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フィットネスジム向けAIカメラ解析サービス「GYM DX」を展開する株式会社Opt Fitは、シリーズBラウンドで総額7.8億円の資金調達を実施した。第三者割当増資による5億円と、日本政策金融公庫・名古屋銀行・あいち銀行からの2.8億円のデットファイナンスで構成される。
今回のラウンドには、ファーストライト・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、フィデアキャピタルなどが新規株主として参加し、既存株主としてSTATION Aiファンド、アコード・ベンチャーズ、HIRAC FUND(マネーフォワードベンチャーパートナーズ)、NOBUNAGAキャピタルビレッジなどが続投した。
Opt Fitは、AIとカメラ映像を用いた防犯・監視ソリューションを展開しており、主力製品「GYM DX」は全国で2050施設以上に導入されている(前年比約2倍)。継続利用率は99.9%を超え、無人ジムの出店拡大とともに高いニーズを獲得している。

代表取締役CEOの渡邉昂希氏は、「無人ジムの拡大とともに、我々のソリューションとの親和性が高まっている」と語る。
同社は2020年創業。「AIと人間が共存する社会を創造する」というミッションのもと、省人化・無人化支援のプロダクトを提供してきた。シリーズA以降は、介護施設における人手不足やハラスメントリスクに対応するため、見守り用AIカメラ「Kaigo DX」を開発。
Kaigo DXは2025年1月に試行導入、10月から本格提供開始。モザイク処理や権限管理など、介護現場のプライバシーに配慮した設計が特徴となっている。
「カメラ型の見守り機器はこれまで導入のハードルが高かった領域。しかし近年では入居者側からも“何かあったときに記録があるほうが安心だ”という声が増えてきた」と渡邉氏。こうした環境の変化が、同社の介護領域進出を後押ししている。
技術面では、生成AIを取り入れた画像解析アルゴリズムの高度化が進行中だ。渡邉氏は、「事故や緊急時の検知はもちろん、今後はマナー違反など秩序を乱す行動の検知にも取り組んでいく。施設の健全な運営に貢献したい」と語った。

今回の調達を通じて、地銀・CVCとの連携も強化された。地方銀行のネットワークを活用し、地域密着型の展開や金融・不動産分野での事業機会の拡大を目指す。
「今回は事業会社からの出資はありませんが、将来的には資本提携も視野に入れています。多様な業界と連携しながら、よりよいプロダクトを広げていきたい」と渡邉氏は語る。
加えて、「小売、飲食、ホテル、施工現場など、現場管理が求められる業界には共通の課題があります。我々がジムや介護領域で培ったノウハウが横展開できる余地は大きい」と語り、今後も新領域への拡張を視野に入れる。
中長期的には、2029年のIPOを視野に、フィットネス・介護の両市場で3000施設への導入を目指す。また、将来的には海外展開も見据えており、日本の少子高齢化社会で培ったプロダクトをグローバル市場へと展開していく構想も明かした。
「我々が目指すのは、“人が人にしかできない仕事に集中できる社会”。人手不足でも問題がないと感じられる社会を実現したい」と渡邉氏は述べ、持続可能な成長と社会課題の解決の両立を目指す姿勢を示した。

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