太陽光発電の普及を促進するスタートアップ5選

太陽光発電の普及を促進するスタートアップ5選

written by

KEPPLE編集部

目次

  1. 注目のPPAスキーム
  2. スタートアップ5選
    • 株式会社シェアリングエネルギー
    • 株式会社SOLAR POWER PAINTERS
    • ヒラソル・エナジー株式会社
    • 株式会社OPTMASS
    • 株式会社 VPP Japan
  3. おわりに

注目のPPAスキーム

2050年までに脱炭素社会を実現するにあたり、再生可能エネルギーの普及が急務となっている。日本では2010年代に太陽光発電の市場は急速に拡大したが、その後2016年にフィードインタリフ制度※1が改定され、近年は縮小している。一方で、PPA(Power Purchase Agreement)※2、電力販売契約が注目されている。契約終了後は設備を譲り受けることが可能で、CO2排出量の削減に直接貢献できることが特徴だ。

矢野経済研究所が2022年10月に発表した調査によると、国内のPPAの再生可能エネルギー導入サービスの市場規模は2021年度の38億円から、2025年度に350億円、2030年度には700億円に成長すると予測されている(矢野経済研究所PPAスキームによる再生可能エネルギー導入のサービス市場に関する調査を実施(2022年)」)。

※1 フィードインタリフ制度:再生可能エネルギーの価格を一定期間固定する制度
※2 PPA : 依頼者が持つ施設の屋根や敷地内などに太陽光発電システムを初期費用0・メンテナンス付きで設置し、依頼者が利用分の電気代を設置事業者に支払う契約形態

スタートアップ5選

今回は未上場のスタートアップ5社を紹介する。

株式会社シェアリングエネルギー

主に戸建ての屋根上に、太陽光発電システムを設置するPPAサービス「シェアでんき」を提供する。ユーザーは初期費用なしで太陽光発電システムを設置でき、15年間後に無償譲渡されるまでメンテナンス費用もかからない。同社は、発電した電力をリーズナブルな価格でユーザーに提供し、それ以外の余剰電力から売電収入を得る。

2023年2月には法人とその従業員向けに「シェアでんき 環境貢献サービス」の提供を開始した。法人が従業員にシェアでんきを紹介し、同社が従業員宅に導入する。従業員は電気代を削減でき、企業は削減した温室効果ガスの環境価値を受け取れる仕組みになっている。

2022年8月には、シリーズBファイナルクローズにて第三者割当増資により3.6億円の資金調達を実施した。シェアでんきの契約依頼数は、2023年1月時点で10,000件を突破した。再生可能エネルギーの自家消費・地産地消を促進することで、持続可能な社会の実現に寄与することを目指す。

シェアリングエネルギーは以下の記事でも取り上げている。
分散電源の創出で、株式会社シェアリングエネルギーが変革するエネルギーシステム

株式会社シェアリングエネルギー

  • 設立:

    2018年

  • 所在地:

    〒105-0004 東京都港区新橋1-7-11 近鉄銀座中央通りビルⅡ 9階

  • 企業HP:

    https://sharing-energy.co.jp/

株式会社SOLAR POWER PAINTERS

物に塗ると光に反応して電気を作り出すインク、「発電インク」を開発する。あらゆる材質や形の物体など、発電させたいものに塗るだけで太陽光パネルを作れる。そのため、一般的な太陽光パネルと比べコストを1割以下に抑え、環境負荷も減らす。インクは半導体と金属両方の特性を持つ物質と、電気伝導性の高い高分子化合物から作られる。研究レベルでは既に完成しており、今後はメーカーと連携して、透過性の特性を生かして発電機能を持った窓ガラスやビニールハウス、フィルムなどの製品に展開する予定だ。

2023年に各種機能別インク、2024年には多層式塗布インクの製品化、そして2027年までには発電効率を10%に高めることを目標に掲げる。今後は全国の高専や学生とも連携し、需要に応じた発電出力やインクの透過性などを追求していく。発展途上国などを含め全世界の人に電気を届けることを目指す。

株式会社SOLAR POWER PAINTERS

  • 設立:

    2022年

  • 所在地:

    〒323-0829 栃木県小山市東城南四丁目32番地8 サニープレイス103

  • 企業HP:

    https://s-p-painters.com/

ヒラソル・エナジー株式会社

東京大学発のIoT技術「PPLC™-PV」と独自開発のAI技術を組み合わせ、太陽光発電所の発電性能を向上するサービスを提供する。同社の独自調査によると、全体の20%の太陽光発電所では、本来持つポテンシャルの80%以下の性能で運転されている。そこで、パネル1枚単位で遠隔で異常を探知し、メンテナンスを行うことで発電効率の改善や発電ロスの削減を目指す。

2021年には1.9億円の資金調達を実施し、2022年には太陽光発電所の発電性能を評価する「ぷらマネ評価」サービスの提供を開始した。

ヒラソル・エナジー株式会社

  • 設立:

    2017年

  • 所在地:

    〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ内

  • 企業HP:

    https://pplc.co/

株式会社OPTMASS

京都大学発ベンチャーとして、従来の太陽電池などで利用されていなかった赤外光(熱線)を電力に変換する透明太陽電池を開発する。赤外光は太陽光の約半分を占めているにもかかわらず、エネルギー資源として利用されていない。そこで同社は、可視光をほとんど透過し、赤外光を強く吸収する能力を持つ、ナノ粒子をガラスにコーティングした太陽電池の開発を進めている。日本全国に存在する約16億平方メートルの窓ガラスを太陽電池に置き換えるとすると、年間2200万トン相当のCO2が削減可能になる。

2022年11月には中央電力株式会社から出資を受けた。今後は、熱線遮へいフィルムをマンションにテスト導入し、効果を検証していく。エネルギーを地産地消する社会を実現すべく、2030年の実用化を目指す。

株式会社OPTMASS

  • 設立:

    2021年

  • 所在地:

    〒606-8317 京都府京都市左京区吉田本町36番地1 京都大学国際科学イノベーション棟 ベンチャーインキュベーションセンター

  • 企業HP:

    https://optmass.jp/

株式会社 VPP Japan

全国の小売店舗や物流施設等の屋根に太陽光発電システムを建設し、発電された電力を施設に直接供給する、太陽光PPAサービスを提供している。従来モデルでは、導入施設で消費可能な分しか太陽光発電システムを設置できなかった。しかし、同社の「余剰循環モデル」を活用することで屋根全面に太陽光パネルを設置し、施設で消費しきれない余剰電力を他の電力利用者に供給することを可能とした。

2022年10月末時点での累計契約は135社1,215施設、発電容量は274MWを突破した。今後は更なる事業拡大を目指し、施設の屋根だけでなく駐車場にもPPAサービスを展開する予定だ。将来的には、日本国内のクリーンエネルギー転換の中核となることを目指している。

株式会社 VPP Japan

おわりに

今回紹介した企業は、再生可能エネルギーの普及拡大による脱炭素社会の実現を加速させている。今後も、太陽光発電関連のスタートアップの動向にはさらに注目が集まりそうだ。


※掲載企業の詳しい情報については、「KEPPLE  DB」にて詳細の確認が可能
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