フィルダクト、AI搭載の遠隔歯科矯正システムを提供開始ー通院負担の軽減と精度向上を両立

フィルダクト、AI搭載の遠隔歯科矯正システムを提供開始ー通院負担の軽減と精度向上を両立

xfacebooklinkedInnoteline

歯科矯正サービスを提供する株式会社フィルダクトは、2025年4月よりAIを搭載した遠隔歯科矯正システムの提供を開始。デンタルモニタリング・ジャパン株式会社との業務提携により、矯正治療の精度向上と通院頻度の低減を両立させる新たなソリューションを全国展開する。

フィルダクトは2018年3月創業のスタートアップで、3Dテクノロジーを活用した透明マウスピース型歯科矯正サービス「DPEARL」を展開している。

DPEARLが採用するマウスピース型の矯正は、0.数mm単位で理想的な方向に移動した形のマウスピースを7〜10日ごとに交換しながら進行する手法である。ワイヤーとは異なり、患者の装着状況に応じて治療計画通りに進むかどうかが左右されるため、徹底した自己管理と定期観察の体制が必要とされる。一方で、通院頻度が多すぎることは忙しい患者にとって大きな負担となる。

この課題を解消するため、同サービスは従来、月1回の対面診療と遠隔サポートを組み合わせた「Wサポート体制」を採用してきたが、今回新たにAIによる遠隔モニタリング機能を導入。これにより、治療中のモチベーション維持や効果の向上に加え、治療計画からの逸脱を早期に検知して対応することが可能になる。

新システムでは、自宅で患者が専用機器とスマートフォンを用いて撮影した歯の画像をAIが解析し、歯科医師が設定したプロトコルに基づいて進捗や注意点をフィードバックする。また、130項目以上に及ぶ口腔内観察を通じたアラート機能により、異常を早期に発見し対応を促す。さらに、週1回のスキャンにより必要最小限の通院で治療を継続できる体制が整えられている。

提携先であるデンタルモニタリング・ジャパンは、スマートフォン画像をもとに130項目以上の口腔内データを分析・検出するAI技術を提供するフランスのパリに本社を置く企業。遠隔モニタリング領域においてグローバルに展開している。

代表取締役CEOを務める金子 奏絵氏は、大学で歯科について学び、歯科技工士の資格を取得し、学生時代に株式会社フィルダクトを創業。3Dプリンターを活用した透明マウスピース型の歯科矯正サポートサービスを構想し、大学院修了と同時に事業の本格化を開始した。

今回の取り組みは、患者だけでなく歯科医院側にもメリットを提供する。AIによる定期モニタリングの導入により、歯科医院では診察時間の40%以上削減が見込まれ、診療効率の向上が期待される。また、クラウド管理システム「MediLeap」の無償提供を通じ、紙カルテや技工指示書といったアナログ業務のデジタル化を支援している。

歯科矯正市場では、都市部と地方、医師の技術差などによる治療の格差が課題だ。DPEARLの新システムは、通院負担を減らしながらも質の高い治療を可能にすることで、こうした構造的な課題の解決に寄与する可能性がある。

今後もフィルダクトは、技術と仕組みの両面からオーラルヘルスの社会実装を目指し、歯科医療業界の課題解決に取り組む方針だ。

画像はフィルダクトプレスリリースより

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

投資家向けサービス

スタートアップ向けサービス