NINZIAが1億円調達、蒟蒻由来の次世代食品原料で北米・アジア市場への展開を推進

NINZIAが1億円調達、蒟蒻由来の次世代食品原料で北米・アジア市場への展開を推進

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フードテック領域で蒟蒻由来の高機能原料を開発する株式会社NINZIAは、2025年8月にPre-Aラウンドにて総額1億円の資金調達を実施した。出資にはFuture Food Fund 2号、リバネスキャピタル、再春館共創ラボラトリー、既存株主である立命館ソーシャルインパクトファンドが参加している。

NINZIAは2016年設立。独自のコア技術である「NINZIA PASTE」は、こんにゃく芋由来の食物繊維から作られるペースト状素材で、加熱・乾燥・冷凍といった加工過程でも高いゲル化と結着力を保つ特徴を持つ。従来必要とされてきた砂糖や水飴、小麦由来グルテンなどの結着材を使わず、グルテンフリーかつ低糖質な食品開発を可能にしている。

同社が展開する主な商品には、砂糖やシロップを使用せず蒟蒻食物繊維を豊富に含むグラノーラスナックや、豆腐・蒟蒻・米麹を活用した豆腐ワッフルなどがある。これらは植物性素材をベースにしており、糖尿病や高血糖に悩む人、アレルギー体質者、プラントベース志向の消費者など、食の制限を受けやすい層にも対応する。また、「成形・食感づくり」に独自の“テクスチャ・エンジニアリング”技術を用いる点も特色とされる。

代表取締役CEO兼CROの寄玉昌宏氏は、大手企業での勤務や農業関連スタートアップでの実務経験を経てNINZIAを創業。家族が糖尿病で食事制限を強いられた経験から、「制限のない食の楽しみ」を追求する事業に着手した。寄玉氏は2025年現在、大阪大学工学研究科博士課程で蒟蒻の基礎研究にも従事している。なお、NINZIAは旧社名Sydecasから2024年に現名称へ変更している。

フードテックおよび食品素材業界では近年、健康志向やグルテンフリー、プラントベース食品への需要が高まっている。一方で、低糖質・無添加で“クリーンラベル”の食品素材は依然として供給が限られ、加工食品向けのバインダー代替素材を求める声が強まっている。2022年時点で世界の糖尿病患者数は8億人を超え、成人の有病率は1990年から32年で2倍に増加した(WHO)。肥満率も過去35年間で2~3倍に拡大しており、健康課題対応型食品素材の開発は国際的な課題となっている。

こうした市場動向の中、日本国内ではMISOVATION(味噌由来の機能性食品開発)やvitom(常温長期保存可能な完全栄養食開発)が同分野で事業を展開している。海外でもイスラエルや米国を中心に植物性バインダー開発を手掛ける新興企業が台頭し、競争が激しくなっている。

NINZIAは、今回の資金調達で得た資金を独自素材の医科学・栄養学的試験、物性制御技術の深化、量産体制の強化へ投入する。加えて、北米やシンガポールなどでの商品・技術提供を本格化し、現地市場への展開を加速させる計画だ。

今回の資金調達を通じて、NINZIAは蒟蒻由来原料の研究開発とグローバル展開を推進する体制を強化し、健康課題対応型食品素材の国際市場でのプレゼンス拡大を目指す方針である。

画像はNINZIA HPより

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