政治をテクノロジーでDXするスタートアップ5選

次世代の分散型インターネット環境「Web3」は今後国内でどのような広がりを見せるか。
Web3は、2018年頃から始まったとされるブロックチェーン技術を活用した非中央集権的な技術やサービスの新たな概念だ。その代表的な技術としては、NFT(非代替性トークン)やDAO(自律分散型組織)、DeFi(分散型金融サービス)などが挙げられる。この新たなビジネスモデルの世界的な普及に伴い、日本でも経済産業省が環境整備に向けた取り組みを進めている。
現在、大手企業がNFT事業に参入するなど、市場が拡大しつつある。しかし、一般消費者に向けては、飲料・食品メーカーやゲーム会社など一部のBtoC企業がNFTを利用したプロモーションを行っているのに留まり、その活用は限定的となっているのが実情だ。
このような状況に風穴を開けようと挑むのが、法人向けにWeb3ソリューションを提供する株式会社クリプトリエだ。同社はこのたび、法人向けのNFTマーケティング・プラットフォーム「MintMonster(ミントモンスター)」をリリースした。
3年で導入企業500社を目標とし、さらなる機能拡張や自治体との連携も目指すという。
MintMonstorは、NFTをビジネスに活用するためのマーケティング・プラットフォームだ。NFTという成長分野にいち早く参入し、ユーザーに新たな消費者体験を提供したいBtoC企業にマッチしたサービスとなっている。
NFTは、偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタル資産で、暗号資産と同様、ブロックチェーン上で発行および取引される。これまで、その活用には高度な専門性や管理体制が必要とされていた。
企業はMintMonstorの活用により、NFTの発行から配布、そして活用や効果測定までをワンストップで行うことができる。NFTの発行の際に、QRコードやNFCタグを利用するため、企業は暗号資産の保有やウォレット管理の必要がなく、受け取るユーザーもウォレットなどの事前準備が不要。メールアドレスさえあれば簡単にNFTを受け取れるなど、これまでのNFT配布や受け取りにおける課題を解決する。
配布だけではなく、ユーザーが店頭などで利用できるクーポン機能や、特定のNFT保有者だけがアクセスできる限定コンテンツの公開機能「トークンゲート機能」なども搭載。さらに、NFTを活用したマーケティング施策を通して新規顧客の獲得や、既存顧客のロイヤリティを高める施策も実施できる。
NFTの技術を活用した新しいデジタルマーケティング手法により、顧客と企業の間で継続的なコミュニケーションを図れるようになる。
費用は月額制で、ユーザー数や機能数に応じて5万円から利用が可能。導入企業を拡大していくとともに、自治体との連携も進め、地域の活性化も目指すという。
今回の新サービスローンチに際して、代表取締役CEO 手塚 康夫氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
―― これまで企業や自治体によるNFTの活用にはどのような課題がありましたか?
手塚氏:企業や自治体などが新しい施策にNFTの配布を活用するケースも徐々に出てきています。しかし、配布のみで終わってしまい、新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤリティ向上など、配布後のマーケティングに活用できず、ビジネス成果が得られていないケースも多いです。その結果、施策が終了してしまうなど導入が広がっていかないという状況もあります。
また、NFTを活用する際、配布のためには暗号資産の保有や複雑なウォレットの管理が必要であったという点も、あまり活用が進んでこなかった理由の一つです。
―― MintMonsterの機能や特徴について教えてください。
MintMonsterは、NFTをビジネスに活用する企業に向けた、マーケティングサービスです。
NFTの配布や受け取りが容易で、活用や効果測定までワンストップでサポートできることが特徴です。企業は暗号資産を所有する必要がなく、NFCタグやQRコードを使って簡単にNFTを配布できます。ユーザーはメールアドレスの登録だけでNFTを受け取ることが可能です。
たとえば、イベント会場では参加者向けにQRコードを設置し、ユーザーが簡単にウォレットを作成してNFTを受け取るといったことができます。これらのNFTは店頭でクーポンとして使用したり、特定のコンテンツへのアクセス権として利用することができます。
ユーザーの行動を促進し、そのインセンティブとしてNFTを配布する仕組みを提供しているため、マーケティング戦略に幅広く活用いただけます。さらに、管理機能や効果測定も提供することで、効率的なマーケティングが可能となります。
―― どのような背景からサービスを開発されたのでしょうか?
2021年頃から別会社でNFTのコンサルティングや受託開発を行っていました。お客様との対話を通じて、NFTを販売するのではなく自社の商品やサービスをプロモーションするためのNFTマーケティングの可能性に気づきました。
最近では、NFTを配布する取り組みやプラットフォームが登場しています。しかし、配布から活用、効果測定までをSaaS型でワンストップできるサービスが少なく、効率よくWeb3を活用するためのサービスの需要の高さを感じたのです。
また、既存のWeb2マーケティングとの融合についてもソリューション不足であったため、この課題を解決するための新しいサービスを開発したいと考え、プロダクトの開発にいたりました。
そして、手軽にNFTマーケティングに取り組んでいただくための新しいサービスとしてMintMonsterのリリースに至りました。
―― 今後、拡充を予定している機能がありましたら、教えてください。
NFTの活用には、7種類ほどのミッションを用意しています。ミッションとは、来店時や商品購入時のQRコードやNFCタグの読み取り、メールアドレス登録、SNS連携、アンケート回答などのユーザーの行動を促す機能です。今後も、幅広いユースケースに対応できるよう、ミッションの種類や機能を拡張していく予定です。
これにより、顧客とのエンゲージメントを強化し、企業やブランドのロイヤルティを高めることが期待されます。さらに、市場や需要の変化に応じて、柔軟に機能を調整・追加していくことで、NFTの活用価値を最大限に引き出すことを目指しています。
―― 今後の目標について教えてください。
まずは大企業を中心に、3年間で500社への導入を目指します。これにより、NFTマーケティングの普及を促進し、多くの企業が新たなビジネスチャンスを見い出せる環境づくりを支援します。
自治体からのご相談も増えてきており、すでに取り組みも始まっています。先日、三重県明和町の御朱印のNFTを活用した「e御朱印」の開発への協力も発表しました。
今後も事業会社と同様に自治体との連携を強化し、地方創生にも貢献していきたいと考えています。
代表取締役CEO 手塚 康夫氏
―― 今後の展望を教えてください。
Web3が主流となる時代は目前まで迫っています。そのような時代の先駆けとして、私たちのサービスを活用いただき、新たな可能性を広げていただきたいと思います。そして、多くの企業が手軽に、当たり前のようにNFTをマーケティング活用し、成果を上げていく世界を目指します。
今後も時代の潮流やトレンド、ニーズに柔軟に対応し、ウォレットやトークンなどの機能も拡充し、進化していきたいと考えています。
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