AIアニメスタートアップのTOKYO EPIC、シードで9000万円調達──世界市場とIPOを見据えた展開強化

AIアニメスタートアップのTOKYO EPIC、シードで9000万円調達──世界市場とIPOを見据えた展開強化

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AI技術を活用したショートアニメ制作スタジオ「PocketANIME」を運営する株式会社TOKYO EPICは、インキュベイトファンドをリードインベスターとする第三者割当増資、およびZ VENTURE CAPITAL、EAST VENTURES、パラダイムシフトグループによる新株予約権の行使を通じて、総額9000万円のシードラウンド資金調達を実施した。

TOKYO EPICは、2023年4月に設立されたスタートアップで、AIを活用して2分以内の縦型ショートアニメを生成・配信するプラットフォーム「PocketANIME」を開発・運営している。同社は、制作からSNS展開までを迅速に行い、視聴者の反応データをもとにIPを磨き上げ、映画・出版・ゲームなどのクロスメディア展開を目指している。

2025年1月から3月にかけて、生成AIを活用した縦型ショートアニメのコンテスト「PocketANIME World Competition」が開催され、世界中のクリエイターを対象に作品が募集され、グローバルな視聴者に向けたIP展開の足がかりとなった。

代表取締役の和田亮一氏は、大学在学中に演劇に出会い、以降、舞台・ライブの脚本・演出を多数手がける。2010年代初頭にはK-POPアーティストの演出を担当し、近年は教育事業やフェス演出にも領域を広げた。2014年に開校した「ラップスクール」はメディアで注目を集め、ラップブームの一因となった。映画「カメラを止めるな!」では原作者としてクレジットされ、2019〜2020年にはカナダ人落語家・桂三輝のNYブロードウェイ公演をプロデュース。現在は米国発のメディアミックスプロジェクトやハリウッドでのリメイクにも携わるなど、多方面で活動を続けている。

アニメ産業は世界的に拡大を続けているが、日本国内の制作現場では慢性的な人材不足や過重労働といった構造的課題を抱えている。一方で、グローバルにおける視聴スタイルは短尺・モバイル中心にシフトしており、従来型の制作体制ではスピードと柔軟性が求められる時代に対応しきれない現状がある。こうした中で、PocketANIMEはAI技術を活用した新しいアニメ制作の仕組みを確立し、短尺SNSアニメという新市場を切り拓いている。

今回の資金調達により、優秀な人材の獲得・育成、組織の強化、制作パイプラインの拡張、オリジナルIP制作体制の確立、グローバルマーケットにおけるパートナーシップの強化を進める。

今後は、PocketANIMEによるオリジナルコンテンツの量産に加え、既存IPとのコラボレーションによるショートアニメ展開を強化していく方針である。2026年には、AIとアニメをテーマにした国際イベント「WORLD AI FILM FESTIVAL KYOTO」の開催も予定しており、グローバルな認知拡大を図る。また、中長期的にはIPOを視野に入れたIPエコシステムの構築にも取り組む計画である。

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