株式会社リデルタ

日本企業の東南アジア進出・M&Aを支援する株式会社リデルタが、ANRI、East Ventures、グロービスなどを引受先とする第三者割当増資により、総額約1.2億円の資金調達を完了した。同時に、東南アジアM&A案件を収録したデータベースを正式リリースした。調達資金は同プロダクトの開発推進および採用の強化に充てる。
リデルタは2020年に創業し、クロスボーダーM&Aの仲介を手がける。代表取締役は國井大地氏。同氏は有限責任監査法人トーマツで法定監査やM&Aアドバイザリーの経験を積んだほか、スタートアップの取締役CFOも務めた。実家の会計事務所の顧客が事業承継に課題を持っていたことをきっかけに、国内M&A事業を立ち上げた後、参入者が少ないクロスボーダー領域に可能性を感じ事業方針を転換した。
現在は、インド、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ等を対象に、案件ソーシングからデューデリジェンス(DD)※、買収後の統合(PMI)までを一貫して支援する。
今回正式リリースした「リデルタM&A」は、そのうちソーシングの部分を支援するサービスだ。日本企業の経営企画・海外事業担当者が自社の戦略に基づいて東南アジアのM&A案件を検索・活用できる仕様となっている。現地では、現地ファンドなどに所属する1560名以上の個人エージェントと連携して案件情報を収集しており、現時点でインドネシア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドなどで数十〜300件規模の案件を掲載している。

「我々がターゲットとしているのは、金融・旅行・マーケティング・物流・メーカーなど幅広い業種の、東南アジア進出を検討する企業。業界全体でみると、まだ海外進出をしているのは各業種のトップ2割程度。これから海外進出を目指す企業群にホリゾンタルにアプローチしている」と國井氏は語る。
日本のM&A仲介市場では、日本M&Aセンターや M&A総研などが国内案件で高いシェアを持つ一方、クロスボーダー案件、特に東南アジアを対象とした中小規模の仲介プレイヤーは限定的だと同氏は語る。海外案件では言語や現地商習慣への対応、金融プロフェッショナルとしての専門性が求められるため、国内型の手法が通用しにくい点が参入障壁となっているのだ。一方、シンガポール、マレーシア、タイなど一部の東南アジア諸国では高齢化に伴う後継者不在の課題が顕在化しつつあり、エグジット手段としてのM&A需要が高まっているという背景があるという。
「東南アジアのM&A市場は、日本の30年前と同じ状況にある。日本のM&Aが成長期から成熟期に移行しつつある今、東南アジアはまさにこれから成長期に入っていくフェーズだ」と國井氏は述べ、この市場に早期参入することでインフラとしての地位を確立したい考えを示す。

ソーシング業務へのAI活用も同社の特徴の一つだ。買収候補企業のリストアップ、非公開情報を含む企業規模の推計、担当者・意思決定者の探索、ティーザー等の資料作成など、従来は数百時間を要していたプロセスを社内システムで大幅に効率化しているという。「案件の成約までのリードタイムは変わらないが、案件ソーシングに要する時間は約100時間から約10時間へと短縮できている」と國井氏は語る。
今回の調達資金を活用し、同社は現地エージェントとの提携拡大によるデータベースの案件数増強、マッチング精度向上に向けた独自アルゴリズムの開発、そして現地でのDD・PMI支援体制の強化を進める。将来的にはアジア全域を網羅するクロスボーダーM&Aのインフラ構築を目指すとしている。
なお、同社はM&A支援と並行して、現地エージェントネットワークを活用した日本企業への外国人材紹介事業にも着手しており、すでに複数社との契約を締結している。
リデルタは、東南アジアM&A案件のソーシングからエクセキューション、PMIまでを一気通貫で支援することで、「グローバル進出の民主化」を実現しようとしている。國井氏は「私たちは、情報の非対称性を『テクノロジー』と『ヒト』の力で打ち破り、すべての日本企業が東南アジアの爆発的な成長とダイレクトに結びつく世界を作り『日本の資本で世界を拓く』社会実装の実現を目指します」とコメント。クロスボーダーM&Aのハードルを着実に下げていく構えだ。
※デューデリジェンス(DD):M&Aや投資などの取引に先立ち、対象企業の実態・価値・リスク(財務、法務、税務、事業等)を調査・検証する手続きのこと。

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