Visual Bankが11億円調達、知的財産保護とAI学習データの両立で市場拡大に挑む

AIを活用したブランド保護・収益回復プラットフォームを提供する米MarqVision(マークビジョン)は、シリーズBラウンドにおいて総額4800万ドル(約71億円)の資金調達を実施した。これにより、累計調達額は8900万ドルに達した。
今回のラウンドはPeak XV Partners(旧Sequoia Capital India & SEA)が主導し、HSG(旧Sequoia Capital China)、Salesforce Ventures、Coral Capital、Y Combinator名誉パートナーのMichael Seibel氏が新たに参加。既存投資家であるY Combinator、Altos Ventures、Atinum Investmentも追加出資を行った。
MarqVisionは、ブランドの知的財産(IP)を守る従来の「受動的」な保護を超え、企業が自らブランド体験の主導権を握る「ブランドコントロール」という概念を提唱している。生成AIの進展により模倣品やなりすまし、海賊版などのリスクが急増するなか、同社はAIエージェントと法務の専門知識を融合させることで、IP侵害に迅速かつ効果的に対応する。
現在、118カ国・1500以上のプラットフォームを対象にエンドツーエンドのブランドコントロールを提供。パリやニューヨークなどに拠点を構え、今回新たに東京オフィスを開設して国内ブランド顧客へのサポートを強化する。
2025年にはLVMHイノベーションアワード、Inc 5000 Fastest Growing Companies賞を受賞。急速に変化するデジタル世界において、イノベーション・クリエイティビティ・信頼を守り続けている。
同社によれば、MarqVision導入企業ではトップライン成長率が平均5〜10%向上し、オンライン収益の0.5〜1%を保護施策に充てても明確な投資対効果(ROI)が得られるという。現在、利用部門は法務にとどまらず、マーケティング、EC、営業などが6割を占めており、ブランド保護の領域が事業成長戦略の一部へとシフトしている。
MarqVisionは2025年にARR(年間経常収益)2000万ドルを突破し、ファッション、ラグジュアリー、製薬、エンターテインメント、自動車、家電など幅広い業種で導入が拡大。すでにパリやニューヨークに拠点を構えるほか、東京オフィスの開設により日本市場への対応も強化している。
創業者でCEOのMark Lee氏は、「私たちはAIの知見と法務の専門性を、最も必要とするチームの手に直接届けます。ブランドの独自性を守りながら成長を加速することを同時に実現する。これこそがブランド保護の未来であり、誰もがアクセスでき、実行可能で、成長志向のアプローチなのです」と述べ、AIと法務を融合したプロダクトで企業のブランド価値を支える姿勢を強調。Salesforce Venturesは、MarqVisionとSalesforceデータとの連携により、ブランド施策のROIを可視化する機能強化を支援していくとしている。
今後、MarqVisionはアジア、欧米市場を中心にグローバル展開を加速させ、模倣品対策にとどまらない「AI駆動のトラスト&セーフティプラットフォーム」への進化を目指すとしている。
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