J-CAT、シリーズBで11.3億円調達ーー富裕層旅行市場の拡大に向け、OTMA化と地方共創を推進

ANATAE株式会社が、欧州の投資ファンドOtium Capitalを引受先とし、約2.5億円(150万ユーロ)の資金調達を実施した。これによりOtium Capitalからの累計調達額は約7.2億円(450万ユーロ)となる。今回の資金は体験型ギフト事業の全国展開、プロダクト開発、マーケティング強化などに活用される予定だ。
ANATAEは2024年1月に創業し、体験ギフトのマーケットプレイス「anatae」を運営している。グループの背景には、欧州最大手の体験ギフト企業Smartboxがあり、米国Giftoryや中東Wondergiftsといった海外のパートナー企業のネットワークを活用している点が特徴だ。anataeではレストランやカフェ、スパ、サウナ、ホテル宿泊、映画、各種アクティビティなど、幅広い体験型ギフトを取り揃えている。ギフトはデジタルで送付できるeギフトや、専用ギフトボックスでの配送に対応しており、受け取った側が好みに応じて体験内容の変更やアップグレードができる仕組みとなっている。
2025年には、軽井沢・熱海・那覇のホテルを対象とした「旅行カタログギフト」の提供も開始する。贈る側が旅行先エリアと金額を指定し、受け取った側が宿泊施設・日程をオンライン上で予約できる。従来のカタログギフトに見られた予約手続きの煩雑さを軽減した点が特徴だ。
代表取締役の堀田栄利康氏は、2024年1月の創業メンバーの一人で、他の創業メンバーには取締役の欧陽景麟(アレクシス・オウヨウ)氏、リチャード・フィンガー氏、髙尾信栄氏が名を連ねる。ANATAEはまた、Smartboxグループ創業者で欧州体験ギフト市場で知られるピエール・エドワール・ステリン氏の支援も受けている。
体験ギフトは欧米や中東市場ですでにギフト文化の一つとして定着している。Smartboxは欧州市場で70%以上のシェアを持つとされる。一方、日本国内では体験ギフト市場は成長段階にあり、調査会社によれば2023年度の国内ギフト市場は約10兆円規模だが、体験ギフトの比率は数%にとどまる。モノ消費からコト消費へのシフトが進むなか、ギフトサービスのデジタル化やパートナー多様化、ユーザー体験の最適化などが業界の課題として挙げられる。日本市場ではSOW EXPERIENCEなどが体験ギフトの分野で競合している。
今回の資金調達を受け、ANATAEは全国・多業種へのパートナーネットワーク拡大、ブランド認知と体験ギフト文化の浸透を目指したマーケティング強化、自社チームやプロダクトの強化という三つの領域に投資を集中する。具体的には、関東・関西圏中心の既存サービスエリアを全国に拡大する営業投資、新たな体験商品の開発、ギフト変更やアップグレード、予約システム強化などプラットフォーム機能の追加、カスタマーサポート体制の拡充、人材採用の加速を進める方針だ。現時点で1000以上の体験ギフト提供実績があり、2026年までの全国展開を計画している。
また、オンラインでギフトが贈れるeギフトや、SNSなどデジタルチャネルによる即日対応、環境配慮型のサービス設計などITを活用した機能強化も進めている。今後はラインナップ拡充に加え、「旅行カタログギフト」の対象エリア拡大や、オリジナルラッピングの充実なども検討している。
ANATAEは、グローバルでの知見やネットワークを活用しつつ、日本の体験ギフト市場における事業拡大を進めている。今回の資金調達によって、全国展開やプロダクト開発の取り組みが加速する見通しである。
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