音声・表情・会話を活用するAIーーエキュメノポリスが7.5億円を調達

つながりAI株式会社が、約6000万円の資金調達をエンジェルラウンドで実施した。今回のラウンドには、連続起業家の有安伸宏氏がリード投資家として参加したほか、AI研究の松尾豊・東京大学大学院教授、ANRI、キャンサースキャン代表取締役社長の福吉潤氏、複数の個人投資家が加わった。調達した資金は、自治体向けの「相談AI」や学校向け「友達AI」といったプロダクト開発の加速、エンジニア採用強化などに充てられる予定だ。
同社は、AI技術を活用した社会的孤立や孤独の課題解決を事業の中心に据える。現在、自治体向けに住民相談をAIで支援する「相談AI」、教育現場での友人関係や悩み相談をサポートする「友達AI」などを開発中である。従来は人手で行われていた相談業務にAIを導入することで、幅広い利用者への支援提供と、自治体や教育現場での人的リソース不足の解消を目指す。24時間365日稼働する対話型AIの導入によって、相談のハードルを下げ、利用者が時間や場所を問わず支援へアクセスできる体制を構築するという。
つながりAIは、2025年度以降の自治体や教育機関での実証導入を計画しており、プロダクトの本格展開に向けて開発体制を強化する方針を明らかにしている。
代表取締役の駒崎 弘樹氏は、大学卒業後、2004年にNPO法人フローレンスを設立し、共働きやひとり親家庭を支援する訪問型病児保育サービスを開始。その後、待機児童問題に対応する「おうち保育園」や、医療的ケア児を対象とした「障害児保育園ヘレン」など、子育て支援に関する多様な事業を展開。2025年2月には、AIを活用した相談支援を提供する「つながりAI株式会社」を創業し、自治体や学校向けのAIサービス開発を進めている。
相談AIやメンタルヘルスAIといった領域は、近年国内外で関心が高まっている。背景として、日本社会における孤独・孤立の問題が深刻化していること、自治体や教育機関が人的リソース確保に課題を抱えていることが挙げられる。内閣府が発表した「孤独・孤立対策重点計画」では、コロナ禍を経て孤独感を訴える人が増加し、若年層から高齢者層まで幅広い年齢層で相談支援のニーズが拡大していることが示されている。
この分野では、シンガポール発のIntellectが2022年に約1000万ドルのシリーズA調達を実施し、アジア全域でオンライン相談やセルフケアアプリを展開しているほか、国内大手企業もAIチャットボットを活用した自治体連携の実証事業に取り組むなど、競争が激しさを増している。つながりAIも、自治体や教育現場との連携を通じて、AIによる相談支援の社会実装を推進している。
今回の資金調達を受けて、自治体向けの「相談AI」や学校向けの「友達AI」の開発をさらに加速させ、エンジニア採用も積極的に進めていく計画だ。今後も、自治体の孤独・孤立対策や、子どものいじめ・自殺を未然に防ぐAIサービスなど、現場で実際に使えるソリューションの開発に注力し、最先端のAI技術の活用で新しい支援の提供を目指す方針だ。
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