孤独社会を救う、共感テック系スタートアップ5選

孤独社会を救う、共感テック系スタートアップ5選

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孤独を社会課題として解く──共感テック系スタートアップの挑戦

日本では人口減少や高齢化、都市化の進展を背景に、「孤独・孤立」が深刻な社会課題として浮上している。内閣府の調査によれば、日常生活で孤独を感じると答えた人は4人に1人にのぼり、特に若年層や高齢層で割合が高い。孤独はメンタルヘルスや身体的健康にも影響を与えることが示されており、社会全体での対応が急務とされている。

こうした状況を受け、近年「共感テック」と呼ばれる領域に取り組むスタートアップが注目を集めている。AIや音声認識、チャットボットなどを活用し、人の気持ちに寄り添うコミュニケーションを実現する試みや、共感的なつながりを支援するオンラインコミュニティの設計が進んでいる。従来のSNSとは異なり、「承認欲求」ではなく「安心感」を軸にしたプラットフォームやサービスが広がりつつあるのが特徴だ。

国内外では、孤独の緩和を目的とした対話AI、メンタルヘルスケアアプリ、趣味や関心ごとでつながる共感型マッチングサービスなど、さまざまなアプローチが登場している。単なるテクノロジーではなく、人間の「心のつながり」をどう再設計できるか──そこに社会的な期待が集まっている。

本記事では、孤独社会に挑み、人と人の間に新しい共感の回路をつくろうとするスタートアップを紹介する。

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スタートアップ5選

株式会社オリィ研究所

企業HP:https://orylab.com/

2012年に設立された早稲田大学発のスタートアップで、「孤独の解消」を理念に活動する。遠隔操作ロボット「OriHime」は、入院や身体的制約で移動が難しい人々がコミュニケーションや学業、就労に参加できる“分身”として活用されている。視線入力による「OriHime eye」や、障害者が接客に参加できる「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」なども展開。孤立しやすい人々に社会との接点を提供し、孤独感を軽減することを使命に掲げる。技術開発だけでなく、実証実験や人材支援を通じて「誰も孤独にしない社会」の実現を目指している。

2024年6月には、LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」が新たに開設した、「FRIENDLY DOOR サポートデスク」にて業務提携を行った。

ロボ・スタディ株式会社

企業HP:https://robostudy.jp/

静岡・浜松を拠点に、音声認識や画像認識、AI解析技術を活用したコミュニケーションロボットの受託開発を軸に、AI見守りロボット「AI・みまくん」の開発・販売を手がける。「AI・みまくん」はChatGPTを搭載し、自然な対話・多言語対応を通じて高齢者の孤独感を軽減し、見守りや服薬・睡眠リズムのサポートを行うほか、音声認識による日報自動作成といった介護支援機能も備える。

rinna株式会社

企業HP:https://rinna.co.jp/

2020年にマイクロソフトから独立して設立されたAIスタートアップ。フラグシップAI「りんな」は、2015年にLINEで誕生したキャラクターで、860万人以上とつながり、共感をベースとした対話体験を広げてきた。事業の核は、人とAIが共感し合うコミュニケーションを実現する“共感テック”であり、対話型AIアバター「Virtual Human Talk」、感情表現を伴う音声合成「Koemotion」、業務向けカスタムLLM「Tamashiru Custom」などを展開。

2025年5月には、Qwen2.5とDeepSeek R1を利用し、高い日本語テキストの生成能力を持った「Qwen2.5 Bakeneko 32B」シリーズを公開した。

つながりAI株式会社

企業HP:https://tsunagari-ai.com/

傾聴に特化した「相談AI」と日常会話の「友達AI」を中核に、自治体・教育・企業領域で孤立やいじめ、人手不足といった課題に挑む。共感型AIの「友達AI」では、24時間365日、友だちのように寄り添う。雑談から深い悩みまで受け止め、不登校・いじめ・希死念慮のサインを早期に察知。海外在住の専門職も加わる常時伴走体制で、深夜の異変にも即応。子どもたちの心と命を守る。職場で孤立しがちな運送ドライバーや訪問看護師の悩みを受け止め、危険信号をサマリーで可視化して離職防止に活用するほか、一般向け通話サービス「つながりアイ」も展開する。

2025年4月には、エンジェルラウンドにおいて約6000万円の資金調達を実施した。エンジェル投資家の有安伸宏氏、松尾豊氏、ANRIなどが参画した。

Starley株式会社

企業HP:https://starley.co.jp/

人とAIの新たな関係をデザインするスタートアップ。音声会話型おしゃべりAI「Cotomo」を中核に、雑談から悩み相談までユーザー嗜好に合わせ自然な間合いで対話する体験を提供し、シニア向け“見守り”の「茶の間Cotomo」も展開。

2025年3月には、音声会話型おしゃべりAI「Cotomo(コトモ)」に、プロの声優の声を活用し、ユーザーがオリジナルキャラクターを作成できる新機能キャラクタークリエイトをリリースした。

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