ニチエツ、自律走行型金型交換ロボットで3億円調達──製造現場の人手不足と安全課題に挑む

ニチエツ、自律走行型金型交換ロボットで3億円調達──製造現場の人手不足と安全課題に挑む

xfacebooklinkedInnoteline

自動金型交換装置など重量物搬送ロボティクスを手がけるニチエツ株式会社は、シリーズAラウンドとして、JPインベストメント地域・インパクト1号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額3億円を調達したと発表した。今回の調達で2025年6月に発表したシリーズAラウンドは完了し、Aラウンド累計調達額は5億円となった。

ニチエツは、プラスチック成形工場向けの「自律走行式金型交換装置(AMR金型交換装置)」を開発・製造しており、成形工場の無人化・安全性向上を目指している。

同社は2017年設立。成形工場を経験してきた技術者を中心に構成され、ベトナムに100%子会社を持ち、グループ社員の約半数がベトナム人である。製品導入実績として、自動車、自動車部品、医療、家電、制御機器等の大手顧客を挙げている。

代表取締役の中村高志氏は、「モノづくりに不可欠な成形工場は今、世界共通の課題である深刻な労働力不足への対応、そして労働災害の防止という長年の重要課題に直面しています。私たちは、この度の資金調達を力に、安全で持続可能な未来の工場の実現を加速させます。それにより、製造現場の『人材不足』という世界共通の課題を解決し、日本の技術で世界の『モノづくり』を次のステージへと引き上げるべく、全社一丸となって邁進してまいります。」と述べている。(一部抜粋)

成形工場を巡る業界背景を見ると、金型交換作業は多大な人手を要し、金型の落下・挟まれなどの労働災害も頻発してきた。また、生産ラインの停止時間や人材確保の難しさが製造業全体で課題視されており、金型交換領域は他工程に比べ自動化が比較的進みにくい工程とされてきた。同社のように金型搬送・交換の自動化に取り組むプレイヤーとして、競合には成形機メーカーやFA(ファクトリーオートメーション)機器メーカーの自動化ソリューションがあげられる。業界レポートでは、製造ライン自動化市場が拡大中であり、特に労働力不足と安全対策の観点からロボット導入が進んでいる。

今回の調達によって、ニチエツは成形工場向けの自律走行金型交換装置の量産体制構築を目指しており、2026年の量産開始を見据えている。今後もこの取り組みを通じ、世界の人材不足解消に貢献し、グローバル・ディープテック・ユニコーンを目指すとしている。

画像はプレスリリースから

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

ケップルグループの事業