7.6億円調達の株式会社ゼスト、女性プログラマー日本第一号の伊藤氏が語る、在宅医療の大きな課題と思い

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KEPPLE編集部

在宅医療向けのクラウドサービス「ZEST」を運営する株式会社ゼストがプレシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による7.6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、ミダスキャピタル、ほか法人および個人投資家。

調達した資金は、プロダクト開発、マーケティングや採用活動に充て、一刻も早く世界にサービスを届けることを目指すとしている。

今回の資金調達に際して、株式会社ゼストの代表取締役 伊藤由起子氏に、詳しく話を伺った。

―― まずは、御社の事業についてお聞かせください。

伊藤氏:弊社は、在宅医療における最善な訪問スケジュールを自動作成するクラウドサービスを提供しています。在宅医療は訪問看護や訪問介護がメインとなっており、他には訪問診療、最近では眼科や歯医者も参入しています。これらの事業者が行っている訪問スケジュールの作成や訪問にかかる移動時間を減らすとともに、訪問件数を増やすことで売り上げを向上して、経営改善へと繋げています。

患者さんの情報や訪問スケジュール、看護師や理学療法士などの勤務状況などを登録しておくと、5~10秒で移動時間を取得してきて、誰がどの順番で訪問するか、スケジュールを自動的に作成します。

また、各事業者が利用している、レセプトシステム(請求システム)と連携をすることで、スケジュール作成に必要な情報を自動で取得してきたり、作成されたスケジュールの結果を戻してカルテに反映したり、自治体への請求も行えるような仕組みになっています。

サービス紹介資料
このサービスを訪問時間数、件数に応じた月額従量課金で提供しています。売上の1~2%前後になるように設定しているため、提供する在宅医療サービスに応じて金額が異なります。移動時間はカウントせずに、サービスを提供して売り上げが立つ時間分だけをいただくようにしてます。

現在は本稼働で約30拠点に導入されており、その他にも、トライアルを複数事業者にて実施しています。今年6月時点で、昨年度の同月と比較すると大幅に伸びています。高齢者の在宅医療業界は右肩上がりとなっており、今後ますます拡大すると予想しています。

―― ZESTが取り組む業界の課題について教えてください。

在宅医療の現場では、患者さんやスタッフの状況をよく理解したうえで正しいスケジュールを組む必要があります。加えて、患者さん一人あたりの生涯利益が大きいためミスなく訪問できるようにする必要があります。そのため、経営層が自ら訪問スケジュールを手作業で作成していますが、毎日作成のために早朝や深夜に2時間以上費やしており疲弊しているのが現状です。

弊社サービスをご利用いただくことで、微調整を含めても平均10分以内にスケジュール作成ができるようになりますので、残業をなくすことができます。無駄な移動を減らし、まとまった休みが取れるようになったり、訪問件数を増やして売上を向上することができます。

日本では、2025年問題と言われる介護の人手不足や介護難民が注目されていますが、私たちのサービスで訪問件数を倍にすることができるので、これらの問題も解決することができます。また、今後数年間の間に全世界でも64カ国が日本と同レベルの超高齢化社会に突入していくと言われていますが、同様にそれらの問題も完全に解決できるのが弊社のサービスです。

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―― ZESTを始めようと思ったきっかけを教えてください。

一番大きなきっかけは、2013年頃に二人の経営者に、ZESTの前身となるソフトウェアを売ってくれと立て続けに頼まれたことです。実は、ソフトウェア自体は2003年には既に作っていたのですが、技術者としての私自身のバックグラウンドから製品化はしていませんでした。

二人とも非常に優秀な経営者でしたが、毎日朝から夜中遅くまで働き、休みもまともに取れない状況で、そのソフトウェアを販売してくれないと自分たちの会社は倒産してしまうと、頼まれました。その後、私自身で700社以上のさまざまな事業者に電話でリサーチを行ったところ、他にこのようなサービスはなく、100%皆さん手作業でやっており、同じように大変な苦労をしていることがわかりました。電話の向こうから何度も何度も多くの人から「死ぬほど辛い」という声を聞き、製品化しなければいけないと決断しました。

2003年にはこのソフトウェアを作っていたにもかかわらず、私は技術で世の中に貢献していくから自分では製品化しない、と思っていましたが、こんなにも辛い思いをしている人たちがたくさんいるということを知り、それは間違っていたと反省しました。

そのときに、自分が得意でないのであれば、一人でなんとかするという考え方をやめて、多くのプロ経営者に入ってもらったり、他の企業とアライアンスを組むことによって、一刻も早く世界中に提供しなければならないと決めました。

―― 今回の資金調達の背景および調達した資金の使途について、教えてください。

今回の調達資金で、主に開発体制や営業体制を強化していきます。今回の資金調達を機に、数年先までに実現する予定だった開発計画を前倒しして、年内に終わらせることで、一気にマーケットを取りにいこうと考えています。そして、在宅医療に関わる全ての人たちにご利用いただける状態にしていきます。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

日本でプラットフォームとしてサービスを確立したら、一刻も早くアメリカ、そしてその後はアジア、ヨーロッパにも進出していきたいです。日本では、2025年問題として介護の人手不足などが大きな問題となっていますが、今後は世界中で高齢化・超高齢化社会となり、同様に問題となっていきます。

また、その後は、異業種への展開も計画しています。実は、私たちはもともとは別の業界から始まっており、様々なフィールドサービス業界で使っていただいておりましたが、在宅医療における課題が大きく、まずはそこに絞りました。

今後の当面の目標としては、在宅医療の領域で全世界に広げながら、より多くの業界の方々にサービスを届けていきたいと思っています。

株式会社ゼスト

株式会社ゼストは、在宅医療の訪問スケジュール管理システム『ZEST』を運営する企業。 『ZEST』は、訪問による診療・介護を行うスタッフのシフトや移動手段などを考慮し、訪問スケジュールを自動生成できるシステム。

代表者名伊藤由起子
設立日1988年12月20日
住所東京都豊島区高田3丁目20番11号902
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