株式会社ロータス・サーマル・ソリューション

独自の熱制御および液浸冷却サーバー技術を開発する株式会社ロータス・サーマル・ソリューションは、篠原電機、エレマテックを引受先とする第三者割当増資により、総額5億円の資金調達を実施した。
同社は、独自の「ロータス型ポーラス金属」を基盤に、熱制御・放熱ソリューション事業を展開している大阪大学発ベンチャー。レンコン状の多孔質・中空構造により高い熱伝導性を発揮し、ヒートシンクなどの放熱部材を高性能かつ低コストでカスタム製造・販売する。空冷・水冷・沸騰冷却など多様な方式に対応し、自動車バッテリーやデータセンターサーバーなど高発熱デバイスの放熱課題を解決するという。

データセンター市場は、DXとAIの普及に伴うインフラ需要を背景に拡大が続いている。世界市場は2024年に約4100億米ドル規模に達し、2030年代にはさらに数千億米ドル規模へ成長する見込みだ。国内でも、データセンター市場は2025年に約120億米ドル、2031年には約400億米ドルへ拡大すると予測されている(CAGR約20%)。
中でも冷却分野の伸びが大きい。グローバルのデータセンター冷却市場は2025年に約110億米ドル、2031年には約250億米ドルへ拡大する見通し(CAGR約15%)。日本でも2025年に約30億米ドル、2034年に約70億米ドルまで成長すると見込まれている(CAGR約10%)。
一方、生成AIやHPCの普及でサーバーの消費電力と発熱密度は増加しており、電力供給と熱排出の両面で効率化が不可欠になっている。同社はこの環境を背景に、ロータス金属を核とした冷却技術を高効率・高信頼のサーバー熱マネジメント製品として提供し、電力効率の向上とCO2排出削減の両立を目指している。
代表取締役社長は井手拓哉氏。大阪大学産業科学研究所で助教を務めた後、2016年1月にロータス・サーマル・ソリューションを設立した。大阪大学発ベンチャーとして、半導体の熱課題を解決し、脱炭素と高性能化を両立する熱ソリューションの開発に取り組む。
今回の資金調達は、同社が成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)および事業会社からの出資を受けて実現した。調達資金は、大阪市西淀川区御幣島で新設する工場の建設費用、量産体制の強化、製造プロセスの高度化、人材採用など、事業拡大に向けた取り組みに活用する予定である。新工場は2026年3月に竣工予定としている。
今後はデータセンターなど巨大インフラの需要拡大を捉え、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に資するサーバー冷却ソリューションを量産・供給する体制を構築し、CO2排出削減とエネルギー効率向上に取り組む方針である。また、東北大学NanoTerasuにて開発技術を導入した液浸サーバーの実証実験を開始するなど、産学連携による技術展開も開始する計画だ。









