自由診療クリニック向けDXツールのB4A、シリーズBで累計13.2億円を調達

自由診療クリニック向けDXツールのB4A、シリーズBで累計13.2億円を調達

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株式会社B4Aが、シリーズBラウンドで資金調達を実施し、累計調達額13.2億円に達した。(第三者割当増資、融資含む)

B4Aは2021年1月創業のスタートアップであり、自由診療クリニック向けのクラウド型業務支援ツール「B4A」を提供している。従業員数は2025年7月時点で約25名。主力サービスであるB4Aは、電子カルテ、リアルタイム予約、シフト・請求管理、顧客管理(CRM)、会計システムとの連携など、クリニックの日常業務を一元的に管理できることが特徴だ。従来、紙や複数のアプリに分散していた業務プロセスをクラウド上で集約し、予約・決済から患者情報管理、マーケティング支援までを一つのプラットフォームで完結できる設計となっている。

B4Aの利用料金は導入形態によって異なり、初期導入コストを抑えつつ、クラウド型サービスの特性を活かした機能追加やカスタマイズが可能である。主要な美容医療プラットフォームとの予約連携機能や、経営分析を支援する「B4A経営ダッシュボード」、キャッシュレス決済を実現する「手ぶらで決済」など、現場の実務課題に即した機能を拡大してきた。2025年7月には導入クリニック数が500院を突破し、電子カルテ分野の自由診療領域でトップシェアを獲得している(日本マーケティングリサーチ機構調査、2024年11月期)。

代表取締役CEOの植松正太郎氏は、SBIホールディングスで営業や経営企画を経験し、その後エムスリーで医療IT事業や子会社立ち上げを担当した。メルカリでのプロジェクト推進経験も持つ。これらの経験をもとにB4Aを創業し、クリニック現場における業務課題やDXの遅れを実地で把握し、サービス設計に反映してきた。

自由診療分野は、美容外科・美容皮膚科・審美歯科・AGAクリニックなどを中心に近年大きく成長している。矢野経済研究所によると、美容医療関連市場は2023年度で約5940億円規模とされている。一方で、院数の増加や競争激化により、業務オペレーションの属人化やアナログ依存が残存している。紙カルテや電話予約、複数アプリの併用による非効率、スタッフ負担増、患者の無断キャンセル増加などが経営課題として顕在化している。また、顧客接点の多様化やリピート促進、CRM活用の重要性が高まりつつある。

こうした市場環境の中で、自由診療に特化したDXツールや電子カルテSaaSへの関心が高まっているが、診療フローや収益管理、CRM、予約・決済などクリニックごとの多様な業態に柔軟に対応できる製品は限られている。B4Aは現場ヒアリングを重ねながら機能改修を継続し、業界特有のカスタマイズ需要やクラウドサービスならではの迅速な改善サイクルを強みとしている。競合にはCLIUSやCLINICSなどのクラウド電子カルテ、業務支援サービス、自社開発システムを持つ大手チェーンクリニックが存在するが、自由診療分野に特化したSaaSとして高いシェアを持つ。

今回のシリーズB資金調達には、アニマルスピリッツ、i-nest capital、D3など既存投資家が参加した。調達資金をもとに、プロダクト開発および人材採用の強化を進める方針だ。直近では、LINE連携による個別メッセージ配信、ソフトバンクグループとのクレジット決済協働、集客メディアとのAPI統合などをリリースしている。また、自社主催の業界カンファレンス開催によるコミュニティ形成も行っている。

今後は、電子カルテ・予約管理・CRMなどの基幹システムに加え、金融決済や人材・教育、経営分析など周辺領域へサービス展開を進める計画だ。

自由診療市場の成長とともに、業務効率化やCRM、DX推進力がクリニック経営の成否を左右する状況が続く中、事業者には医療現場への深い理解とプロダクトの柔軟性が求められている。

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