Hubble、シリーズBで累計15億円を調達──生成AI時代の契約業務基盤強化へ

Hubble、シリーズBで累計15億円を調達──生成AI時代の契約業務基盤強化へ

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法務領域における契約業務のデジタル化を推進する株式会社Hubbleが、シリーズBラウンドにおいて累計約15億円の資金調達を完了した。2024年12月のファーストクローズで7億円を調達したのち、2025年7月9日に発表されたセカンドクローズで新たに8億円を追加し、事業成長およびプロダクトの機能拡充に向けた組織体制の強化を進める。

Hubbleは2016年に設立され、法務部門と事業部門の協業性向上を重視した契約業務・管理クラウドサービス「Hubble」、AIを活用した契約管理特化サービス「Hubble mini」、NDA(秘密保持契約)に特化した「OneNDA」など複数のプロダクトを展開している。

代表取締役CEOの早川晋平氏は会計事務所を経て創業し、CTOの藤井克也氏は研究職やITコンサルタントを経験した後に初期メンバーとして参加、プロダクト設計を担当してきた。CLO(Chief Legal Officer)には弁護士の酒井智也氏が参画している。なお、早川氏は法曹資格を持たず、エンジニア的な発想を法務領域へ持ち込む姿勢がプロダクト開発に反映されている。

主力の「Hubble」は、契約書の審査依頼からドラフト作成、バージョン管理、締結後の管理までを一つのプラットフォーム上で完結できる。ユーザーインターフェースの直感性や権限設定の柔軟さが特徴に挙げられ、SlackやGmail、Teamsといったコミュニケーションツールとの連携、電子契約サービスや文書管理ツールとのシームレスな統合が実現されている。「Hubble mini」ではOpenAI等の最新AIモデルを採用し、契約書PDFをアップロードするだけで自動的に契約台帳やデータベースを生成できる。主要な契約項目に加えて独自のカスタム項目の設定も可能であり、改正電子帳簿保存法(JIIMA認証)にも対応している。

リーガルテック市場はテクノロジーの進展やリモートワークの普及、企業におけるデジタル化(DX)ニーズの高まりを背景に、国内外で急速な成長を見せている。XENOBRAINの調査によると、国内リーガルテック市場は2025年に約395億円に拡大すると予測されており、今後も成長が見込まれている。契約管理領域(CLM:Contract Lifecycle Management)では、台帳作成やワークフロー自動化、AIによる契約レビュー機能の強化が進み、従来の特定プロセス特化型から組織全体の業務基盤としての進化が求められている。Hubbleと競合する企業にはLegalforce、OPTiM、ContractSCLMなどがある。Hubbleは、法務部門のみならず事業部門における自律的な契約業務やナレッジ共有、既存ツールとの親和性を重視した設計が特徴だ。業界全体では「法務業務の属人化」「契約情報の分散」「電子帳簿保存法対応」「権限統制の難しさ」などの課題が根強く、これらの解決策を提供することが各社の差別化ポイントとなっている。

今回のシリーズBラウンドでは、SMBC日興証券、弁護士ドットコム、パーソルベンチャーパートナーズ、阿波銀キャピタルがエクイティ出資に参加した。加えて、SDFキャピタルからの融資、Siiibo証券経由の社債発行、商工中金によるスタートアップ融資など、複数の資金調達手段を組み合わせている。

調達資金は、生成AIやユーザーエクスペリエンス(UX)改善をはじめとするプロダクト開発、カスタマーサクセスや導入支援体制の強化、エンタープライズ顧客向けの提供体制や組織基盤の拡充などに充てられる。ファーストクローズ以降、Hubbleはエンタープライズ向け機能の最適化や高度化を進め、顧客の利用継続率は99%以上を維持している。

今後は、法務部門だけでなく事業部門も主体的に契約業務を担えるプラットフォームへの進化と、生成AIを活用した契約書検索や台帳構築、情報抽出の精度向上を目指すとしている。

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