寄付で“持続可能な支援のかたち”を生みだすスタートアップ5選

寄付で“持続可能な支援のかたち”を生みだすスタートアップ5選

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誰もが“支援者”になれる時代へ──寄付の仕組みを変えるスタートアップ 

寄付は、公益活動を支える重要な資金源である一方、仕組みや体験設計の面で長年イノベーションが乏しい領域とされてきた。

日本の寄付市場は、個人による年間寄付総額が約1兆円と推計されており、米国の約35兆円と比べても規模・定着度ともに大きな差がある。さらに、日本の寄付の約6割は「災害時の緊急的な支援」に集中しており、日常的・持続的な寄付という文化はまだ発展途上だ。

特に課題視されているのは、資金の透明性・トラッキング手段の乏しさ、寄付者との継続的な関係構築の難しさ、支援先の選択肢の偏在、そしてそもそも「寄付をするきっかけ」の少なさだ。こうした構造的な課題を放置したままでは、必要な活動に十分な資金が届かない状態が続く。

そのような背景のもと、近年はテクノロジーの力で「寄付の構造自体を設計し直す」スタートアップが増えている。寄付という行為を個人の意志による選択から、社会に組み込まれた仕組みへと変えていく動きは、今後ますます広がる可能性を秘めている。

本記事では、寄付のあり方をアップデートする革新者たちの最前線に迫る。

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スタートアップ5選

株式会社Alumnote

企業HP:https://corporate.alumnote.jp/

大学・教育機関向けに寄付管理や同窓生データベース構築支援を行う。大学の財政基盤強化を目的に、寄付募集や同窓会組織の運営支援に特化したSaaS「Alumnote」を展開。さらに、学生と企業をつなぐキャリア支援プラットフォーム「Cross Campus」も新たに開発し、「企業から大学へのお金の流れ」を創出する新事業にも着手。

2025年7月には、シリーズAラウンドにて、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、UTEC-東京大学エッジキャピタルパートナーズなどを引受先とした第三者割当増資と融資により、総額7.6億円の資金調達を実施した。

コングラント株式会社

企業HP:https://congrant.com/jp/

NPO・公益法人など、ソーシャルセクター向けに、寄付募集ページの作成、オンライン決済、支援者管理、領収書発行まで一体化したシステムである、寄付DXプラットフォーム「コングラント」を提供している。2025年7月現在、3000以上の団体が導入し、寄付流通額は100億円超に達している。ほかにも、「コングラント for Business」を通じて、マッチング寄付や従業員寄付を支援し、企業の人的資本経営やESG開示に貢献するサービスを提供している。

2025年5月には、寄付体験を革新するスマート寄付アプリ「GOJO」の提供を開始した。1タップ100円から気軽に応援でき、寄付者の寄付体験を劇的に向上させることで、国内寄付の新たなスタンダードとなることを目指す。

株式会社テーブルクロス

企業HP:https://tablecross.com/

日本食に特化した訪日外国人向けグルメプラットフォーム「byFood.com(バイフード)」を運営し、食体験やレストラン予約、越境ECや動画メディアをワンストップで提供している。byFood.comでは、予約1件につき途上国の子どもたちに学校給食10食分(約150円相当)を提供する仕組みを設けている。これまでに累計で55万人分以上の学校給食を提供し、SDGs「飢餓ゼロ」の実現に貢献している。

2025年5月には、ホテルDXプラットフォームの開発・提供を行うWayfarerと業務提携を開始した。これにより、旅行者は滞在先から地域の食体験を英語で予約が可能となり、利便性向上とともに、地域経済の活性化と国際的な社会貢献を両立する新たな仕組みの構築を目指す。

株式会社ギバース

企業HP:https://www.givearth.jp/

自己負担ゼロで寄付ができるEC連携アプリ「Givearth(ギバース)」を提供している。ユーザーはアプリ内からAmazonや楽天などのオンラインショップで買い物をするだけで、追加費用なしに売上の一部が指定した寄付先に自動寄付される仕組みだ。寄付先は自由に選択可能で、「子ども」「動物」など関心のあるジャンルに基づいて寄付先を選べる。購入価格やポイントは従来通り変わらず、寄付が「ながら」で完了するため、手軽かつ日常的に社会貢献できる。

2025年5月には、セブン銀行グループのセブン・カードサービスと業務提携を開始。全国2万店舗以上のセブンイレブンで“何を買っても寄付になる”体験を提供する。

株式会社ARIGATOBANK

企業HP:https://www.arigatobank.co.jp/

アプリ内でキャンペーンやじゃんけんゲームに参加することで、ARIGATOBANK残高(電子マネー)を獲得可能。その残高は世界中のVisa加盟店でショッピングに利用できる。残高は寄付にも活用可能で、アプリ上から提携するNPO団体などへ、100円から気軽に支援できる仕組みも提供。

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※日本ファンドレイジング協会 「
調査研究(寄付白書)

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