブさせる」というミッションの実現を加速させる。加賀電子をはじめとする大手クライアントの事業創出やAI Transformationを推進していく方針だ。

生成AI領域の進化に合わせ、顧客ごとのデータガバナンスやAI倫理対応、グローバル展開に向けたインフラ整備などが今後の焦点となる。

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