ロゴの使用許諾を一元管理、ロゴラボがブランド許諾管理SaaSをローンチ

ロゴの使用許諾を一元管理、ロゴラボがブランド許諾管理SaaSをローンチ

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KEPPLE編集部

目次

  1. 上場延期の可能性も ブランド管理の落とし穴
  2. ブランドの価値を守り、広げる―ロゴラボの挑戦と未来展望

ブランド許諾管理システムを運営するロゴラボがシードラウンドにて、総額6000万円の資金調達実施を明らかにした(デットを含む)。本ラウンドの引受先はXTech Ventures。あわせて、許諾管理SaaS「ロゴラボ」の第一弾「ロゴラボ ブランドチェック」の正式ローンチを発表した。

ロゴラボ ブランドチェックは、自社や他社のロゴなどのブランドデータの利用許諾を管理するSaaS。自社のブランドアセット管理に加え、許諾情報をデータベース化して一覧で表示し、許諾先や期限などを把握できる。

ロゴラボイメージ画像

著作権や商標など、企業は多くの知的財産を抱えているがその扱いは難しい。ロゴラボによれば画像素材の不正利用は10年で約3倍となり、企業間のやり取りでも許諾管理が行き届いていないことが多いという。ガバナンスを重視する企業にとって、ブランド管理は仕組み化が難しく、無許可利用や規約違反を防ぎきれない実態がある。

ロゴラボの料金は月額5万円から。正式ローンチを記念して、2024年12月までに申し込んだ限定100社が利用できる無料プランも提供する。すでにヤマダホールディングスやPLAN-Bなど10社以上が導入している。

今回の資金調達に際して、代表取締役社長 野﨑 智裕氏に今後の展望などについて詳しく話を伺った。

上場延期の可能性も ブランド管理の落とし穴

―― 御社が解決に取り組む課題について教えてください。

野崎氏:我々が解決したいのはロゴをはじめとしたブランドデータ管理に関する課題です。たとえば自社サービスの導入実績など、他社のロゴを使用する会社が多くあります。一方でロゴは著作物です。取引先の情報を勝手に使用しては問題になります。

他社ロゴを使用する際には許可を取っている場合がほとんどですが、たとえば5年前に退職済みの担当者がメールで許可取りしていたらどうでしょう。実際にどのようなやり取りがあったのか、本当に許諾を得たのか確認することは困難です。スプレッドシートなどで丁寧に管理している会社もありますが、それも手入力されているものなので、本当に正しいかはわかりません。

―― ロゴラボのサービスについて教えてください。

ロゴラボにはロゴや写真、映像などのブランドデータを登録することができます。利用ガイドラインなどもクラウドストレージのようにデータ保管できるイメージです。

ブランドデータを提供する時は、使用者からフォームで申請された内容を承諾するだけ。利用者はデータをダウンロードして利用でき、これらの利用期限や申請状況は自動的にデータベース化され、簡単に管理できます。ブランドデータに更新があった際には、どの企業にどのデータを提供しているかすぐに把握できますし、一括で更新依頼をすることもできます。

反対に、実績として他社ロゴを集めることが多い企業の許諾管理にも使えます。写真やロゴなど、必要なデータを添付するためのフォームを作って送信してもらうことで、ロゴラボ上で管理できるようになるイメージです。

また、ブランドデータをやり取りする上で、「自社データを利用する取引先が果たして本当に信用できるか」は気になりますよね。使用者のブランドに関わる情報をAIでモニタリングし、レピュテーションリスクを防止する機能も備えています。

ブランド与信判定画像
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―― 事業開始のきっかけは?

私は元々、エンタープライズ向けSaaSを開発するドリームアーツに営業として入社しました。オンプレミスからSaaSへのビジネスモデルの転換に従事し、最終的に執行役員マーケティング本部長として上場準備にも携わりました。

その際に行ったのがまさにブランドデータの管理です。取引先のロゴデータを使うときはその都度許可を取っていましたが、上場準備に際して、無断利用がないか改めて確認する必要があったのです。許可を取った担当者がすでに退職していたり、過去の膨大なメールを遡ったりと、非常に大変でした。

その後Sales Markerに入社してスタートアップの世界に足を踏み入れることとなりました。周囲の企業を見ていると、意外にも他社ロゴの利用に関する意識が必ずしも高いわけではなかった。多くのスタートアップは上場を目指しているのだから、早期からロゴなどのブランドデータはしっかりと整理して管理しておくべきです。この時に感じたギャップが事業開始のきっかけです。

―― すでに大手企業の導入も進んでいます。ブランド許諾の管理に投資をする企業は今後増えそうです。

私自身が体験したように、ブランドデータの管理には本当に工数がかかります。ですが、ずさんな管理をしたことで起こり得るリスクの方が大きいのも事実です。

最近では、著作権やIP(知的財産)に関連した問題を目にすることが増えました。ロゴの不正利用を指摘するSNS投稿も見かけます。そのような問題がもしも上場準備期に持ち上がれば、たちまち延期になってしまう可能性もあります。こうしたリスクと比較すれば費用をかけて対策する価値は十分にあるはずです。

ブランドの価値を守り、広げる―ロゴラボの挑戦と未来展望

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

重視しているのはプロダクトの製品力を高めることです。これまでは業務委託メンバー含め6名のチームで開発を行ってきましたが、年内に10名程度を目安に開発体制を強化します。

マーケティングやプロモーションへの投資も必要です。ロゴラボは、ブランドの提供者と使用者の双方が使うことでより便利になるサービスです。誰もがロゴラボを利用している状態を作るためにも、ブランド管理の企業課題について認知して貰わなければいけない。ロゴラボの価値を啓蒙するような活動にも取り組み、年内には100社以上の導入を目標としています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

今後、許諾を受けたロゴ一覧を簡単に作成できるエディター機能をリリース予定です。多くの企業がサービスの導入実績として導入企業のロゴをウェブサイトに並べていますよね。それに、問い合わせフォームの横に導入企業のロゴを配置することでCVR向上にもつながります。一方で、こうしたロゴ一覧をメンテナンスするのは意外と大変なんです。ロゴの並び替えや削除をロゴラボ上で実現するだけでなく、作成したロゴ一覧をウェブサイトに埋め込んでタイムリーに更新することもできます。

ブランド与信をはじめ、ブランドマネジメント領域には今後も注力します。一度許諾を与えた自社のブランドデータはさまざまな場所で利用されるものの、適切に利用されているかは把握できません。ブランドデータの利用をモニタリングして、不適切な利用を検知した際にはアラートを出すような機能も構想中です。将来的にはIP領域への進出も検討しています。

ロゴラボのロゴは、手を取り合うようなイメージで作成しているんです。ただの管理ツールではなくロゴラボというプラットフォームがあることで、お互いのブランドを守りながらその価値を高めていく。ブランドとブランドのつながりが日本全体のイメージ向上に貢献できるよう、今後も取り組んでいきたいと思います。

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「スタートアップスカウト」は、ストックオプション付与を想定したハイクラス人材特化の転職支援サービスです。スタートアップ業界に精通した当社エージェントのほか、ストックオプションに詳しい公認会計士やアナリストが伴走します。

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