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多様な社会を追及するインクルーシブデザイン
インクルーシブデザインとは、これまでデザインの対象として見逃されてきた多様な人々を巻き込み、一緒に作り上げるデザイン手法のこと。ユニバーサルデザインが普遍的なユーザーを想定し誰でも使いやすいデザインを検討するのに対し、インクルーシブデザインでは障害のある人や高齢者といった多様な人々の当事者ならではの気づきや意見を活かし、デザイナーや製品開発者とやりとりしながら協力して商品やサービスを生み出していく点に特徴がある。
インクルーシブデザインは障害のある人々や高齢者など、特定のユーザーグループが直面するアクセシビリティの問題を解決する手段として注目されている。インクルーシブデザインによってサービスや製品の使いやすさや効率性が向上し、特定のユーザーグループのニーズを満たす製品やサービスが、従来の市場では見逃されていた需要に応えることができる。
多様な人々のニーズや能力を考慮に入れて製品やサービスを設計することは、今後も注目される分野である。
スタートアップ5選
株式会社Halu
企業HP:https://ikoudesign.com/ja/
乳幼児向けプロダクトブランド「IKOU」の製品を開発する。IKOUは、身体的障害を持つ乳幼児でも使用可能なインクルーシブデザインが特徴のブランドである。家の中でも外出先でも利用できる折りたたみ式のキッズチェア「IKOUポータブルチェア」や、吸水速乾性のあるオリジナル素材で作られたスタイ「IKOU Bib」、着る・着せる両方の心地よさを求め、天然素材で作られた「IKOUキッズウェア」を提供している。
2023年7月には、フューチャーベンチャーキャピタル、ABCドリームベンチャーズ、南都キャピタルパートナーズ、京銀リース・キャピタル、京信ソーシャルキャピタル、中信ベンチャーキャピタルを引受先とした第三者割当増資による、5000万円の資金調達を実施した。同年同月、三菱UFJフィナンシャル・グループ主催のスタートアップを応援する「Rise Up Festa」の最優秀賞として選出された。
株式会社STYZ
企業HP:https://styz.io/
非営利団体向けオンライン寄付プラットフォーム「Syncable」、インクルーシブデザインサービス「CULUMU」などを運営する。Syncableは、ネットで寄付を「集める」ことを手助けする機能が備わったプラットフォームだ。寄付者の情報を一元で管理することができる。CULUMUは、企業における新規・既存事業のソーシャルインクルージョンをサポートするサービスだ。多様な人々の声を取り入れたユーザー中心のモノづくりを目指す。他にも企業内のDE&I推進、サステナビリティ戦略、CSV推進などをサポートする「STYZ Consulting」も行っている。
2024年5月には、医療的ケア児と家族を支えるNPO法人アンリーシュとのサポーター連携を開始した。
株式会社U’eyes Design
企業HP:https://www.ueyesdesign.co.jp/
製品やサービスの「アクセシビリティー支援」を行う。アクセシビリティ支援は、ユーザー観察や人間特性に対する知見を活用し顧客の製品やサービスが、健常者、障害者両方に対応した製品やデザインなど、多様なユーザー、多様な環境へ適応できるように支援する。他にも、DX推進や共創型サービスデザイン支援、UXデザインなども行っている。
2022年3月には、幅広い業種・業界へのDX推進を実現するため様々なシステム開発を行うファンリードと業務提携契約を締結した。
PLAYWORKS株式会社
企業HP:https://playworks-inclusivedesign.com/
インクルーシブデザイン・サービスデザイン・ワークショップを活用した、新規事業・サービス・製品・人材育成・組織開発をサポートする。視覚障害者が気軽に必要な場所に必要な時だけ使える、「ココテープ」(視覚障害者歩行テープ)や、自社の制作物や製品がどのように見えるのかなど、見え方をチェックする「ロービジョン体験キット」を提供している。
株式会社インクルーシブデザインソリューションズ
企業HP:https://inclusivedesign.jp/
事業開発支援、ユニバーサルアクセシビリティ調査、企業研修などを行う。リードユーザーとの協働で問題定義を行い、商品・サービスの企画から新規事業の開発まで幅広く支援する。少子高齢化や環境問題によって生じる様々な社会課題に対し、企業研修やセミナー、支援も行っている。
今後生まれるデザインに注目
今回紹介した企業は、インクルーシブデザインの理念を実践し、多様性を重視した製品やサービスを提供している。インクルーシブデザインの魅力は、多様な人々の声をデザインに取り入れる点だ。今後も多様化する社会でどのような製品やデザインが生まれるのか、注目していきたい。