サプリメントの開発や販売に取り組むスタートアップ4選【2025年9月更新】


創薬および植物由来エクソソーム※を活用したヘルスケア事業を展開するTIME TRAVELER株式会社は、個人投資家を引受先とするJ-KISS型新株予約権によるシードラウンドのエクステンションとして、総額1億円の資金調達を実施した。併せて抗加齢協会・医学会共催のコンペティション「ヘルスケアベンチャー大賞」において賞金20万円を受領し、累計調達額は約2億8600万円となった。
TIME TRAVELERは、東京大学の研究成果を基盤とする研究開発型スタートアップであり、老化やがんなどの疾患を対象に、細胞老化・がん性変化などに関する新薬候補化合物の研究・開発を主軸とする。主に抗体、低分子化合物、核酸医薬など多様なモダリティを用いた創薬、および植物・藻類・微生物由来エクソソームを活用したサプリメントや化粧品の製品開発を展開する。がん細胞やがん幹細胞の造腫瘍能に関わる遺伝子や、老化を促進する遺伝子を特定し、そのメカニズムを解析することにより、がん治療薬や抗老化薬の開発を進めている。
代表取締役CO-CEOは、林寛敦氏と秋山りえ子氏。両氏は2024年1月の会社創業時より共同代表制を敷いており、大学研究機関の成果を社会実装するために事業を開始した。林氏は東京大学 定量生命科学研究所にて特任助教も務めている。秋山氏は証券市場でディーリングやアナリスト業務に携わった経験を有する。
エクソソームを用いた創薬・ヘルスケア分野は、近年活発な成長が続いている。Coherent Market Insightsの調査によれば、グローバル市場規模は2025年時点で2億2210万米ドルと予測され、2032年までに12億8410万米ドルへ達する見通しであり、年平均成長率(CAGR)は28.5%と高水準で推移する。地域別では北米が引き続き最大市場であり、研究開発・臨床投資等を背景とした優位性を維持している。一方、アジア太平洋地域もバイオテクノロジーインフラ拡充や公的支援策により高い成長が見込まれている。また、日本のエクソソーム研究用製品市場は勢いを増しており、2024年に880万米ドルに達し、2033年には6740万米ドルにまで成長すると予測されている(Report Ocean)。市場成長を支える要素としてはリキッドバイオプシー(液体生検)の需要増加、がん診断や再生医療・ドラッグデリバリー等の新規適用分野拡大が挙げられる。業界は多国籍企業の市場支配力が強い一方で、規制対応や臨床データ基盤整備、技術標準策定といった課題も指摘されている。
今回調達した資金は、老化・がん関連疾患に関する基盤技術や知的財産の強化、創薬研究を推進する研究者・事業開発人材の採用・育成、研究体制強化、評価系や実験機器の拡充、次の開発フェーズを見据えた基盤整備、並びに本社工場移転費用など、多岐にわたる用途に重点的に活用される予定である。加えて、植物由来エクソソームサプリメント「exofull」ブランドの製造体制や広報活動の強化、次期プロダクト(創薬・ウェルネス領域)の研究開発とPoC構築にも資金が充てられる。
今後も、老化やがん関連疾患といった根源的課題の解決に向けた研究と価値創造に取り組む姿勢だ。
※エクソソーム:体内のあらゆる細胞から分泌される直径50~150nmの微小なカプセル状の物質で、細胞同士が情報を伝達するための「細胞間メッセンジャー」。細胞膜由来の脂質やタンパク質で構成され、マイクロRNA、mRNA、タンパク質などの遺伝情報や機能性分子を含み、体液中を循環して他の細胞に運ばれ、その細胞の機能に影響を与える。
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