量子コンピュータ領域で実装を進めるスタートアップ5選

量子コンピュータ領域で実装を進めるスタートアップ5選

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量子計算はどこまで来たか──基礎研究から実用化をつなぐ要素技術

量子コンピュータは、従来のコンピュータとは異なる計算原理を用い、特定の問題において飛躍的な計算能力を発揮すると期待されている技術だ。量子ビット(qubit)の重ね合わせや量子もつれといった量子力学の性質を利用することで、組み合わせ最適化、材料探索、創薬、暗号解析など、従来手法では膨大な時間を要する計算への応用が研究されている。

近年、各国政府や大手テック企業による研究開発投資が拡大し、量子コンピュータは基礎研究段階から実用化を見据えたフェーズへと移行しつつある。一方で、量子ビットの安定性やエラー訂正、冷却技術、ソフトウェア開発環境の整備など、解決すべき技術課題は多く、汎用的な大規模量子計算の実現にはなお時間を要するとみられている。

そのため現在は、量子ハードウェアの開発に加え、量子アルゴリズムや応用プラットフォーム、さらには量子時代のセキュリティ基盤を担う動きも広がりつつある。巨大企業主導の印象が強い分野だが、特定の要素技術やソフトウェア、応用領域に特化したスタートアップも存在感を高め始めている。2025年に公表されたEUの量子戦略でもスタートアップ育成が明示され、量子エコシステムの一角として位置づけられている。

本記事では、量子コンピュータをめぐる計算基盤の構築から応用・周辺領域まで、実装を前に進めようとするスタートアップに焦点を当てる。

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スタートアップ5選

OptQC株式会社

企業HP:https://www.optqc.com/

東京大学・古澤研究室における光量子技術の基礎研究を起点に、光量子コンピュータの社会実装と実用化を目指す企業。光量子コンピュータは「光」と「量子」の力を活用し、高速・省エネ・効率的な計算を期待される次世代技術で、OptQCは「電気から光へ、古典から量子へ」というパラダイムシフトを掲げ、実用的な量子コンピュータの開発に取り組んでいる。

2025年10月には、シリーズA1ラウンドにて、グローバル・ブレイン、東京大学協創プラットフォーム開発、デライト・ベンチャーズ、国立研究開発法人科学技術振興機構を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額15億円の資金調達を完了したと発表した。

株式会社Yaqumo

企業HP:https://yaqumo.com/

中性原子量子コンピュータの開発を行っている。「中性原子方式」とは、レーザーで冷却した中性原子(冷却原子)を量子ビットとして使用する量子コンピュータの開発方式で、量子ビットの数を増やしやすく(スケーラビリティが高い)、室温で動作するため冷凍機が不要で、量子ビット間の接続性を柔軟に変更できるなどの特徴を持つ。冷却原子の研究を行う「京都大学高橋研究室」と、量子コンピュータの研究開発を行う「分子研大森研究室」、および国内外のハードウエア・ソフトウエア企業と連携し、量子コンピュータの研究開発を行う。

2025年8月には、Beyond Next Venture、京都大学イノベーションキャピタル、ANRIを引受先とする第三者割当増により、7億円の資金調達を実施したと発表。加えて、YaqumoはNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する補助金事業である「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速」に採択された。

株式会社グルーヴノーツ

企業HP:http://www.groovenauts.jp

量子コンピューター技術を使った「組み合わせ最適化」を得意とする企業。同社が提供する「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」は、AI×量子コンピュータを業務で使えるクラウドプラットフォーム。物流や生産など、複雑化した企業課題に対して、AI・量子コンピュータ・ビッグデータといった最新技術を“手軽に”活用できる形で提供し、最適化や需要予測などの意思決定を支える。高度な専門知識やプログラミングを前提にせず、画面上で機能ブロックをつなぐだけで処理やシステム構築を進められる点も特徴。また、テクノロジーで遊べる学童保育「TECH PARK」の運営を行なっている。

2024年3月には、NIPPON EXPRESSホールディングスがAIと量子技術の活用に強みをもつグルーヴノーツの株式を取得し、資本業務提携契約を締結した。

Qubitcore株式会社

企業HP:https://qubitcore.jp/

OIST(沖縄科学技術大学院大学)由来の先端技術をベースに、次世代の誤り耐性型・汎用量子コンピュータの実現を狙う量子コンピューティング企業。独自のイオントラップ技術に光マイクロキャビティを統合し、光量子接続によって量子プロセッサをネットワーク化することで、高い忠実度と接続性を両立しながらスケールできるアーキテクチャを構想する。研究成果を実社会で使える形に落とし込み、量子計算をより身近な基盤技術へ広げることを目標に掲げる。

2025年7月には、国産イオントラップ量子コンピュータの社会実装へ向け、OIST Lifetime Ventures Fund をリード投資家とするプレシードラウンドの資金調達を実施したと発表した。

株式会社Blocq,Inc.

企業HP:https://www.blocqinc.com/

量子コンピューティング時代の新たな脅威に備え、量子攻撃への耐性を高める最先端のセキュリティソリューションを提供する。量子の能力も活用して潜在的な攻撃を無効化し、情報通信をより安全かつ費用対効果の高い形へ進化させる。現在、量子コンピュータによる暗号解読への耐性が期待される防御技術の開発に注力している。

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