聴覚から社会を変える──サウンドテックスタートアップ5選

聴覚から社会を変える──サウンドテックスタートアップ5選

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音で世界を再構築するサウンドテック 

音声認識や空間音響、ウェアラブルデバイスなど、聴覚を軸にしたテクノロジーが新たな産業領域を切り開いている。従来は「見る」ことを中心に発展してきた情報社会において、今「聞く」ことの価値が再発見されつつある。スマートスピーカーや音声アシスタントの普及により、人と機械のインターフェースが視覚から聴覚へと広がり、同時に、音環境や聴覚データの利活用が多様な社会課題の解決にも結びつき始めている。

サウンドテックは、単なる音響機器や音声認識技術にとどまらない。聴覚情報を通じて「環境を把握する」「感情を分析する」「安全を確保する」など、人の行動や心理に寄り添うテクノロジーとしての可能性が注目されている。例えば、都市の騒音データを活用した環境モニタリング、聴覚障がい者の社会参加を支援する音声可視化ツール、AIによる音声感情分析を用いた接客支援など、領域横断的な応用が進む。

こうした動きを牽引しているのが、聴覚体験を再定義するサウンドテック系スタートアップだ。ハードウェア、AI、医療といった知見を融合し、音を通じて「人と社会の関係」をデザインし直す試みが世界中で広がっている。

本記事では、聴覚の可能性を社会的価値へと変えるサウンドテックスタートアップの最前線に迫る。

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スタートアップ5選

wavelogy株式会社

企業HP:https://wavelogy.jp/

音の収集と解析の技術を基盤に、耳では捉えられない“音の気配”をAI技術で可視化する東京科学大学発ベンチャー企業。音響解析技術を活用し、機械音の異常検知、漏水調査、森林評価など幅広い分野で応用。音データの特徴量抽出やAI推論を駆使し、高精度な解析と効率的なソリューションを提供する。

2025年7月には、神奈川県企業庁の先進的な漏水調査技術に関する共同研究への参画を発表した。「AI漏水判断システム・SuiDo」を活用し、データの収集、解析等を行う。本共同研究を通じて、神奈川県企業庁および漏水調査の現場ニーズに応える技術の確立への貢献を目指す。

株式会社toor

企業HP:https://www.toor.jpn.com/

ビッグデータ解析プラットフォーム「toorPIA(トピア)」を開発・提供している。toorPIAは、多軸のロボットアームの筐体(台座)に設置した音や振動センサーから得られる振動データから、1000を超える次元の周波数データ全体を直接そのまま解析し、類似度にもとづき2次元マップ化。大規模プラントのベルトコンベアの予兆保全や、生産工程のモニタリングシステムなどに活用されている。

株式会社アニモ

企業HP:https://www.animo.co.jp/

音・音声関連のソフトウェアおよびソリューションの開発・販売を手がけ、音響・振動診断技術とAIを組み合わせたスマートファクトリー/産業インフラ向けの音・音声DXを推進している。通話録音、音声認証、音声合成、音響分析などをクラウド・オンプレミスの両方で提供し、幅広い業界における音情報の活用を支援している。

株式会社ファーストアセント

企業HP:https://first-ascent.jp/

赤ちゃんの泣き声から感情を解析するアプリ「CryAnalyzer」を開発・提供している。「泣いている理由がわからない」という育児の負担を軽減するため、2万人のモニタユーザーから収集したデータをもとに独自の泣き声診断アルゴリズムを開発。ユーザーフィードバックでは80%以上の正答率を記録している。主に海外向けサービスで、「パパっと育児@赤ちゃん手帳」でも診断機能が利用可能。

株式会社Ubitone

企業HP:https://ubitone.com/

同社は、盲ろう者のコミュニケーションを支援するデバイス「Ubitone」を開発している。盲ろう者が相手の指に触れて文字を読み取る「指点字」に着目し、手袋型デバイスにセンサーを搭載。スマートフォンアプリと連動し、話し手の音声を文字認識、その文字を指点字に変換して指先の振動で伝える仕組みだ。これにより、音声での情報取得が難しい盲ろう者ともリアルタイムで意思疎通が可能になる。

さらに、手袋を装着した盲ろう者が指点字を打つと、その動きをアプリが認識して音声に変換することもでき、双方向のコミュニケーションを実現している。

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