Ms.Engineer株式会社

女性向けのAI・IT人材育成スクールを展開するスタートアップ Ms.Engineer株式会社 は、プレシリーズAラウンドで第三者割当増資による総額3.2億円の資金調達 を実施し、累計調達額が約6.5億円 に達したと発表した。
今回のラウンドには、TIS、三菱UFJキャピタル、SGインキュベート(西部ガスグループ)などが新たに参画した。調達資金は、女性IT人材育成事業の全国展開加速、ニアショア型リモートAI開発事業「DAIVE(ダイブ)」の強化、エンジニア・ビジネス人材の採用拡大などに充てられる。
Ms.Engineerは未経験から8カ月で高度IT人材レベルを目指す女性向けプログラムを提供しており、卒業率95%・就職率90%以上という成果を上げている。受講生の約7割は地方在住で、都市部への一極集中や地方の雇用機会不足といった社会課題にも対応。卒業生の平均年収は484万円(自社調査)と、日本人女性の平均を上回る水準を示している。
プログラムでは、AIスキルやソフトウェア開発スキル、ビジネススキルなどを組み合わせた実践的カリキュラムを採用。教育訓練給付制度の対象講座も用意しており、受講費用の最大80%が補助される点が特徴だ。
同社はAI活用レッスン「AI HOLIC」をはじめ、AI時代における時間効率化や家事・育児との両立支援など、働く女性が抱える課題に対応するコンテンツを展開している。また、ニアショア型のリモートAI開発事業「DAIVE」を強化し、地方女性エンジニアが活躍できる就労環境の整備にも注力している。
代表取締役社長のやまざきひとみ氏は、元サイバーエージェントでプロデューサー/編集長(アメーバピグ立ち上げ等)を経て、2015年に独立。2016年にPR・マーケティング会社アタラシイヒを設立し、2021年4月には女性限定のAI活用オンラインコーディングブートキャンプ「Ms.Engineer」を創設した。
今回の資金調達を通じて、同社はAI人材育成事業の全国展開をさらに加速させ、地方創生や賃金格差の是正にも貢献していく構えだ。
経済産業省などの調査によると、日本のIT業界では2030年に最大約79万人のIT人材が不足する見通しが示されている。一方で、2023年時点でIT人材に占める女性の割合は2割程度にとどまり、依然として男女間の賃金格差も大きい。こうした状況の中、Ms.Engineerのように女性限定かつAI・ITスキルに特化した育成モデルは、経済的自立や柔軟な働き方を実現する手段として注目を集めている。