ファンズが狙う投資の「空白地帯」、3年以内に運用1000億円目指す

ファンズが狙う投資の「空白地帯」、3年以内に運用1000億円目指す

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KEPPLE編集部

固定利回りの資産運用サービス「Funds」を運営するファンズ株式会社がシリーズDラウンドにて、第三者割当増資による約34億円、銀行融資による約2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、ANRI、グローバル・ブレイン、B Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、三井住友信託銀行、FFGベンチャービジネスパートナーズ、楽天証券、Hanwha Asset Management、Cygames Capital、マーキュリアホールディングス、国内機関投資家(社名非公開)。融資における借入先は、みずほ銀行、千葉銀行、商工中金。

今回調達した資金は、Fundsの機能充実や連携パートナーの拡大、顧客獲得のための新たな施策や事業展開に向けた人材獲得およびマーケティング費用に充てる。

「個人が企業にお金を貸す」固定利回り型の運用サービス

ファンズは代表取締役CEOの藤田氏とテイラー株式会社の柴田氏が2016年に共同創業。両者とも上場企業への事業売却実績のあるシリアルアントレプレナーだ。主要な経営陣は金融業界出身者が多い。

Fundsは、個人が企業に間接的にお金を貸すことで資産運用ができるサービス。同社が組成した貸付ファンドに個人投資家から集めた資金を集約し、子会社のファンズレンディングが企業等に貸し出しを行う。企業から返済された元本と金利は、最終的に投資家に返済される仕組みだ。最大の特徴は値動きがない固定利回り型であること。1円単位での投資が可能で、平均利回りは1.6%程度。投資先は独自の審査を通過した上場企業が中心となる。

Fundsの仕組み
2019年1月のリリース以来、およそ4年で投資家登録数は7万3000人を突破。これまでに募集を行った貸付ファンドは累計約280本、募集金額は累計300億円以上となった。アクティブユーザー1人あたりの運用額は150万円前後だという。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 藤田 雄一郎氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

世界的にも珍しい資産運用プラットフォーム

―― これまで、投資業界にはどのような課題がありましたか?

藤田氏:個人の資産形成の重要性は高まっているにも関わらず、投資の普及が一向に進まないのが課題でした。日本は資産運用や投資に関するイメージがあまり良くない。そのため投資に消極的な傾向があり、諸外国に比べて資産運用比率は非常に低くなっています。

このような障壁を払拭するのは「損しにくく、価格変動なく、専門知識の要らない、安定的な金融商品」です。それを実現しようとFundsを始めました。これまでのソーシャルレンディングとは異なり、利回りが高くなくとも、安心感のある企業を中心にリスクを抑えて運用できます。上場企業を対象として、社債代替のような形で個人が安定的に資産運用できるプラットフォームは、世界的にも珍しいのではないかと思います。

―― 投資を募る企業側にも課題がありましたか?

現在、新興市場は株価が不安定でエクイティファイナンスでの調達がしづらい一方、今後の景気後退に備えて、手元の資金を厚くしておきたいというニーズは高まっています。スタートアップのデットファイナンスによる調達が増えている中、上場企業でも調達の手段を多様化したいと、当社を指名いただくケースが増えています。

Fundsが提供している価値

スタートアップスカウト

―― Fundsを始めようと思ったきっかけを教えてください。

起業や売却を経て、縁あって入社した会社でクラウドファンディングを学ぶ機会がありました。当時はハイリスク・ハイリターンなサービスが多かったのですが、求められているのは安定感のある金融商品だとわかり、それに応えようと思いました。ただ、日本では利回りが低いが安定感のある国債・社債と、値動きの激しい株・FX・仮想通貨という両極端な選択肢ばかり。それなら、その間にあたるものを作れば面白くなると考えて、Fundsを始めました。

日常的に使える国民的なサービスに

―― 資金調達の背景について教えてください。

サービスに対して確実に投資家・企業双方のニーズがあり、ここからさらに成長するステージに入りました。Fundsの機能充実、広告宣伝費、主にエンジニアの採用などを加速するための資金として、今回の調達に至りました。

―― 資金の具体的な使途を教えてください。

既に実装した機能では、オンライン上で本人確認を完結できるeKYCの導入や、楽天証券との連携などが挙げられます。新たな商品では、不動産やPE(プライベート・エクイティ)ファンドなど、オルタナティブアセットの準備を進めています。また、現在さらなる金融機関との連携の話も進めており、今年中には新たな連携パートナーを発表できるかと思います。

サービス開始から3年ほどは企業の開拓に注力してきましたが、1年ほど前から個人へのマーケティングが必要なフェーズに入りました。調達した資金で、本格的にマーケティングを加速したいです。既に打ち出しているタクシー広告に加えて、サービスの認知や啓蒙を図る広告の展開も考えています。

藤田 雄一郎
―― 今後の展望を教えてください。

「国民的な資産運用サービスを作る」というビジョンのもと、Fundsを皆さんが日常的に使うようなサービスにしていきたいです。目標としては、3年以内に1000億円程度の運用と、ユーザー数10万人突破を目指しています。

資産運用がなかなか普及しないのは、資産運用の難しさや、とっつきにくさに課題があります。そう感じる原因の一つは、上がったり下がったりする金融商品の値動きにあるのではないでしょうか。Fundsでの値動きのない安定的な運用商品を通じて、誰もが資産運用にもっと取り組めるようにしたい。それによって、貯蓄から資産形成への転換を力強く後押ししたいですね。

世界初にチャレンジしたい人材に来てほしい

―― 採用を強化しているそうですね。求める人材像などを教えてください。

私たちは「未来の不安に、まだない答えを。」というミッションを掲げています。前半は「お金の不安を解消しよう」という立ち位置を示し、後半は「スタートアップとしてやるからには新しいことにチャレンジしよう」という、会社のカルチャーを示しています。

難しい課題に挑むので、さまざまな分野の優秀な専門家の方々と協力していきたいです。私たちはネット企業でありながら金融を学べる、面白いポジショニングの会社なので、働きがいもあり、成長もできると思います。国内初、世界初にこだわって、どんどん新しいことにチャレンジしていく意識が社員みんなに根付いています。そういう気概のある方はぜひ当社に来てほしいですね。

ファンズ株式会社

ファンズ株式会社は、ソーシャルレンディングサービス『Funds(ファンズ)』を運営する企業。 『Funds』は、貸付型ファンドを通して、事業資金を借りたい企業と個人をマッチングするサービス。少額から貸付投資ができ、利回りと運用期間が予め定められた金融商品である点が特徴。上場企業や、成長が期待されるベンチャー企業が借り手として利用している。

代表者名藤田雄一郎
設立日2016年11月1日
住所東京都渋谷区恵比寿西1丁目10番11号
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