ジェンダーギャップ解消で女性の働き方をエンパワーする新たなマッチングサービスの挑戦

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KEPPLE編集部

女性ITエンジニアのマッチングサービス「Waveleap」を開発するbgrass株式会社が、資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドの引受先は、Yazawa Venturesとインキュベイトファンド。

Waveleapは、サステナブルに働きたい女性・ITエンジニアのための、厳選マッチングサービスだ。独自のサステナブル診断により、企業は女性ITエンジニア層に自社の働きやすさをアピールすることができる。

サービスイメージ
また、同社はIT業界で活躍する女性のための相談・支援プラットフォーム「sister」を運営する。IT業界におけるキャリアや不安について、「実際にIT業界で働く女性」に直接相談できる。Waveleapは2023年7月のリリースを予定しており、今回の資金調達により、1年間でWaveleapの登録社数150社を目指す。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 咸 多栄氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

女性が活躍しやすい土台を作る

―― 女性の働き方には、どのような課題がありますか?

咸氏:私たちが直面している課題として、以下の3つが挙げられます。まず、IT業界におけるジェンダーギャップが女性の活躍を妨げている点です。次に、男女間の賃金格差や職種の偏りによる女性の雇用課題のほか、企業によるDEI推進の取り組みが不十分であるという問題です。

※DEI 従業員それぞれの個性を最大限発揮することが、企業における価値の創造につながるという考え方。Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字で構成される

ジェンダーギャップに関しては、男性は稼ぐべき、女性はおしとやかに、などのバイアスが存在します。リーダーを志す女性がいたとしても、手を挙げることをためらってしまったり、希望してもなかなか機会が与えられずに、女性の活躍機会が減ってしまいます。実際にIT業界では、ライフイベントにあまり影響されにくい20代でも、男性のほうが女性よりもリーダー経験が多いというデータも当社調査により得ており、客観的に確認できる格差が生じています。

またこれまでの社会構造上、女性は家庭での労働負担が大きく、子どもが生まれた際には仕事を辞めることも多いです。一方で生活費を得るために少しでも働ける場所としては、スーパーマーケットでのパートなどの接客業に選択肢が限られ、コロナ禍のような事態が起きると経済的な貧困に陥りやすくなります。IT業界はスキルも得やすく、比較的男女の賃金格差も低い業界です。フレキシブルに働ける環境の整備などを通じて、これから増える女性エンジニアや、すでに働いているエンジニアがライフイベントで離脱しないで済むようにすることで雇用の問題を解消する必要があります。

DEIの推進については、女性の活躍を促進するための認識はあるものの、多くの企業がその優先順位を十分に高めることができていません。改善に取り組むことで売上が上がるなど、効果が見えにくいために足踏みする企業が多いのです。実際には、女性の活躍推進が進む企業のほうが、経営指標が高まることが国によって発表されています。こうしたデータに目を向けて、具体的なDEI推進に取り組むべきなのです。


―― Waveleapの特徴について教えてください。

サステナブルに働ける環境を求める女性エンジニアを主なターゲットとしています。ジェンダー平等を中心としたDEI推進の進み具合を診断できる、独自のサステナブル職場診断を通じて、自社の働きやすさや活躍のしやすさを可視化し、求職者にアピールすることができる点は大きな特徴です。また転職に不安があっても、sisterのコミュニティを通じてIT業界で働く女性に相談ができるので安心です。

サービスイメージ
女性エンジニアが転職活動をする際、エージェントを利用することが多い一方で、IT企業は主にスカウトサービスを活用しています。女性が求人を見る際に求めている情報は、従来のスカウトサービスでは得られないこともありますが、Waveleapはデータを収集しながら、女性が応募しやすいようなプロダクト開発をしています。Waveleapは優秀なミドル層の女性エンジニアやキャリアを中断した経験を持つエンジニアにもアプローチすることができ、企業にとっては従来では見つけにくい人材層にもアプローチできます。企業はこれらの採用活動による女性エンジニアの離職防止など、DEIの観点から組織改善にも寄与することが可能です。

スタートアップスカウト

―― 創業のきっかけを教えてください。

大学では文系科目を専攻していましたが、新卒ではSIerでエンジニアとして働いていました。その後Web業界への転職をきっかけに、技術について相談できるメンターを探していたのですが、女性のメンターを一人も見つけることができず、探すのが困難な状況に直面しました。この経験が私にとって転機となりました。

SIerで働いていた当時は気付いていませんでしたが、振り返るとジェンダーギャップが生じていたなと思う場面がいくつかあります。また「私には無理だ」とか「自信がない」といった考え方など、女性側にもバイアスが存在することに気付きました。ジェンダーギャップの問題は、単に女性だけの問題ではなく企業の環境も変えなければ解決できないと感じ、bgrassを創業しました。

データドリブンなDEI推進を支援

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

これまではクラウドファンディングと融資を活用して事業を推進してきましたが、社会に対してインパクトを与える企業向けのサービスとして、開発の強化やMVPの検証をするために資金調達を行いました。すでにエンジニアとデザイナーの採用も進んでおり、企業と女性ITエンジニアの架け橋となるよう、このチームでこれから1年、さらに開発を進めていきます。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

当面はクローズドベータ版を通じて、企業が女性エンジニアの採用をどの程度重要視しているかなどのニーズを詳細に確認します。そのうえでDEIの観点からの改善が、利益を得られる要素や他社にはない人材の獲得につながることだと証明することが、Waveleapで目指す最初の一歩だと考えています。こうした認識は自然に醸成されるものではないため、Waveleapを通じて気付きを与えることで、当社ビジョンへ共感いただける企業を増やし、サービスリリースから1年間で150社程度の導入を目指します。

Waveleapの利用が進むにつれ、企業の採用に関するデータが蓄積していきます。長期的には、利益の出ている企業の採用に関するデータを提供することなどを通じて、データドリブンでDEIを推進する企業が増えるよう取り組みます。最終的にはデータに基づいたアプローチでDEIを推進している企業が評価される、という世界を実現したいと思っています。

自社は働きやすいしジェンダーギャップはないと思っていても、実際にデータを見ると格差が存在しているケースも少なくありません。またダイバーシティの観点は今後避けて通れないテーマですので、ぜひ早いタイミングから注目していただきたいです。女性エンジニアに対するイメージを払拭し、優れた女性人材と優れた環境を持つ企業とのマッチングを通じて、個々の選択肢を狭めず、自分が本当にやりたいことを自由に選択できる世界を目指して取り組んでいきます。

bgrass株式会社

bgrass株式会社は、女性エンジニア向けプラットフォーム『sister』などを開発・運営する企業。 『sister』は、IT業界で働くまたは働きたい女性向けの相談支援プラットフォーム。同サービスは、キャリアコンサルタントやコーチングの資格取得者とキャリアや業界についての疑問などを1対1でオンライン相談ができるほか、ユーザー同士のコミュニティに参加して交流できるという。 同社はそのほか、IT業界で働く女性向けのイベントを運営する。

代表者名咸多栄
設立日2022年7月6日
住所東京都渋谷区神宮前6丁目23番4号桑野ビル2階
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