Jizoku、シードラウンドで7100万円を調達ーー農業由来カーボンクレジット創出支援を拡大

Jizoku、シードラウンドで7100万円を調達ーー農業由来カーボンクレジット創出支援を拡大

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カーボンクレジット創出支援を手がける株式会社Jizokuは、Partners FundやHAKOBUNEなどを引受先とするシードラウンドで総額7100万円の資金調達を実施した。

Jizokuは2024年6月設立のスタートアップで、農業分野を中心に一次産業由来の温室効果ガス(GHG)削減量を「カーボンクレジット」として創出・流通させる事業を手がける一橋大学発ベンチャーだ。カーボンクレジットとは、CO₂などの排出削減量や吸収量を第三者が認証し、証書として売買できる仕組みで、世界的な排出量取引市場の一環をなす。

同社は全国の農家と連携し、2024年度には約700トンのカーボンクレジット創出に取り組んだ。事業の特徴として、人工衛星データを活用した農地のモニタリングや生物多様性の評価、農業廃棄物を活用したバイオ炭の製造による土壌改良とカーボン蓄積の促進などが挙げられる。日本国内に加え、ベトナムなど海外での官民連携によるクレジット創出や認証取得も進めている。

代表取締役の片岡慶一郎氏は、一般社団法人Coにてカーボンクレジット創出活動に従事した経歴を持つ。学生時代より農業と気候変動領域で経験を積み、農家や関連分野のステークホルダーと関係性を築いてきた。Jizoku設立以降、カーボンクレジットの社会実装を事業の中心に据え、国内外でプロジェクトの拡大を図っている。

世界では企業の自主的な排出削減努力を支援する「ボランタリークレジット市場(VCM)」への注目が高まっている。日本でも、農林水産省が推進するJ-クレジット制度や、環境省のGXリーグによる排出量取引が進行中だ。市場の健全な発展には、透明性と信頼性の確保が不可欠であり、第三者による検証体制の強化が求められている。

こうした中、農業分野におけるカーボンクレジットの普及には、農業従事者の経営基盤強化や、サプライチェーン全体での環境価値の評価、制度整備に向けた官民連携など、複数の課題が存在する。Jizokuは、クラウドファンディングを活用した新たな資金調達モデルや、消費者参加型の仕組みを通じて、脱炭素と地域の資金循環を両立するモデルづくりに挑戦している。

今回の資金調達を通じて、国内外でのプロジェクト拡大やモニタリング技術の高度化を進める方針だ。気候変動に立ち向かう農業の新たな担い手として、カーボンクレジットを軸とした持続可能な社会の実現を目指す。

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