株式会社OPTEMO

株式会社OPTEMOは、総額約5億円の新規資金調達を実施した。これにより累計調達額は約10億円となる。今回の資金調達によって、Webサイト上での顧客体験を最大化するBPaaS(Business Process as a Service)事業を本格展開する計画だ。Webサイト訪問者の約99%が問い合わせや資料請求に至らず離脱している現状を踏まえ、可視化とアプローチ強化を目指す。
OPTEMOは2020年7月設立。主にSaaS型Web接客ツール「OPTEMO」の開発・提供を行う。サービスの特徴は、Webサイトに専用タグを埋め込むことで訪問者の行動データを収集し、サイト閲覧状況やページ上でのアクションをリアルタイムで可視化できる点にある。これにより、関心度の高い訪問者を特定し、チャットや音声通話、画面共有などの接客手段を適切なタイミングで実行可能となる。さらに、SalesforceやHubSpotなどの主要な営業・マーケティング支援ツールとも連携し、営業活動の効率化を図る。
代表取締役の小池桃太郎氏は、大手電機メーカーや戦略コンサルティングファームで新規事業開発や営業改革に携わった経歴を持つ。2020年にOPTEMOを創業後、自社サービスを「Webサイトに訪問する見込み顧客の可視化」に特化したものと位置付けてきた。創業時の社名は「ジェイタマズ」だったが、2024年1月に現社名へ変更。Web接客ツールは2022年11月にローンチされている。
SaaS型Web接客ツールは、コロナ禍を背景に急速に需要が高まってきた分野である。非対面型の営業やオンライン商談が定着したことで、Webサイトを活用したインサイドセールスおよび効率的なリード獲得の重要性が増している。国内SaaS型営業支援サービス市場は成長し続けており、後も年間10%を超える成長が予測されている。一方、Webサイト来訪者のうち実際に問い合わせや商談につながる割合は1%程度にとどまり、多くの潜在顧客が離脱している実態がある。
競合プロダクトには、Rtoaster(ブレインパッド)、Helpfeel(Helpfeel)、Marketing Cloud Personalization(Salesforce)などが挙げられる。これらは主にチャットやポップアップ、レコメンド生成、顧客行動解析機能を有し、Webサイト上での離脱抑止やパーソナライズを提供している。OPTEMOは、リアルタイムでの行動可視化をはじめ、「その場での商談開始」「訪問者の温度感に応じた企業側へのアプローチ通知」「画面制御や音声通話の即時起動」「外部SFA/MAツールとの連携」など、営業現場の実務効率を意識した設計を特徴とする。
今回発表されたBPaaS事業は、単なるツールの提供にとどまらず、運用設計から実際の顧客対応、成果創出までの業務フローをOPTEMOの専門チームが一括で受託するものだ。自社内に十分なリソースやノウハウがない企業でも、Webサイト上での顧客体験の最適化や商談創出を外部委託できる。現時点で10社以上が同サービスを導入しており、効果検証が進められている。
資金調達には新規投資家として、インクルージョン・ジャパン、三井住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、既存投資家としてSkyland Ventures、SBIインベストメント、FFGベンチャービジネスパートナーズ、三菱UFJキャピタル、りそなキャピタルなどが参加した。調達資金は主にBPaaS事業を軸とした開発体制の強化、人材採用、営業・マーケティング活動の拡大に充てられる。
営業DXの普及に伴い、Webサイトを活用した非対面型のリード獲得や商談化の重要性が増している一方で、営業投資のROIやツールの選定、既存業務との統合など、企業が直面する課題は多い。OPTEMOは今回の資金調達とBPaaSサービスの本格展開を通じて、企業のWeb接客や営業プロセスの効率化を支援する構えである。