クライメートテック(気候テック)領域で脱炭素社会の実現に挑戦するアスエネ株式会社は13日、シリーズBラウンドにおいて、総額18億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
今回の調達は、国内外のVCからの第三者割当増資による16億円の調達と商工組合中央金庫からの2億円の融資による調達で構成される。
第三者割当増資の引受先は、インキュベイトファンド(既存)、STRIVE(既存)、環境エネルギー投資(既存)、シンガポール政府100%投資会社テマセク・ホールディングス傘下のPavilion Capital(新規)、GMO VenturePartners(新規)、アジアのPE FundのAxiom Asia Private Capital(新規)。
今回の調達は、今後の目標にもなっているアジア展開を見据えたものとなっており、アジア圏で影響力を持つ投資家などを積極的に迎え入れたという。
本ラウンドは、2019年12月、2021年4月に続く3度目の調達となり、2019年10月の創業からの投融資による累計調達額は約22億円になる。
また本ラウンドでは、追加のエクステンションラウンドも実施予定だとしている。
同社の運営する「アスゼロ」は、企業や自治体におけるGHG(温室効果ガス)の排出量を電気・ガスの請求書やガソリンのレシートなどをスキャンすることにより自動でGHG排出量を算出し、見える化・削減まで実行できるBtoBの脱炭素クラウドサービス。
国際基準であるGHGプロトコルにおけるScope1-3のサプライチェーン排出量の算出・削減にも対応するほか、サステナビリティコンサル支援、GHG排出の原因分析やTCFD、CDP、SBTiなどイニシアチブ支援の追加サービスも提供している。
またデータの収集から算定方法・算定領域の設定、削減目標・シナリオの策定、カーボン・オフセットまでを支援しているほか、気候変動に関する勉強会なども行なっており、導入企業のGHG削減をワンストップで支援する。
GHG排出量の見える化から削減までをワンストップで提供している事業者は現時点で国内唯一。
また同社はほかに、CO2ゼロ×地産地消が特徴のクリーン電力サービス「アスエネ」の運営も行う。
「アスエネ」は、ブロックチェーン技術を活用し、電力を発電した発電所を証明することで、好きな発電所から電力を購入することができる。
同社は、代表である西和田氏が三井物産で主に国内外の再生可能エネルギー関連の投資やM&A、海外の省エネ・再エネの分散型電源ベンチャーへの出向などを経験する中で、海外で再生可能エネルギー特化のテック系企業がシェアを伸ばしているのを目の当たりにし、国内でも類似の切り口でビジネスモデルを展開できるのではと考えたのをきっかけに創業された。
起業し、最初の事業となったのは、クリーン電力サービスである「アスエネ」。起業当初からCO2削減を目的とした複数のサービスを展開する構想を持っており、最初の事業として「アスエネ」を選んだのは、再エネ特化の電力サービスというサブスク型のサービスを通して、脱炭素に興味を持っている顧客と接点を獲得する狙いがあり、さらなる脱炭素事業を仕掛ける狙い。
今回の資金調達では、同社の2つ目の事業であるCO2排出量見える化・削減クラウドサービス「アスゼロ」を最注力事業と位置付け、人材の採用強化、システム機能拡充、グローバル展開に向けたシステム仕様の強化、契約受注後の顧客サポートを充実させるカスタマーサクセスの強化、多様なマーケティング費用などに調達資金を充当する予定。
「アスゼロ」を注力事業と位置付けた背景としては、GHG排出量の算出などにも国際基準の計算式を採用しており、海外展開ができる事業になっていることなどがある。
また現在「アスゼロ」は、東証のコーポレートガバナンス・コードの改訂などを背景に2021年夏のリリースから契約受注額が毎月平均+300%超の急成長を遂げており、契約社数も既に約200社とサービスが順調に伸びているという。
グローバル展開については、今後需要の伸びてくると予想されるアジア圏を想定しており、炭素税の導入といった規制強化、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への加盟企業数、再生可能エネルギーなどへの関心の高さなどを基準に進出先を検討していくとしている。
また社員数ついても、この先1年程度で現在の約50名から100名まで増員する採用計画だ。
同社では現在、CO2排出量見える化・削減クラウドサービス「アスゼロ」の展開を、一緒に取り組めるパートナーの募集も行なっている。
アスエネ株式会社
アスエネ株式会社は、クリーン電力サービス『アスエネ』およびCO2排出量可視化クラウドサービス『アスゼロ』を運営する企業。 『アスエネ』は、選択した発電所から再生可能エネルギー100%の電力を購入できる法人向けサービス。 同サービスでは、ブロックチェーンを用いたトラッキングシステムを活用することで、再生可能エネルギーであることや供給した発電所を証明する。 『アスゼロ』は、脱炭素に取り組みたい企業・自治体向けに、温室効果ガス排出量やカーボンフットプリントの算定・報告・削減・カーボンオフセットなどを支援するサービス。 同サービスでは、請求書やレシートをアップロードすることで内容の自動入力やそれらを元にしたCO2排出量の自動算定を行うほか、GHG排出量の分析・報告の自動化も行う。 また同社では、環境情報を基礎から解説するメディア『アスエネメディア』の運営も行う。
代表者名 | 西和田浩平 |
設立日 | 2019年10月2日 |
住所 | 東京都港区虎ノ門1丁目17番1号 |