SUSHI TOP MARKETING、1億円調達でNFTマーケティング事業を強化──郵便局ネットワークと連携し全国展開へ

SUSHI TOP MARKETING、1億円調達でNFTマーケティング事業を強化──郵便局ネットワークと連携し全国展開へ

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NFT(非代替性トークン)を活用したマーケティング事業を展開するSUSHI TOP MARKETING株式会社は、日本郵政キャピタルを引受先とするシリーズA 3rdラウンドで1億円の資金調達を実施した。

SUSHI TOP MARKETINGは2021年創業のスタートアップで、主に企業向けにNFTを用いたマーケティングソリューションを提供している。主力サービスにはNFT配布システム「NFT Shot」や、ユーザーがアカウントを作成せずにNFTを受け取れる「SUSHI TOP MyApp」、NFTの流通や関与度を分析する「トークングラフマーケター」などがあり、これらの基盤技術は特許を取得している。同社の特徴は、ユーザーがウォレットの準備を必要とせず、NFTを即時受領できる仕組みを採用している点にある。この仕組みにより、従来NFTに馴染みのなかった層にも利用体験の拡大を目指している。

代表取締役の徳永大輔氏は山と渓谷社に新卒入社後、インプレスホールディングス子会社・天夢人で書籍プロデューサーを務める。その後、メディア事業で起業し、同社の事業売却を経てJPYCに入社。2021年には、SUSHI TOP MARKETINGを創業した。企業が直面するマーケティング課題や、ブロックチェーン技術の社会実装への関心が創業の背景にある。

NFTを活用したマーケティング支援事業は、国内外で拡大傾向にある。NFTマーケットプレイスやデジタル認証、リワード施策など、さまざまな業態が参入しており、2024年時点でグローバルNFT市場規模は22億ドルを超え、2025年から2034年にかけて25.9%のCAGRで成長すると予測されている。一方、日本市場では消費者保護、ユーザビリティ、既存CRMとの連携などの課題が存在する。SUSHI TOP MARKETINGのように、web3特有の煩雑な操作を意識させないノンカストディアル型のサービスは、ユーザーの裾野拡大に資するものとして注目を集めている。

SUSHI TOP MARKETINGは日本郵政グループと連携し、郵便局ネットワークを活用した地方創生プロジェクトを推進している。たとえば島根県大田市の石見銀山エリアでは、デジタルスタンプラリーを実施し、観光客の回遊情報や地域活動をNFTとして記録することで、地域内行動の可視化を実現している。これにより、地域経済の活性化、文化資産の継承、郵便局の来局数や物販実績の向上など、具体的な成果が報告されている。また、同社の技術は国土交通省や総務省の事業にも採択され、全国各地での展開が進む。宮城県東松島市では、郵便局を拠点としたNFT施策により、観光や地域イベントと連動したデジタルインフラの構築支援を行う。

NFT施策の導入により、従来のプロモーションでは取得が難しかった消費・回遊データや関係人口(地域に関与する人々)の規模や関与度を、ブロックチェーン上で可視化することが可能となる。加えて、NFTの受領時に個人情報を取得しないため、プライバシーリスクを低減しつつ、行動ベースのセグメンテーションやロイヤルティプログラムの設計、さらには行政・民間を横断した地域データ基盤の形成にもつながる。こうしたモデルは、少子高齢化や地域人口の減少が進む日本において、観光や地場産業の活性化、コミュニティ形成施策の一部として利用が広がっている。

今回の出資には、日本郵政グループが持つ全国の郵便局をリアル拠点とし、オフラインイベントや地域交流の場で得られるアクションデータをNFT・ブロックチェーン技術で統合する意図がある。これにより、生活の中で自然にNFTやweb3関連サービスが利用される環境が整い、企業や自治体がデータドリブンなマーケティングや施策設計を実施しやすくなる。

調達した資金は、日本郵政グループと連携した地方創生や、地域の文化をデジタル技術で未来へ繋ぐ取り組みをさらに拡大し、ブロックチェーンによる地域経済支援を全国で推進する方針だ。

SUSHI TOP MARKETINGが展開する「トークングラフマーケティング」や、NFTを起点とした地域経済活性化モデルの普及が今後どのように進展するか、業界関係者の関心が集まっている。

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