forest株式会社

日本のモノづくりブランドをM&Aによって承継・成長させるforest株式会社(代表取締役:湯原伸悟)は、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)などを引受先とする第三者割当増資、およびみずほ銀行などからの借入により、総額60億円のシリーズB資金調達を実施した。
これまでに21件の事業承継型M&Aを行い、地方企業の承継、米国同業からの事業譲受、スタートアップ株式の取得を含む。ファブレスSPA企業として、商品企画・物流・デザイン・マーケティング・カスタマーサポートを統合的に強化し、データ基盤構築や越境EC展開、中国・杭州市の物流・開発拠点設立も進めている。
代表取締役の湯原伸悟氏は、2021年7月に現forestを創業。以前はシティック・キャピタルやモルガン・スタンレーで投資・M&A業務に従事し、女性アパレル企業の取締役として経営全般を担う。高級眼鏡ブランド「フォーナインズ」の社外役員を務めた。
Eコマース市場は拡大を続けており、経済産業省の調査によれば、2024年の国内 BtoC-EC 市場規模は約26.1兆円 に達し、物販系分野も前年比で 5.1% 増加した。 一方、物販系における EC 化率は 9.8% にとどまり、依然として成長余地が大きい。 また、最新の調査では市場規模はさらに拡大し、EC 化率も上昇する傾向にあるとされている。
この背景には、中小企業における経営者の高齢化や後継者不在の課題がある。中小企業白書によれば、2023年時点で後継者不在率は 約 54.5% に達しており、政策金融公庫の調査では、後継者が既に決定している企業はわずか 10.5% に過ぎないという結果も存在する。
加えて、国内 EC 市場では Amazon、楽天、Yahoo! ショッピングなど大手プラットフォームへの依存度が高く、手数料負担や仕様変更等のリスクが指摘されている。こうした状況下で、自社 EC サイト構築や OMO(オンラインとオフライン融合)戦略の推進は、独自ブランド性を維持しながら収益構造を安定化させる有力な選択肢となっている。
今回のシリーズBには、既存投資家全員のフォローオンに加え、日本郵政キャピタル、BRICKS FUND TOKYO(三菱地所CVC)、電通ベンチャーズSGPファンド、博報堂DYベンチャーズ、ウェルスアセット、グローブアドバイザーズベンチャーズLLPが新たに参画。
資金は事業承継型M&Aの拡充、データインフラ強化、越境EC推進、リテールテック事業の本格展開に充てられる。2024年7月にM&Aを通じてグループ入りしたTsuzucleとともに、小売企業の成長を支援するリテールテック事業を推進し、EC構築支援・OMO戦略・SNS運用・AI導入・CRM・越境EC支援など包括的な支援を展開していく。
forestは「日本のモノを育み、世界を彩る」をミッションに、Eコマースを通じて良質な日本製品を世界へ届け、リテール産業全体の価値向上と持続的成長に貢献していく方針である。