尿検査とAI技術でがんの早期発見を目指すCraif、シリーズCラウンドで10億円を調達

尿検査とAI技術でがんの早期発見を目指すCraif、シリーズCラウンドで10億円を調達

written by

KEPPLE編集部

尿中マイクロRNAとAIを活用したがんの超早期発見技術を開発するCraifは、2024年12月、シリーズCラウンドの1stクローズとして、プロサッカー選手の本田 圭佑氏が率いるファンド「X&KSK」から第三者割当増資による10億円の出資を受けたことを発表した。これは同ファンドにとって過去最大の投資額となった。

同社が提供するがんリスク検査サービス「マイシグナル®」は、尿中に含まれる「マイクロRNA」という物質をAIで解析し、がんのリスクを早期に発見するというものだ。従来のがん検査は血液や組織の採取が必要で、患者にとって身体的負担が大きいという課題があった。一方でCraifの技術は、尿を用いた検査で複数のがん種を早期に検出できる可能性を持つ。

同サービスは800を超える医療機関、全国400店舗以上のドラッグストア・薬局、企業の福利厚生プログラム、ECチャネルを通じて展開されている。特にすい臓がんや肺がんなど、早期発見が難しいとされるがん種に対応しており、医療現場における早期発見の課題解決に貢献することが期待されている。

代表取締役CEOの小野瀨 隆一氏は、1991年生まれで、幼少期をインドネシアと米国で過ごした。早稲田大学国際教養学部在学中にカナダのマギル大学に交換留学し、卒業後は三菱商事に入社。同社では、米国からシェールガスを日本に輸入するLNG船事業に4年間従事した。三菱商事で勤務する傍ら、2016年には民泊会社を創業し全国に事業を展開。2018年4月に三菱商事を退職し、同年5月にIcaria(現Craif)を創業した。

がんの早期発見は、患者の生存率向上に直結する重要な課題とされている。特にすい臓がんや肺がんは自覚症状が少なく、発見が遅れがちであるため、早期のリスク検出技術の開発が急務だ。Craifの技術は、尿を使うことで体の負担を伴わずに複数のがんを早期に調べることができるため、新しい検査方法として期待されている。

2024年11月には、Craifは第65回日本肺癌学会学術集会で、東京慈恵会医科大学や市立東大阪医療センターとの共同研究成果を発表した。この研究では、尿に含まれる小さな物質「マイクロRNA」を解析し、AIを使って高い精度で肺がんを予測できるモデルを作ることに成功した。

今回の資金調達により、Craifは日本国内での事業拡大と米国での研究開発強化を進める計画である。特に、すい臓がんの早期検出技術を中心に、対応可能ながん種の拡大やグローバルな事業展開を加速させるとしている。また、2025年春頃に予定しているシリーズCの2ndクローズでは、事業会社を中心に追加の資金調達を計画している。

画像はCraifプレスリリースより

Tag
  • #がん
  • #細胞
  • #ヘルスケア検査
Share
notelinkedInfacebooklinex
banner

新着記事

notelinkedInfacebooklinex
notelinkedInfacebooklinex

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ。
1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

STARTUP NEWSLETTER

投資家向けサービス

スタートアップ向けサービス