医療AIパートナー「ユビー」、正式提供を開始──“医療迷子”の解消に向け新フェーズへ

医療AIパートナー「ユビー」、正式提供を開始──“医療迷子”の解消に向け新フェーズへ

xfacebooklinkedInnoteline

Ubie株式会社は2025年9月16日、AIとの会話を通じて医療支援を行う医療AIパートナー「ユビー」の提供を開始したと発表した。月間1300万人が利用する症状検索エンジン「ユビー」で培った知見をもとに開発され、医療情報の提供だけでなく、利用者が適切な医療行動を取れるよう対話形式で伴走するAI型サービスである。利用料金は無料。iOSおよびAndroidに対応するアプリとして提供される。

Ubieは、2017年に設立されたヘルステックスタートアップで、個人向け、医療機関向けにサービスを提供している。これまでに、症状から病気や受診先を検索できる「ユビー」や、医療機関向けの「ユビーAI問診」などを展開してきた。全国47都道府県、1800以上の医療機関との連携実績があり、医療機関と生活者の両面から医療アクセスの課題解決を目指している。

同社の「医療アクセス実態調査2025」によると、日本では体調不良時の行動判断に悩む「医療迷子」が72%に上ることが明らかになっている。症状を検索しても、次に何をすべきか判断できない「立ち往生」状態にある人が42%に達しており、医療情報の過多と複雑さが新たな社会課題として浮上している。

医療AIパートナー ユビーは、こうした状況に対応するために開発された。従来の検索型サービスとは異なり、ユーザーの健康状態や過去の診療履歴などを対話を通じて把握し、受診判断や医師との対話準備、診療後の疑問解消まで、医療行動の各段階で個別にサポートする。サービスの監修には50名以上の医師が関与しており、情報の信頼性確保にも注力している。

代表取締役の阿部吉倫氏は医師としての臨床経験を持ち、医療現場での知見と医療データに基づいた開発を進めてきた人物。大学卒業後に東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了し、血便を放置して48歳で亡くなった患者との出会いを契機にデータサイエンスの道へ進んだ。その後、BtoCヘルスケア領域のソフトウェア開発やWebマーケティングに取り組んできた久保恒太氏と共に、2017年5月にUbieを創業した。

阿部氏は「7年間で1800の医療機関と築いた信頼関係と、1300万人の皆様からいただいた知見を結集し、医師が開発した医療AIパートナー『ユビー』をお届けします。2030年に医療迷子を半減させ、現代医療が抱える課題解決の一手として貢献してまいります。」と述べている。

近年、医療現場では人手不足や制度改革による負荷増が顕在化しており、生活者にとっては医療情報の信頼性と行動の判断基準がますます重要になっている。Ubieのような対話型AIサービスは、個人の医療行動をサポートし、結果として医療機関の負担軽減にもつながる可能性がある。

今後、Ubieは医療AIパートナー ユビーの普及を通じて、「医療迷子」経験率を現状の72%から2030年までに36%へと半減させることを目指す。また、利用者数を月間3000万人に拡大し、AIによる“案内力”を80%に引き上げる計画だ。さらに、医療現場・政策・生活者をつなぐ「医療迷子レスキュープロジェクト」も同時に発足し、多方面との連携を進めていく。

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

ケップルグループの事業