Sustainable Food Asia株式会社

東南アジア市場で広がる日本企業の事業展開
東南アジア市場は、経済成長とデジタル化の進展により、日本のスタートアップにとっても有望な事業展開先として注目されている。人口約6億人という大きな市場規模に加え、若年層を中心としたスマートフォンの普及が、Eコマースやフィンテック分野の拡大を後押ししている状況だ。
東南アジアのEコマース市場は、2025年までに約2340億ドル※に拡大すると予測されており、日本発のD2CブランドやEC支援企業なども現地での展開を模索する動きが広がっている。フィンテック市場でも、キャッシュレス化や個人向け金融サービスの需要が高まり、現地ニーズに応じたプロダクト開発に取り組む日本企業が増加中だ。
さらに、各国政府によるスタートアップ支援策の強化も、こうした流れを後押しする要因となっている。シンガポールでは、政府系機関が主導する支援プログラムや資金調達のインフラが整備されており、スタートアップにとって参入しやすい環境が整いつつある。近年は、AIやバイオテクノロジーといった分野においても研究開発型スタートアップへの支援が進んでおり、日本企業との技術連携にも期待が高まっている。
東南アジアのスタートアップ・エコシステムは、ユニコーン企業の増加やエグジット(上場やM&A)事例の蓄積を通じて、次の成長フェーズに差しかかっている。こうした変化は、日本のスタートアップにとっても成長スピードや市場機会の面で魅力的な選択肢となりつつある。今後は、これまで存在感を示してきたEコマースやフィンテックに加え、ヘルステックやクリーンテックといった分野での展開も注目される。
本記事では、東南アジア市場で成長を目指すスタートアップを紹介する。

スタートアップ5選
NODE株式会社
外国籍人材の採用支援やWeb開発などの事業を展開している。同社の主なサービスには、外国籍人材の推薦・スカウトを行うプラットフォーム「Sunrise」や、外国籍人材紹介サービス「ASEAN CAREER」などがある。ASEAN CAREERは、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、カンボジア、フィリピン、シンガポールなどのASEAN諸国出身で、主に日本在住の新卒および中途(経験者)の日本語人材を紹介している。完全採用成功報酬制を採用している。
2025年1月には、商船三井を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施し、併せて資本提携を締結した。
株式会社SECAI MARCHE
企業HP:https://secai-marche.com/lp
シェフと農家をつなぐ、ワンストップの農場直送のプラットフォームを提供している。マレーシアの大手食品原料サプライヤーの1つとして、消費者に高品質でおいしい製品を幅広く購入する機会を提供している。2025年3月時点で、日本と東南アジアの350以上の農家と4000以上の商品を販売している。また、1400以上のホテルやレストランでこのプラットフォームが利用されている。
Innovare株式会社
未利用バイオマスのアップサイクルを軸に、持続可能な資源循環型社会の実現を目指す企業。主に東南アジアで、天然ゴムの実など未活用資源をバイオ燃料などへ転換する「バイオリファイナリー事業」を展開。サーキュラーエコノミーの実現と地球温暖化の抑制に貢献している。さらに、官公庁や自治体による日本企業の海外展開支援プロジェクトにも参画し、現地パートナーとの連携や環境レポートの提供など、コンサルティング事業も行っている。
2024年7月には、グローバルアクセラレーター2080Venturesが主催する「SDGs CHALLENGE 2024」の参加企業に採択された。
株式会社fil
東南アジア市場を中心に、親子向けメディアの運営や教育アプリの開発、マーケティング・PR支援を行っている。ベトナムの母親層向け情報サイト「HAJIMARIMOM.com Vietnam」や、子ども向け教育アプリ「Future Me」の提供、市場調査、日本企業の現地進出支援などを展開している。
Sustainable Food Asia株式会社
企業HP:https://sustainablefoodasia.com/
東南アジアのフードテックベンチャーと日本の食関連企業をつなぎ、持続可能な食の未来をつくることを目指す企業。最新の食技術やサービスを紹介する「Sustainable Food Museum」、⽇本や東南アジアの企業が集まり共創を促すイベント「Sustainable Food Camp」、アジア発の新食材やフードテックを実用化する「Sustainable Food Lab」などを手がけている。
2025年2月に新橋・虎ノ門地区に新装オープンした「Sustainable Food Museum」が、サステナブルな新食材メニューの提供を開始した。

-----------
※The Digital X「【2024年最新】東南アジア越境EC|各国のEC市場規模と主要プラットフォーム」