動物医療の未来を照らすミニイク、病院運営のDXで獣医師負担を軽減

動物医療の未来を照らすミニイク、病院運営のDXで獣医師負担を軽減

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KEPPLE編集部

動物病院の運営を支援するミニイク株式会社がプレシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による1.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、JSSA、YazawaVentures、アーキタイプベンチャーズ、ユナイテッド、その他個人投資家等。

今回の資金調達により、セールスや開発の人材採用に加え、動物病院における在庫管理を最適化する機能開発を進める。

動物病院に特化したオールインワンSaaS

同社が開発する「ミニイク」は、電子カルテや顧客管理、レセプトなど、複数の業務を効率化するオールインワンSaaSプロダクトだ。

LINEからのオンライン予約やCRM、電子カルテ、レセプトなどのシステムが相互に連携しており、予約から診察、会計までスムーズに行うことができる。処方薬や診察内容を電子カルテに打ち込むことで、薬の自動計算や処方箋の印刷までも簡単に行うことが可能で、業務時間の削減に貢献する。

電子カルテシステムが未導入の病院は多く、動物病院のデジタル化は遅れている。また、動物医療では、動物の種別ごとに専門科が細分化されるほか、薬剤師や臨床検査技師、管理栄養士などとの分業もされていない。そのため獣医師には多岐にわたる業務が求められ、長時間労働が問題となっている。

ミニイクは従来の動物病院向けシステムと異なり、多額の初期費用をかけずに月額料金の支払いで利用が可能だ。飼い主もお薬手帳や診療明細書、臨床情報を簡単に閲覧できるほか、夜間救急などの受診時にも、医師に既往歴などの情報をスムーズに提供することで迅速で高品質な医療の提供につながる。

サービスイメージ
サービスの正式リリースは2022年7月。2023年以降、地域の基幹病院を中心に導入が進み、55件以上の動物病院が利用する。(2023年12月時点)

今後は在庫管理の機能に加え、ペットフードやペット保険事業者向けの臨床データ提供など、データプラットフォームとしての開発を強化する。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 黒川 雄介氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

多忙を極める動物病院、獣医師の負担軽減がカギ

―― 動物病院運営に関する現状や課題について教えてください。

黒川氏:電子カルテの導入を中心とした、デジタル化の遅れは大きな課題です。電子カルテがないだけで、スタッフや病院内の情報が分散して必要な情報共有ができないなど、病院運営に非効率なオペレーションが発生してしまいます。

また、過酷な労働環境にも課題があります。動物病院のグループ化や統廃合が進んでいますが、未だに少人数で運営する病院も多く、長時間労働や精神的ストレスに影響するのです。院長だけで運営している病院だと、入院患者の面倒をずっと見ていなければいけないですよね。そのため、獣医師の勉強会は夜遅くに開催される傾向にあるなど、勉強に費やす時間も限られてしまいます。

アナログな業務が多いことで、現状を把握して最適な病院経営のための打ち手を検討することにも時間を割くことができません。診察に十分な時間を確保することも難しくなり、結果的に動物たちの治療にも影響してしまいます。

スタートアップスカウト

―― どのようなきっかけからミニイクを創業したのでしょうか?

9歳の頃から獣医師を目指し、夢をかなえて動物病院で臨床獣医師として勤務しました。しかしながら、念願の獣医師にはなれたものの、自分には不向きだと気付いてわずか半年で辞めたんです。大変ショックでしたが動物を助けたいという思いに変わりはなく、殺処分を減らすことに貢献したいと考え、その後は保健所の動物担当として勤務しました。

保健所の担当として、多頭飼育崩壊の家を訪問したことがあります。犬や猫などが繁殖しすぎることで、適切に飼育できなくなってしまう状況です。現場では、やせ細って弱った犬のほかに、残念ながら亡くなってしまっていた犬もいたんです。誰にも気づかれずに亡くなる動物たちが、実は身近にいる現実を知り、獣医師として悔しさや悲しさがこみ上げました。こうした動物たちが1匹でも救われることを願って創業したのがミニイクです。

当初はどこにいても、動物たちが安心して生活できる環境を提供するために、オンライン診療の仕組みが有用だと思ったんです。しかし、動物は言葉を話せませんし、獣医師は五感を使って診療しなければなりません。

そこでまずは患者宅を訪問する往診獣医向けのシステムから開始しました。その中で多くの検査機器やカルテを持ち運ばなければならない課題が大きかったことから、少しでも動物病院の運営を効率化し、助かる命が増えればとの思いで電子カルテシステムを開発しました。

世界中のどうぶつ達のヒーローに

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

競合の撤退や、オールインワンSaaSとしての露出強化も影響し、2023年に入ってから契約数が増えています。この3ヶ月で問い合わせも150件ほど頂いています。2025年までにはMRR1500万円を達成し、次回の資金調達に臨む予定です。

今回の調達資金は、セールスや開発の人材採用に加え、在庫管理の機能開発に充当します。薬で例を挙げると、薬局では薬の使用履歴や流行している病気や必要な薬の傾向などを把握して、適切に受発注を行っています。一方で動物病院は人手不足で履歴を管理できず、薬品の欠品が起こることもあります。こうした発注や流通を抑えることで、効率よい病院運営に貢献します。

―― 今後の展望を教えてください。

今後は、データを利活用することでサービスの幅を広げていくことが目標です。例えばウェブ問診のようなサービス開発を検討しています。ウェブ問診を通じて病気の徴候を知ることで、早期の検査や治療などにつながります。ほかにも施策やオペレーションの改善提案など、動物病院のデータ経営を支援することで、より良い診療や売上増加の取り組みに貢献します。

中期ではミニイクをデータプラットフォームとして、蓄積された臨床情報をオープン化し、既存のペット保険やペットフードなどの開発に活用してもらえたらと思っています。そうすることで業界全体を良いプロダクトで満たしたいんです。すでにカンボジアの動物病院でもミニイクを提供していますが、グローバル展開も今後は積極的に進めていきます。動物業界に熱意や思い入れのある方々とともに、課題解決に取り組んでいきたいと思います。

ミニイク株式会社

ミニイク株式会社は、動物病院の往診サポートシステム『ミニイク』を開発・運営する企業。 『ミニイク』では、往診に必要なスケジュールや顧客の管理、決済、電子帳票の作成などをWeb上で一元化できる。また、カルテやワクチン接種証明書のデジタル化により往診時の荷物削減が見込めるほか、地図アプリとの連携機能により予約情報から往診先の住所を地図で調べることができる。 システム使用料金は登録ペット数に応じて異なり、500頭までは無料で利用可能。

代表者名黒川雄介
設立日2020年6月5日
住所東京都豊島区西池袋2丁目1番2号
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