京都大学発・OOYOO、約3億円を調達──カーボンニュートラル実現を支えるCO2分離膜を実装へ

京都大学発・OOYOO、約3億円を調達──カーボンニュートラル実現を支えるCO2分離膜を実装へ

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京都大学発のCO2分離膜スタートアップ 株式会社OOYOO(代表取締役:大谷彰悟) は、シードラウンドのエクステンションとして総額約3億円の第三者割当増資を実施した。これにより、シードラウンドでの累計調達額は約7.4億円に達した。今回のラウンドには、三菱UFJキャピタル、京都キャピタルパートナーズ、中信ベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、未来創造キャピタル(みずほリースCVC)が参加している。

OOYOOは、京都大学 iCeMS(物質–細胞統合システム拠点)の研究成果を基盤に、CO2回収コストを抜本的に削減する高性能CO2分離膜を開発するディープテック企業。世界のCO2分離・回収市場は、2024年に約35億米ドルと評価され、2032年には1451億米ドルに成長すると予測されている。従来の吸収・吸着法に比べて大幅なエネルギー削減と装置の小型化を実現できるこの技術は、CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)の社会実装を支える中核技術として期待されている。

代表取締役CEOの大谷彰悟氏は、東北大学大学院工学研究科(建築学専攻)修了後、丸紅に入社し、電力業界に従事。インドネシア、マレーシア、ジャマイカに駐在し、ジャマイカ最大の電力会社で取締役を務めるなど、各国で経営に携わる。2023年4月より京都大学イノベーションキャピタル(京都iCAP)で投資業務を担当し、2024年6月にOOYOO代表取締役に就任した。

同社はNEDO「GX分野のディープテック・スタートアップ支援事業」に採択され、分離膜を搭載したCO2回収システムのスケールアップと量産化実証を進めている。今回の調達は、これらの開発を加速させ、実用化フェーズへの移行と量産体制の構築を支援する目的で実施された。

同社の分離膜は、京都大学のEasan Sivaniah教授らの研究に基づくもので、独自の高分子構造設計により、CO2とその他のガスを高効率で選択的に分離する。これにより、発電所や化学プラントなどの排出ガスからCO2を低コストかつ持続的に回収でき、カーボンニュートラル実現のボトルネックであるコスト課題を解消する。すでに国内の発電所・化学プラントで複数の実証プロジェクトを展開しており、実環境下での性能検証を進めている。

今回の資金調達は、これらの取り組みを加速し、実用化フェーズへの移行を支えるものとなる。OOYOOは、CO2分離膜をCCUSインフラの標準技術とすることで、世界規模でのカーボンニュートラル実現を目指す。国内外の産業界やエネルギーセクターと連携し、社会実装とグローバル展開を加速する方針だ。

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