iFactory、シリーズAで10億円調達──全自動連続生産の社会実装を加速

iFactory、シリーズAで10億円調達──全自動連続生産の社会実装を加速

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モジュール型全自動連続生産システムを開発する株式会社iFactoryが、グロービス・キャピタル・パートナーズとSBIインベストメントをCoリードに、シリーズAで総額10億円を調達。NEDOの経済安保重要技術育成プログラムの採択に続き、医薬・バイオ医薬・高機能化学分野での実装を一気に進める。

iFactoryは、医薬品や精密化学品の分野を中心に、モジュール型全自動連続生産システムを開発し事業化している。必要な反応、抽出、晶析、ろ過、乾燥などの工程機能を、独自の金属製キューブ型モジュールに実装し、目的や生産量に応じて柔軟に組み合わせることが可能である。これにより、従来のバッチ式製造では困難だった多品種少量生産、省力化、高品質化、プロセスの遠隔再構成といった先進的な製造現場要求に対応する。連続生産の自動化制御により、待機時間や作業切り替えを削減し、労働負荷やコスト低減にも寄与する点が特徴である。NEDOやAISTなどの研究開発プロジェクトによって社会実装が進められてきた。省エネ技術革新プログラム(〜2023年)の実機実証で効果を確認済みであり、国内外の製薬・CDMOから引き合いが拡大している。

代表取締役CEOは齊藤隆夫氏。化学分野の研究者として長年先端的な合成プロセスの開発に従事し、不斉合成や触媒分野で数々の業界表彰歴を持つ。総合化学メーカーで新規反応開発や生産技術推進を主導した後、国内外のアカデミアや大手企業・業界横断プロジェクトのリーダーとして先駆的な事業変革に取り組んできた。現職には2019年設立時より就任し、NEDO研究プロジェクトでの主管経験もある。現在は同時に他社の代表や団体理事も兼務し、企業間連携を主導している

製薬・機能性化学品の生産分野では従来、「バッチ生産方式」が主流であったが、設備規模が大きく、切り替え・少量多品種生産への対応が難しいという課題が存在していた。一方、世界的には「連続生産方式」が省エネルギー・省資源・少量多品種対応という点で注目されており、例えば、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援プロジェクトでは、モジュール型設備によってバッチ比で8割以上のエネルギー削減、6割以上の廃棄物削減効果が確認されている。日本国内においては、医薬品サプライチェーンの強化・生産現場の人手不足・サステナビリティ対応が課題となっており、連続生産設備の実用化と導入拡大が一つのテーマとなっている。

今回の調達資金は、顧客ターゲット品に合わせたプロセス設計・検証のための実証設備と人材体制の強化、量産・組立・サービス提供体制の構築。シェアラボやドックサービス、キラーモジュールの拡充で導入を加速する構えだ。

iFactoryは今回の資金調達を契機に、モジュール型連続生産システムの本格展開を図る。注目すべきポイントは、製薬・化学分野における生産方式の変化や、少量多品種/オンデマンド生産への転換がどのように事業化されるかという点である。今後、同社が実証設備を顧客企業と共に稼働させ、量産・サービス体制を整備することで、どの程度の市場実績や導入効果を示すかが鍵となる。

画像はiFactoryプレスリリースより

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