SUN METALONが約13億円を調達、日米で金属リサイクル装置の展開加速へ

SUN METALONが約13億円を調達、日米で金属リサイクル装置の展開加速へ

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金属廃棄物の循環利用技術を開発する株式会社SUN METALONが、シリーズAラウンド2ndクローズとして約13億円(910万米ドル)の資金調達を実施した(第三者割当増資)。

今回のラウンドには日本製鉄、国際協力銀行(JBIC)、Airbus Ventures、島津製作所ファンドなどが参加し、同社の累計調達額は約58億円(3984万米ドル)となった。SUN METALONは、日本と米国を主な市場とし、独自技術による工場内金属廃棄物の無CO₂リサイクル装置の提供を拡大する方針を明らかにしている。

SUN METALONは2021年2月に設立されたスタートアップで、アメリカと日本を拠点としている。金属製造や加工の工程で発生する金属屑を現場で即時にリサイクルし、資源価値を維持・向上させる装置と技術の開発・販売を行う。独自の金属加熱技術を用いて、廃棄物に含まれる油分・水分・不純物を効率的に除去し、高純度な金属原料として再資源化できる点が特徴だ。これにより、CO₂排出を最小限としつつ、省スペースかつ低コストでの運用が可能となる。

従来、金属加工工程で発生するスクラップは全体の2割程度に及び、その多くが低価格で取引されるか、埋立処分されてきた。こうした背景には、廃棄物処理や原料調達コストの上昇、環境規制強化などによる業界全体の構造的課題がある。工場単位での循環資源化が進むことで、オペレーション効率の改善や原材料調達の安定化が期待されている。

代表取締役CEOの西岡和彦は、大学院修了後、日本製鉄でエンジニアとして11年間勤務。生産技術や加熱炉の開発に従事する中で、新たな原理に基づく金属加熱技術を着想する。キャンプ場などでのプライベートな検証実験を経て、2021年にSUN METALONを創業した。

金属リサイクル業界は、循環型経済や脱炭素化の国際的な流れを受けて大きな転換点を迎えている。鉄鋼産業は世界のCO₂排出量の約10%を占める(IEA統計)とされ、資源循環と温室効果ガス削減の双方が重要な社会課題となっている。日本国内では年間約3000万トンの廃鉄スクラップが発生しているが、未利用や埋立処分される金属屑も依然多い。既存リサイクル手法では全量の再資源化が難しい状況が続いている。

市場動向として、北米ではNucorなど分散型リサイクル事業者が存在感を強めている。自動車、半導体、建設など多様な産業で現場即時リサイクルやプロセスインテグレーションに対する関心が高まっている。競合には大手資源リサイクル企業や加工設備メーカー、またAIやIoTを活用した欧米・中国のスタートアップがあるが、現場で省スペース性・効率・環境負荷低減を兼ね備えた装置型ソリューションは数が限られており、多様な業種で導入ニーズが拡大している。

今回調達した資金では、日米市場での事業拡大を強化する。これにより、グローバルレベルでの脱炭素化・循環型社会の実現をよりいっそう加速する方針である。

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