株式会社レボーン

多様な応用が期待される「匂い」分野
香りは、感情や記憶に直接働きかける数少ない感覚だ。これまで感性的なものとして扱われてきた匂いの分野に、いまテクノロジーの力が加わり始めている。AIやセンシング技術の進化により、匂いの「見える化」や「制御」が可能になり、マーケティング、ウェルビーイング、製造管理など多様な産業で新たな価値創出の動きが広がっている。
現時点では用途も市場も限定的だが、今後の展開次第では異業種にまたがる応用が広がる可能性がある。今回は、匂いという曖昧な要素にあえて挑む国内スタートアップ5社の試みを紹介する。
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スタートアップ5選
株式会社レボーン
企業HP:https://www.revorn.co.jp/
AI技術等のテクノロジーを活用し、においに関する事業を展開している。これまで属人的・主観的だった嗅覚評価を客観化・データ化し、品質管理や製品開発の判断を迅速・安定・再現可能にすることで、業務の効率化とリスク低減をローコストで実現する。においセンシングデバイス「Obre」やさまざまなにおいデータを蓄積するプラットフォーム「iinioi®Cloud」、数万通りの香りを出すことができるディフューザー「Hearom」を展開している。
2024年6月には、プレシリーズAラウンドにて、Archetype Ventures、アグリビジネス投資育成、肥銀キャピタル、ユナイテッド、FFGベンチャービジネスパートナーズ、GxPartnersなどを引受先とした、第三者割当増資による2.2億円の資金調達を実施した。
プロモツール株式会社
企業HP:https://www.promotool.jp/
香りを活用する事業を行う。オリジナルアロマオイルの販売や、香りを活用し、視覚・聴覚に加えて嗅覚も刺激することで、さらなる売上アップを目指す香りマーケティングを提供する。他にも、匂いを利用した害虫・害獣対策や香りでおもてなしをする香りの空間デザインも行う。
2025年4月には、巣鴨信用金庫ならびに朝日信用金庫からデット・ファイナンスにより、総額7500万円の資金調達を実施した。
オドレート株式会社
自宅で出来る体臭の郵送検査キット「odorate」などの開発・販売を行う。odorateは、科学的な指標から体臭を分析し、一人ひとりに合わせた最適なケア方法を設計する体臭評価キット。体臭を周りの人がどう感じるか、臭いの強い箇所や体臭の原因をつきとめ、体臭の悩みを解決する。
2023年2月には、odorateシリーズが、開発元のオドレートの本社所在地である埼玉県和光市のふるさと納税返礼品に採用された。
株式会社Qception
超小型の新型センサ「MSS(膜型表面応力センサ)」を用いたニオイセンサを開発する。このセンサを用いてニオイを測定し、機器分析やMSSによる試験測定を通じて、ニオイに関するアプローチ方法の提案やソリューションを提供し、コンサルティングも行っている。また、生体ガス測定により生体から発生するニオイに注目し、酪農、ヘルスケア、医療分野での展開も目指す。他にも、感応膜付きMSSチップ販売、簡易測定器を販売している。
2023年11月には、茨城県内において科学技術に関する研究に携わり、顕著な研究成果を収めた研究者を顕彰する「2023年度 つくば奨励賞 実用化研究部門」にて、同社の村岳氏と吉川元起氏が受賞した。2023年12月には、イノベーションリーダーズサミット実行委員会主催の「ILS2023 AWARD Top of Startups」を受賞、公益財団法人広沢技術振興財団の令和5年度ものづくり技術助成事業試験研究助成に採択された。
株式会社アロマビット
ニオイを可視化するセンサー「aroma bit」を開発する。aroma bitは、センサーが匂いをデジタルデータ化し、これまで人の感覚でしか判断できなかったあらゆる匂いが、目で見えるようになる。また、食品・農業、日用品、コスメその他産業向けの品質管理や製品開発、研究等に利用できるニオイ測定分析機器の販売や、匂いをデータ化するソフトウェア「ScentifAI™️」や匂いをデータ分析する「Aromalyzer®」、自社製品にニオイセンサー機能を付与できる組込型センサーモジュール「5C-SSM (CMOS型)」を開発している。
2025年4月には、5C-SSM (CMOS型)へ搭載する汎用膜の新規膜セットの販売を開始した。これにより、FS0101(従来のFS0100-Tのアップデート版)・FS0200・FS0300 の製品3種のラインナップとなった。
