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東南アジアの生鮮食品流通事業を展開する株式会社SECAI MARCHEが、総額3.5億円の資金調達を実施した。これにより、シリーズAラウンドでの累計調達額は9.1億円となった。
今回の調達では、ヤマトホールディングスとグローバル・ブレインが共同運営するKURONEKO Innovation Fund 2号やNIPPON EXPRESSホールディングスとSBIインベストメント運営のNXグローバルイノベーションファンドなどが出資に参加した。
SECAI MARCHEは2018年に設立し、BtoB型の産直ECプラットフォームを運営している。生産者からホテル、レストラン、小売店舗までを直接つなぐことで、生鮮食品の流通を担う。主な市場であるマレーシア・クアラルンプールでは、ハイエンドレストランやホテルセグメントにおいて高いシェアを持つ。さらに、シンガポールなど他都市にも拠点を拡大中である。取り扱う食材は野菜、果物、水産物など約4000点以上に及び、受注から検品、梱包、冷蔵配送、在庫管理、決済まで一貫して行うフルフィルメント機能を備えている。
同社が構築するサプライチェーンは、生産地と消費地を直接つなぎ、デジタル技術を用いた需給の最適化や温度管理によって流通の透明性を高めている。食品ロス削減にも注力し、既存の流通網と比較して時間やコストの削減、小口多品種のオーダー対応が可能となっている。東南アジア地域ではコールドチェーンや市場流通インフラの未整備が課題とされてきたが、SECAI MARCHEは独自の低温物流とIT基盤により鮮度保持や食品廃棄率の低減を実現している。
共同代表を務める早川周作氏と杉山亜美氏は、2018年の創業時から東南アジアにおける食品流通の課題に着目し、自社でコールドチェーンの構築に乗り出した。早川氏は、米国メーカーで新規事業支援に携わった後、2011年に起業。日本・香港・タイで農業法人を経営し、ITを活用した生産管理や輸出販売を推進。デロイトトーマツで農業・国際物流分野の事業支援に従事し、2018年にSECAI MARCHEを創設した。杉山氏は、国内60ヶ所以上で企業・自治体向けのヘルスプロモーション支援を行い、「健康経営」を推進。その後マレーシアで起業し、日本茶の貿易・卸販売や飲食事業を展開。デロイトトーマツで日本産農産物の東南アジア輸出拡大に携わり、2018年にSECAI MARCHEを創業した。両代表は現地の細分化された流通構造や高い廃棄率に課題を見出し、仲卸中心の既存モデルでは実現できない高鮮度・高選択性のサービス提供を目指してきたという。
東南アジア市場における生鮮食品流通業界では、都市部を中心に高品質な食材需要が拡大している。一方で、中間業者の多重介在、常温輸送、長いリードタイム、高い廃棄率など、従来型流通には構造的な問題が残る。競合としては日本の卸売業者や現地のEC事業者、物流企業などが存在するが、現地流通網を独自に持ち、デジタル変革に積極的なスタートアップはまだ限られている。
今回調達した資金は、以下の分野に重点投資する予定だ。
今後も「GROWTH FOR EVERYONE」のミッションのもと、食と農の流通革新をリードし、持続可能な社会の実現に貢献していく構えだ。
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