NABLA Mobility、シリーズAで約4億円調達ー航空業界のAI最適化を牽引

NABLA Mobility、シリーズAで約4億円調達ー航空業界のAI最適化を牽引

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航空会社の業務支援ソフトウエアの設計・開発・販売を行う株式会社 NABLA Mobilityが、シリーズAラウンドで約4億円を調達した。出資者はインキュベイトファンド、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、環境エネルギー投資、山口キャピタル、横浜キャピタルの6社で、累計調達額は約8億円に達している。

また、同社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する「GX分野のディープテック・スタートアップに対する支援事業(GX事業)」STSフェーズにも採択されており、最大4億円の公的助成を受ける予定だ。

今回調達した資金と助成金は、運航最適化ソフトウェア「Weave」の開発強化、アルゴリズムの高度化、人材採用などに充てられる。

NABLA Mobilityは2021年4月に設立。AIとデータ解析を活用し、航空会社向けの運航支援ツール「Weave」や、運航データを活用した意思決定支援プロダクトを開発・提供している。特徴的なのは、熟練人材の経験に頼ってきた領域にデータドリブンな意思決定を導入している点である。

代表取締役CEOは田中辰治氏が務める。田中氏はIHIでジェットエンジン研究開発に携わった後、ボストンコンサルティンググループで事業戦略立案などを経験。エネルギー問題と航空分野への関心を背景に、2021年にNABLA Mobilityを複数名の共同創業体制で立ち上げた。チームは技術、事業開発の両面で専門性を持つ人材で構成されている。

航空業界では、国際民間航空機関(ICAO)が2050年カーボンニュートラル目標を掲げている。国際航空運送協会(IATA)のデータによれば、航空分野のCO2排出量は2019年時点で全世界排出量の約2~3%を占める。

国内外の競合状況を見ると、スウェーデンのOptiflyや米国のFlightAwareなど、航空データとAI解析を組み合わせた運航最適化ソリューションを展開する企業が存在する。欧米に比べると、日本市場では運航最適化ソフトの導入率が低い傾向にある。NABLA Mobilityはこのギャップを埋めることを目指し、国内航空会社への導入拡大を進めている。

直近では、東京大学やPeach AviationとのFPA降下手法の実証導入も進んでおり、技術が実運用フェーズに入ってきていることが示されている。

航空会社にとって燃料コスト削減や脱炭素対応は経営に直結する課題であり、AIを活用した運航最適化技術の市場は今後も拡大が見込まれる。NABLA Mobilityが今回の資金調達と公的助成を通じて、技術開発と事業基盤を強化する流れは、国内航空業界の運航効率化や環境負荷軽減に向けた動きの一端となっている。

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