愛猫の微細な変化を捉える、ペットの健康管理に新風

愛猫の微細な変化を捉える、ペットの健康管理に新風

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KEPPLE編集部


猫の痛みを検知する「CatsMe!」を運営する株式会社Carelogyが、クオンタムリープベンチャーズを引受先としたJ-KISS型新株予約権による資金調達を実施したことを明らかにした。

今回の資金調達により、さらなるサービスの機能開発を目指す。

AIによる表情分析で猫の痛みを検知

CatsMe!は、猫の顔写真をアップロードするだけで、AIが猫の表情を分析して痛みの徴候を調べることができる無料のWebアプリだ。

画面イメージ
猫の動物病院来院率は犬などに比べて低く、全体の約3分の1が年間で一度も来院しないと言われている。CatsMe!を利用することで猫の痛みを検知し、来院を促すことで病気の早期発見や健康のモニタリングに貢献する。

2023年5月のリリースから半年で世界47ヶ国で利用され、累計のユーザー数は13万人以上、 AIによる判定回数は16万回を達成した。痛み検知の精度は95%以上だという。

今回の資金調達と合わせて、サービスの有料版リリースを発表した。複数枚の写真アップロードや複数頭の猫のデータ管理など、有料版でしか利用できない機能が充実している。

今後は動物病院や猫関連ビジネスを手掛ける企業との連携を強化しながら、サービスの提供を拡大していく計画だ。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 崎岡 豪氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

手遅れにならない健康管理を当たり前に

―― 御社が解決に取り組む課題について教えてください。

崎岡氏:猫の来院頻度は犬と比べて低く、約3分の1の猫が年間で1度も動物病院へいけていません。犬と比較しても、定期的な来院頻度は著しく低い傾向にあります。

猫の表情変化を正確に読み取ることは難しく、獣医師でも痛みの徴候に気づきにくいと言われています。そのため病院に連れていくまでに至らないのです。結果的に体調異常を抱えているにもかかわらず、約70%は放置されてしまっています。

実際に体調に異常が現れてから病院を訪れると、すでに重篤な病気の末期症状が見られるケースもあるため、定期的な来院は非常に重要です。また、猫の専門医が少ないことで専門性が低下し、症状の見過ごしにつながる課題もあります。

動物病院からの情報発信を強化しても、なかなか猫の来院は増えません。来院が増えなければ、猫に関連するペットフードやサプリ、医薬品などの発注量も限られてしまいます。猫の来院頻度が少ないことで、動物病院や猫関連企業など、猫に関連する市場が小さくなっていることも課題の一つです。

―― CatsMe!には、他の猫関連サービスと比較してどのような特徴がありますか?

猫の来院が少ないことは、日本に限らず世界的な問題です。世界ではウェアラブルデバイスの販売や動物病院の口コミサイト運営など、スタートアップも参入してさまざまな取り組みを行っていますが、来院頻度はそれほど上がっていません。

CatsMe!は、無料で使える点が多くのサービスとは異なります。インストールせずに、普段撮影している猫の写真をアップロードするだけですぐに利用できる利便性も魅力の一つです。利用のハードルがないことでユーザーに使われ、もしも痛みが検知されれば通院を促すきっかけになります。

こうした取り組みは世界でもユニークで、日本では動物病院での案内や口コミを通じて拡散されることが多くなっています。

―― どのようなきっかけから、CatsMe!を開発したのでしょうか?

以前は、外資系の戦略コンサルティングファームでヘルスケアセクターのM&Aに携わっておりました。海外と日本ではヘルスケアセクターにおいて大きなデジタル格差があることに気付くと同時に、ビジネスチャンスもあるのではないかという思いから、中学生からの同級生で医師の河本に声をかけて設立したのがCarelogyです。

当初は、AIを活用して人間向けの医療サービスを考えていました。レントゲンなどの画像は個人情報に該当するため、研究のハードルが高い状況には頭を悩ませていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大時には肺炎画像を判別する技術の展示を行うなど、技術開発を続けていました。

その頃日本大学の獣医師である枝村先生に出会い、この技術を別分野に応用することができないかと相談をしていました。その中で、猫の顔画像であれば個人情報に該当せず、データとして扱いやすいのではないかという着想から、猫の痛みを検知するというコンセプトに方針転換してCatsMe!の開発を始めました。

ステークホルダーを巻き込んだ事業拡大へ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

2名で創業したCarelogyもメンバーが増え、CatsMe!を本格的にリリースしてユーザーも増加する中で、今後の有償化に向けた開発強化を目的に資金調達を実施しました。

多くの機能開発も予定しています。痛みの度合いを判定する機能や、写真をアップロードすると自動で写真を猫の顔をトリミングする機能のほか、判定時にアップロードできる写真の数を増やすなど、より簡単に多くの情報を管理できるようユーザーの利便性向上を目指しています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

まずは今後2年ほどで、国内にいる猫のうち約10%に相当する80万頭以上の飼い主に利用されるサービスを目指します。

最近では、動物医療分野において疼痛管理が注目されています。当社の認定病院にユーザーを送客するなど、飼い主を中心として、動物病院や猫関連ビジネスを行う企業などのステークホルダーを巻き込んだビジネス展開を計画しています。

犬の分野では、来院は猫と比較して多い一方で、誤診が問題視されています。犬のレントゲン画像を解析して、獣医師の診療補助に活用するサービスも開発を進めている段階です。

サービスを自社で開発し、技術的な優位性を社内で保有している点は当社の大きな強みです。この強みを活かして、今後は市場の大きな海外にも積極的に展開していきたいと思います。


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