カラダの不調に立ち向かう、自由診療クリニックの煩雑な業務を支援

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KEPPLE編集部

自由診療クリニック向け業務支援SaaS「Medi Tec Hub」を提供する株式会社グリーンメチルがプレシリーズAラウンドにて、J-KISS型新株予約権及び第三者割当増資による1.05億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、Gazelle Capital、MSS、山本正喜氏(Chatwork 代表取締役CEO)、溝口徹氏(みぞぐちクリニック院長 オーソモレキュラー栄養医学研究所代表理事)、山崎貴史(MSS 代表取締役)。

今回の資金調達により、Medi Tec Hubの正式リリース後、4500以上のクリニックへの導入を目指す。

自由診療クリニック向けに属人化した業務の自動化を支援

Medi Tec Hubは、自由診療クリニック向けの業務支援SaaSパッケージだ。

サービスイメージ
予約受付の管理からデジタル問診票の作成や会計管理まで、クリニックの業務を網羅的に支援するほか、集客支援や顧客管理なども包括的にサポートしている。

また、血液検査などの検査データを解析し、患者向けレポートの作成を自動化できる点が特徴だ。従来、クリニックに紙で送られてくる患者の血液検査データを基に、医師が手作業で行っていたレポート作成の負担を軽減する。

一部のクリニックでプロダクトのテスト利用を開始しており、正式リリースは2024年1月を予定している。

さらに同社では、体内の不調について、生化学的な状態を調べる最先端のバイオロジカル検査を活用し、適切なアプローチを行うエグゼクティブ層向け健康支援プログラム「Health Focus」も提供している。

今後はプロダクトの提供を通じて得たデータを基に、製薬会社やアカデミア向けのデータビジネスへの展開を見込む。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 小林 良太氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

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ITと分子栄養学で未病の原因特定

―― Medi Tec Hub開発のきっかけを教えてください。

小林氏:以前、ドローン業界でドローンパイロットの育成や教習所の運営、大企業向けのDX支援などに携わっていました。ちょうどその頃に自身が体調不良となり、いくつかの病院を受診したものの、単なるストレス、不定愁訴と診断されました。

なかなか疲労感が改善せず、食事や摂取する栄養が影響しているのではないかと疑問を持ち出したことが大きなきっかけです。そこで医師に相談しながら、食事を変えたりサプリメントを利用することで、体調がかなり回復したんです。

自分と同じような未病や不定愁訴などの問題を抱えている人は多いのではないかと考え、これらの課題をITテクノロジーを活用して解決したいと思ったことが創業の背景です。

ビジネスを展開するにあたり、専門家と対等にコミュニケーションするための知識を得る必要があります。米国では主流となっている、分子栄養学という分野を中心に2年程勉強したことは、結果的に現場の医師たちの信頼獲得にもつながっていると思います。

今の日本の医療では、身体に何か問題が起きた場合、不調の根本原因を探るアプローチは少なく、対症療法のアプローチをとることが多いです。患者にとっては根本的な治療をしなければ、時間もお金もかかってしまいます。クリニックの業務負担を軽減し、根本原因を見つけるような治療ができるクリニックを増やそうという思いから、Medi Tec Hubの開発を始めました。

―― Medi Tec Hubには、どのような特徴がありますか?

Medi Tec Hubの特徴は、予約の受付管理や電子カルテなど、業務全般にわたる包括的なサポートを提供していることに加え、検査データの解析とレポートの自動生成ができる点です。

例えば、血液や栄養の解析は通常、紙のデータが提供され、医師による解析には時間と人手が必要でした。Medi Tec Hubを活用すれば、CSVデータをアップロードするだけで自動的に解析を行い、レポートが即座に生成されます。これにより、時間と人的コストを節約できる点が大きな強みです。

レポート生成イメージ
また、医師が患者に説明するためのツールとして、動画などのコンテンツも制作しています。患者は、自身の健康に関するデータを記録するPHR(パーソナルヘルスレコード)を経由し、手持ちのスマートフォンで検査レポートや動画へのアクセスが可能です。

医療業界への拡大とデータビジネスの展開

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

2022年5月のシードラウンドでは約2300万円を調達し、プロダクトのMVPの開発やヒアリングを進め、ニーズがあることを検証できました。プロダクトを正式リリースし、多くのクリニックにサービス提供していくために今回の調達を行いました。

今回の資金調達では、当社ビジョンやプロダクトに共感いただいた、医療業界の著名な専門家などを株主として迎え入れることができました。株主の支援を受けながらクリニックへの導入を進め、スピーディーに事業展開を行っていきます。

また、2024年の秋ごろには、シリーズAラウンドでの資金調達を予定しています。次回の調達までには、無料と有料プランを合わせ、Medi Tec Hubの導入4500医院を目指しており、さらなるプロダクトの強化を目的としたエンジニアの採用は積極的に進めています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

まずはクリニックへMedi Tec Hubの導入を進めながら、今後は、患者の症状に対してどのような治療やサプリ、薬などを使用したかという、匿名化されたビッグデータを活用したデータビジネスへの展開を予定しています。

データ活用イメージ
利用するデータには、施した治療やそれによる病状の改善など、治療の履歴が記録されています。保険診療ではこうしたデータは比較的充実してきていますが、自由診療では市場も保険診療に比べて小さく、データはまだ不十分です。個人情報は匿名化をしたうえで情報をデータベースとして提供できれば、アカデミアや製薬会社、保険会社などの領域で活用できるはずです。

また将来的には、海外のバイオロジカル検査を国内展開するライセンスの取得や、身体の不調の根本原因をしっかりと見てくれる最先端のクリニックのプロデュースも目指しています。

健康は、すべての人が直面する社会課題です。今後も、最先端の医療知識がある医師と連携しながら、健康や栄養に関するコンテンツの発信も強化し、健康に過ごせる社会に貢献していきたいと考えています。

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